雛人形は強い2
とりあえず、意気込んだがブンちゃんはメイちゃんとはーちゃんに丸投げした。
「ま、まあ……こういうのは人形のがいいだろ!……じゃ」
ブンちゃんは手を振り、社に帰っていった。
「おーいー」
はーちゃんはのんびり声をかけるがブンちゃんは手をあげただけだった。
「もー……」
「じゃあ!行きましょうか!!」
ため息をつくはーちゃんを置いといてメイちゃんは目を輝かせつつ、手を横に広げた。
ゆっくりと心の世界が現れる。
心の世界には個人個人の想像の世界とその内部に住む霊達がいる。まあ、想像物ならばなんでもこちらの世界に住める。
つまり、『話す人形』も簡単に入れるのだ。
現世を壱の世界と呼んでおり、心の世界は弐の世界と呼ばれている。
別名は視界だ。
なぜなのかはわからない。
もしかしたら死後世界、死界からきているのかもしれない。
メイちゃんが開いた心の世界、弐はもやがかかっていた。
「高校生の心だからかクリアじゃないねー」
「素直に世界観が作れない子なんです!!部外者が入り込むのが恥ずかしいんでしょう!早く入りますよ!」
メイちゃんははーちゃんを引っ張り、もやがかかっている世界へ足を踏み入れた。
「あー、ほんとだー。ちゃんと世界あるー」
少女の心に入り込んだ後、すぐにはーちゃんがつぶやいた。
もやがかかっていた世界は入り込んだら鮮明になった。
高校生だが世界は幼子のような世界だった。アニメっぽい二次元なウサギが二本足で通りすぎ、お菓子の家やシャボン玉がなっている木などメルヘンな世界観が広がっている。
「意外にこっち系なんですね!!」
「どっち系かわかんないけどー。じゃあー、彼女の目に映ったはずの雛人形ちゃんをさがそーかー」
「一度見てなにか感じてれば!!たぶん!この心にいるでしょう!!想像物として!!」
はーちゃんにメイちゃんは人差し指を天に向け叫んだ。