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節分の夢3

「ブンちゃんー。終わったわよ」

りぅが疲れた声でブンちゃんを呼んだ。


『お人形ランド!』の神社前に戻ってきたきぅ達は鳥居前で居眠りしていたブンちゃんを叩き起こした。


「うぐっ!ねてねーよぉ……」

ブンちゃんは目を擦りながら目覚めた。完璧に寝ていたようだ。


「終わりましたよ。後の縁結びはよろしくお願いします」

「おう……って……ええ!?」

きぅにてきとうに答えたブンちゃんはきぅの横にいた男に目を向け、腰が抜けるほどに驚いていた。


「まさか……びびび……毘沙門天!?」

「そうだが?戻ってこれたか。ありがとう。人形達。では神社へ戻らせていただく」

腰を抜かしたブンちゃんに首を傾げた毘沙門天は一礼をすると去っていった。


「ちょっ!ちょっ!お前ら!マジで……マジで呼んだのか!?」

「呼んだっていうかたまたま?」

「そうですね」

「キャハハハ!キャハハハ!」

ブンちゃんの問いかけに三姉妹はそれぞれてきとうに答えた。


※※


「う、うーん……」

私は目を覚ました。朝日が窓から入ってきていた。


もう朝か。


隣ではお母さんとお父さんが寝ている。私は八歳なので川の字の真ん中が一番心地がいい。

実は一週間くらい前にお父さんに節分について詳しく聞いた。


それから私の夢に毎回鬼が出てくるようになった。夜になると怖くて鬼のことばかり考えてるからきっと夢に出るんだ。


そこで、お父さんから聞いた、『びしゃもんてんさまが守ってくれる』というのを思い出して夢の鬼をなんとかしてもらうことを思い付いた。


でも、『びしゃもんてんさま』にどうやって伝えたらいいかわからない。お父さんは『びしゃもんてんさま』は神様だと言っていた。


神社にお願いにいけば節分前だけど鬼を倒してくれるかも。


たまたま家族で行ったお人形さんがいっぱいいる施設で神社があったからうさんくさかったけど『お願い』をしてみた。色々不安だったのでメモにも残しておいた。


「……ホントに鬼を倒してくれた……」

私はぼうっとした頭でお父さんの寝顔を見る。しばらく頭を整理してたら目が覚めた。


「ほんとだ!ほんとに倒してくれたんだ!!」

私は思わず叫んだ。


「うわあっ!」

お父さんが悲鳴をあげて飛び起きた。


「お父さん!『びしゃもんてんさま』が来てくれた!」

「へ?なんだ?なんだ?いきなり大声をあげるな!びっくりした……。で?毘沙門天様が来てくれたって何?」

お父さんは不思議な顔をして戸惑っていた。


「寝ぼけているんでしょ?ふーちゃん、節分は明後日よ。明後日に豆まきと恵方巻食べようね?」

お母さんも起きてきて私にそう言った。


違うんだよ。お母さん!

寝ぼけてないよ!


と言おうと思ったがやめた。


八歳にもなって鬼を怖がったり急に叫んだりしてたらなんか自分が恥ずかしいことに気がついたからだ。


「なんか夢見てたみたい。びっくりさせてごめんね」

私は変な夢を見ていたことにした。


「ふーちゃん、今日はお父さんと豆買いにいくか!」

「ふーちゃん、恵方巻少し奮発しておいしいのにしようか」

なんだか気を使わせてしまったのかお父さんとお母さんは節分に話を持っていく。


私の考えは筒抜けみたいだ。

現実の鬼はお父さんとお母さんが節分の時に倒してくれるみたい。


よかった!


あれから少し日にちが経ったけど鬼が出てくることはなかったよ。

一応あの神社にお礼しとくね。


「ありがと」

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