秋めいた恋3
世界を後にし、帰るなり三人は雪虫と戦い中のブンちゃんに叫んだ。
「ねぇ!!邪魔されたんだけど!!いいとこだったのよん!!」
「みぃこでごじゃる」
「みぃこが男の子を増やしたでござい!」
それぞれ一斉にしゃべりだした三人をブンちゃんは慌てて止めた。
「ま、待て待て!わけわからん。みぃこがなんだって?」
「だーかーらー」
ブンちゃんの言葉に再び三人はそれぞれ話し始めた。
「あー!わかった!わかったから!……とりあえずうまくいったようだ!ありがとうよ!!」
ブンちゃんは三人よりも大声で叫んでおく。
「ところで……」
三人は落ち着き、声を下げて同じ言葉を発した。
「みぃこってどこの人形?」
「……あー、まあどこぞの人形なんじゃねーの?俺もわかんねぇよ……」
三人の問いかけにブンちゃんは目を泳がせた。
「なーんか怪しくないかしらん?」
シャインが横目でブンちゃんを見る。ブンちゃんはため息をつくと一言言った。
「知らねぇから……」
……知られちゃ……やだしな。
後半は口に出さなかった。
「ま、いいわん」
シャインがなんとなく納得したのでリンネィ、ムーンも頷く。
「じゃあ、また困った時に呼ぶでごじゃる」
「主のとこに帰るでござい!」
三人は特に気にもせず楽しそうに帰っていった。ブンちゃんは雪虫を追うのを諦め、従業員に丸投げすることにして、ため息をつくと社に入っていった。
※※※
「……ん……」
私は目覚ましの音で目を覚ました。手探りで目覚ましを止めてしばらく布団の中で温まる。
現在朝七時。お布団が恋しいくらいに寒い。だけど今日は学校だ。
「……おき……なきゃ……」
かけ布団を体に巻いてタンスから着替えを取り出す。ブラジャーと……ヒートテック。
パンツは……このまんまでいっか。
……でも昨日の夢で告白する勇気が出たんだから勝負下着にしても……。
私はそこまで考えたけど首を振った。だって体育あるじゃん。着替え中に友達から笑われる。
容易に想像できるよ。あんたなに?そのエロな下着ってさ。
普通でいい。普通で。
かけ布団にくるまりながら服を持って再び布団の中に入る。あ、私の家は和風民家だからベッドにフローリングじゃないんだ。
畳に布団ね。
布団に再び横になったらまずはパジャマのズボンを脱ぐ。そんで靴下を履いて……器用に寝ながら上のパジャマを脱いでブラジャーをつけてヒートテックを着る。すべて布団の中でこなすの。これが寒い中でも着替えられるコツ。皆やってるかな?
「……なつみ?何してんの?もぞもぞと」
ふと声がした。私は潜っていた布団から顔を出す。
「あ、ねーちゃん。ねーちゃんが教えてくれた着替え試してんだけど制服も中で着るの?」
声をかけてきたのはさくらお姉ちゃんだった。お姉ちゃんが私にこの着替えを教えてくれた。おかげで遅刻しなくて済むようになったよ。寒いとなかなか布団から出られないでしょ?だからかけ布団ごと動いて服を持ったら再び布団に横になって着替える。グダグダしなくなったね。
「制服のスカート履く前に布団の中でパジャマのズボンなりジャージのズボンなりを履いてからスカートにした方が寒くなく出られる!」
お姉ちゃんはグッと親指を上げた。
「オッケー!……あ、ねぇちゃん!」
「ん?」
「私ね、今日告白してくる」
私は決意を一番最初にお姉ちゃんに言う。次はたぶん朝いつも一緒にいく友達のかえでちゃんになるかな?
「……ほう!頑張りたまえ!応援してる」
お姉ちゃんは軽く目を見開いて驚いていたけど満面の笑みを向けてくれた。
「うん!あ、お姉ちゃん、今日出勤でしょ?あの神様にお礼言っといてよ。夢で勇気をもらったんだ」
「夢で……うん。わかった。言っとくね」
私とお姉ちゃんはお互い見やってから微笑んで同じ言葉を発した。
「ありがとう」




