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ブンバボンバの神?2

霊的空間内、ブンちゃんの神社内。畳にちゃぶ台がちょこんとある部屋でブンちゃんは頭を抱えていた。


「ブン様、カムハカリには行きますかぁ?十月のやつー。縁結びじゃん?」


ちゃぶ台に手のひらサイズの銀髪のお人形がひとり。耳あたりから髪を伸ばしている。ちょうど連獅子の髪のようだ。着物を着ているため余計にそう見える。

きょとんとした男の子の人形だ。


「あー?行かねーよ。ありゃあ日本神話にガッツリ入り込んでる神が行くんだろ?俺達みたいな神は関係ないさ……たぶん」


「そんなこと言って行きたくないんでしょー?」

銀髪の人形はちゃぶ台で緑茶を飲むブンちゃんをイタズラっぽい顔で見据えた。


「喧嘩売ってんのか?ロク!だいたい今は冬だ!十月はとうに過ぎたんだよ。あれ?お前、兄貴のイチはどうした?」

ブンちゃんは緑茶を乱暴に飲み干した後、ロクの対になっていたドール、イチがいないことに気がついた。


「兄貴は宮子さんに召集されてたよ?」

「お前も行けよ……」

平然とちゃぶ台に座っているロクにブンちゃんはため息をついた。


「あー、ブン様、僕、お茶飲みたい。ミニチュア家具の茶器取ってきてよ」


「俺はこれから忙しいんだよ!自分でなんとかしてくれー!」

呑気なロクにブンちゃんは悲痛な叫びと共にちゃぶ台に突っ伏した。


ちなみにここに出入りしている動くドール達は『お人形ランド!』の展示品ではなく、どこかから勝手に遊びに来ている魂宿った九十九(つくも)神的なドール達である。


人間の心に深く作用し神格化したものだと思われる。

ブンちゃんにとっては助け船でもあり厄介者でもあった。


※※


一方社外では宮子さんがドール達を召集中であった。

「皆集まりましたか?」

「おーい!ロクがいねーぞ!」

宮子さんの言葉に真っ先に反応したのはロクの対になっているイチである。イチは短く切った銀髪と羽織袴が特徴的なドールでロクと並べると良い感じにまとまる。ただし口が悪い。


「え?弟さんいらっしゃらない?先ほど言葉を交わしましたけど」

「いねーよ。のんびり茶でも飲んでんじゃねーの?」

イチが頭を抱えた時、社内からブンちゃんが疲れた顔を出した。


「イチ、忘れてんぞ……こいつ」

ブンちゃんの指で着物の襟首を摘ままれているロクがニコニコ笑顔を向けながらぶら下がっていた。


「おー、兄貴ー、今茶を飲むとこでー」

「ほらな」

イチはロクの言葉を最後まで聞く前に宮子さんに得意気な顔を向けた。


「と、とにかくブンバボンバ様をお助けするために厄除けの方面のお手伝いを……」

「待て待て!縁結びじゃないのか!厄除けなんてあったか?」

ブンちゃんが焦った声で宮子さんに尋ねた。


「効果が従業員によって付け加えられたようです。こちらの書類を……」

「うわあ……もう見る気も失せる……」

宮子さんが差し出した大量のデータファイルにブンちゃんは自分の通信をOFFにした。神々達はテレパシーでデータ情報の交換をする事もある。

文字通り頭の通信をOFFにしたのだ。


「ブンバボンバ様、これでは送れません」

「送るな!送らなくていいわっ!もうじゃあそっちなんとかして!!」

ブンちゃんは半泣きのまま社内に引っ込んで行った。


「と、いうことで、人々の厄を取っていきましょう!届いた情報の中で住所を教えてくれた人間から行くのが簡単かもしれません。夢や霊魂の世界『弐』に入り対象の人間の心に入り込む、そして厄の根本を叩いてください!」


「おお!なんか面白そー!!」

宮子さんの宣言にドール達は嬉々とした声をあげた。

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