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7話 ルウ

アレクが影薄くなっています……。おかしいな

 助け出した女性は衰弱していた。


「――大丈夫でしょうか……」

 回復魔法を掛けた。あとは、安静にして、本人の気力と体力に託すのみ――。


「回復魔法って全快させるものじゃないんだ」

 ルウが安静に休めるように野宿でも使えそうな毛布?で簡易式ベットを作り上げる。


「回復魔法は術者の魔力とその掛けられた本人の自己治癒能力を使いますから」

 あまりにもひどい場合は、自己治癒が追い付かなくて術を掛けれない。


「術を掛け過ぎると自然治癒能力が低下してしまうのでお勧めしませんし」

「そういうモノなんだ~」

 へぇ~。


「サーシャといい。シャイアといい術者は見慣れているけど、この二人はそれぞれ規格外だというのは何となくしか感じられないしさ。だから世間一般の術者って興味あったんだよね~」

「……………」

 わたくしも十分規格外ですけど。

 そう思ったが口に出さない。


「それにしてもこんな簡易式ベットよく作れましたね」

「うん? まあ、そこら辺は、俺のアレンジもあるし。俺の出身地の知識を使えないかと作って貰った一点物だしね」

 因みに作り方は毛布?に空気を入れる。そうすると膨らんでベットになるのだ。


 使用が終わったら空気を抜けば持ち運びも便利である。


「――ルート」

 シャイアが呼ぶ。

 因みに空気はシャイアが精霊に頼んで入れてもらったものだ。

 その際ルウが『クウキイレ』があればいいけど『えあくっしょん』自体作るのに材料を集めるのが大変だったからな。もっと手軽に集めれる材料ないかなとか言っていた。


 意味が全然分からなかったが。


「そろそろ食事だ。――サーシャが全部平らげるぞ」

「げっ!? あの、大食感。あんだけあっても足りないとか言い出すしな」

 因みに野宿をする事になり、食材はそこら辺で買った魔獣3頭――普通一頭を狩るのも一苦労――と川魚。あとそこらへんに生えている野草。

 ……である。


 魔獣は鹿サイズのモノで6人で――ちなみにこの安静中の女性はおかゆというルウの出身地に伝わる料理が用意されている――十分なくらいだが、

「……………」

 サーシャが良く食べるのだ。

 魔獣を1頭で5人に分けて、あとの2頭はサーシャが一人で食べる。そういう仕様になっている。


「サーシャ!!」

「………まだ、食べてません」

「でも、食べようとしたんだろっ!!」

「……………気のせいです」

「都合が悪い時は敬語になる癖で分かるんだよっ!!」

「……………」

 ルウの叱る声が響く。


「ルウがリーダーな訳ですね」

 凄く納得した。

 年齢は一番若そうなのに。


「………あいつは元々故郷では子ども達をまとめるリーダーをしていたそうだ」

「そうなんですか」

「ああ……」

 そう告げて見つめる眼差しには負い目が混じっている。


「シャイアさん?」

「シャイアでいい」

「じゃあ、シャイアさん。どうしてそんな自分を責める目をしているんですか?」

 負い目という事はルウに何か悪い事をしたと思っているようだ。


 それはルウの口から故郷の話が出る時にちょくちょく出ている。シャイアだけではなく、サーシャも同様。


「…………俺らがアイツを故郷から連れ出したようなものだからな」

 どういう事だろうかと尋ねようとしたが、

「貴様っ!! 姫様から離れろ!!」

 グレミオが間に割って来て、続きを聞く事が叶わなくなる。


「……………」

 シャイアは基本無口で、もう話すつもりはないとすっと離れていく。


「あれっ?」

「姫様?」

 シャイアは無口だ。基本。

 その彼がわざわざ話し掛けたという事は何か言いたい事があったのだろう。


 グレミオが来る前まで話していた事が言いたい事?

 そうじゃない気がする。


「何か別の……」

「姫様?」

「……グレミオさん。わたくしを姫様呼びは止めて下さい」

 バレているが、一応隠したいのだ。


「………分かりました。お嬢様」

 火の近くにはルウとサーシャ。そして、火の番をしているアレクと合流するシャイア。


 一人くらい女性の介護を思っていたら。

「それは私が……」

 と、グレミオが告げるのでお言葉に甘える事にした。


「いただきます」

 手を合わせて、ルウが告げるとサーシャとシャイアも同じように手を合わせている。

「「イタダキマぁス」」

 どこか発音がおかしいが言葉で同じ事を言うと食事を始める。


「その言葉は何ですか?」

 アレクが不思議そうに尋ねる。


「ああ。――俺の故郷の言葉で。食事というのは全てのモノに感謝して、命を頂く事だからその命をくださってありがとうございますという意味で告げると教わったんだ」

 だから、その習慣が抜けなくて……。


「命を頂く……ですか」

「そう。作ってくれた人。俺らが生きるために奪った魔獣の命。無事に食事が出来る環境。それら全てに感謝して『いただきます』まあ、気休めだけどね」

「……いい考えだと思いますよ」

 感謝の言葉。

 そういうのを考えた事なかった。


 食事はあるのが当たり前。

 食べれない環境があるというのは知識があってもまだ感じた事ない。


 ましてや感謝というのは――。


「作法があるんですか?」

「んッ?」

「わたくしもその事を胸に入れておきたいので」

 教えてください。

 そう告げるとルウは少し困ったように、だが、嬉しそうに。






――笑った。



書く事が浮かばない……

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