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夜電車  作者: トト
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夜電車


太陽も登る前に僕の一日は始まる。


午前3時。朝というよりも、夜の印象が色濃い時間。

ヘッドホンをして歩いて30分。

都市の真ん中に紛れて、ポツンとあるパン屋まで毎日歩く。この時間が僕は割と好きだ。

昼間はゴッタ返す街も、このエアポケットの様な時間は人もなく独り占めしている様な感覚になるからだ。

電車の高架下を沿う様に進んでいくと、昼間見えるものが全く違う様相に見え、平行世界に迷い込んだ様な感覚になる時がある。

背中に冷たい水がつたっていく様な感覚。

月に照らされたピラミッド。


都市が近づくと、高架下には、酒屋、電気店、花屋などが軒を連ねる。勿論今はシャッターが降りて静かにしている。

風が吹き抜けた。月明かりが高架の電線ななんかの影を路地に落とした。

すると次の瞬間、何かが動いた。

ヘッドホンからの音楽で気づかなかったが、電車が近づいていたらしい。

前に向き直し歩いていると、今は3時20分で電車が動く時間には一時間以上もある。

慌てて頭上を見上げた。

高架に沿った鉄骨を進んでいく無数の猫。種類、大きさ、多種多様の猫が狭い鉄骨を1列になって進んでいく。

月明かりの中、高架沿いの鉄骨を一定の速度で進む長い長い猫1列。

呆然と立ちすくむ僕を見向きもしない猫たちが次々と頭上を通り過ぎていく。

まるで夜を行く電車の様だった。

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