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最終話 後編 決戦!邪竜ニーズヘッグ

 で、そのまま件の洞窟に来たのだが。

「あのドラゴンっぽいドラゴンがその邪竜?」

 紫色で赤いオーラを纏っているようにみえるデカいドラゴンが鎮座していた。寝てるのか?

「はい。今は寝てるみたいですね」

「じゃあバレないようにそっと戦いの準備を……」

「寝ているときは三倍ダメージです!いきますよ『奇跡の剣』!」

「ちょっとまって俺まだ防具着てないっ!?」

 リオラが呪文を唱えて出現した光る剣を手にしてドラゴンへと駆け出していってしまった。止めるまもなくドラゴンを切りつけている。

 ……ドラゴン全然起きないな。もしかして余裕で倒せるのでは?

「いきますよ、必殺……」

 あ、リオラが必殺技で一気に決めに行くみたいだな。

「『約束されし勝利の』……」

 その名前はまずいのでは!?エクス、って読んでるのに漢字がありありと思い浮かんでしまう!振り上げた奇跡の剣がもはや光の柱みたいに……ダメだアウトだこれ!

 次の瞬間、「カリバーッ」と叫ぶ前にリオラが吹き飛んだ。

「あっ」

 ドラゴンが起きていた。今までのダメージが効いていなかったかのように余裕でリオラを追撃している。洞窟全体が震え、リオラが居た場所が爪でぐちゃぐちゃにされていく。

「なんだよそれ……」

 強すぎる。リオラがどのくらい強いのかを見る機会は全くなかったがあっという間に殺されてしまった。この世界を全く知らない、防具さえ装備していない俺が敵うはずがない……。

 震える俺をドラゴンがギロリと睨み付けた。その瞬間、全身に力が入らなくなり地面に倒れてしまった。

「何、これ……麻痺か……?」

 逃げることも、震えることさえもできない。ドラゴンがゆっくりと近づいてくる。このままあの爪に引き裂かれるか、炎に焼かれて終わりだろう。

 ああ、あっけない人生だった。高校の途中から引きこもりになって、ある日突然意味わかんないことになって意味わかんないまま死ぬ。

 リオラ、可愛かったな……あの子と結婚したらしいことが俺の人生の最大の功績だろう。

「大丈夫ですか?カズヤさん」

 俺がなにもかも諦めたその時だった。

「リオ……ラ……!」

「大丈夫ですよ、カズヤさん。私がついているって言ったでしょう?」

 リオラだった。生きていたんだ!

「あの程度じゃ私はやられませんよ」

「一緒に邪竜を倒しましょう!」

「リオラ……すまない、役に立たなくてっ!」

「いいんです。「私はカズヤさんが生きていてくれればいいんですから」行きますよっ!」

 リオラは再びドラゴンに向かっていった。両方の足を切りつけて転倒させ、一気に畳み掛けている。いいぞ!頑張れリオラ!

 って、あれ?

 なんか、違和感が……。

 リオラが、二人いるような気がするんだけど……。

「ああっ!?」

 ドラゴンが凄まじい炎を吐き、リオラ達?が巻き込まれてしまった。炎がやむと、そこには何もなくなっていた。灰になってしまった。

「リオラっ!リオラあああぁぁぁっ!」

「はい!私はここに!」

「えっ」

 隣にリオラが居た。

「あれ、さっき、炎に……」

「あの程度で私はやられませんと言ったではないですか「もう昔の私とは違うんです「神様の一端であるこのリオラ、そろそろ本気を出させて頂きます!「さあ、連携して連続攻撃を仕掛けますよ!」」」」

 四人も居た。

 四人のリオラが駆け出していき、見事な連携攻撃を決めてドラゴンを圧倒し始めた。しかしさすが世界を破滅させる力を持っているだけあり、一瞬の隙に全部のリオラがなぎ払われてしまった。

「てことはまさか……」

「「「「「「「「はい!私はここに!」」」」」」」」

「うるせえなおい!」

 八人のリオラが次々に出てきてドラゴンへ向かっていった……と思ったら一人はそばに残ってくれたようだ。リオラが何か唱えて杖を振るうと身体の麻痺がとれてきた。回復の奇跡だろう。

「ありがとうリオラ。楽になったよ」

「これが私の奇跡の力ですよ!」

「……で、これはどういうことなのかな」

「これ、とは」

「何で増えてるの?」

 ちら、とドラゴンの方を見ると無数のリオラがドラゴンを圧倒している、もういじめの域だ。ときおり事故のように何人かのリオラが倒されると、その二倍の人数のリオラが俺の横に出てきてはドラゴンへ向かっていく。

「ああ、カズヤさんは知らないですよね。これは高レベルで習得できるスキルでして」

「へぇ……どういう仕組みなの?」

「えっとですね、まず死んだら時が巻き戻るスキルがあります。通称『死にも」

「その通称は言わない方がいいかな!?」

「……で、そのスキルと平行世界の自分の情報をストック、出力できる能力を同時に発動しまして」

「よくわかんないけどうん」

「あとは自分以外の時の流れをもとに戻すスキルも使っておしまいですね」

「……」

 ようは無限に復活して、しかも復活するたびに二人に増えるということらしかった。

「私ずっと足を引っ張っていたので、活躍できるように頑張りました!」

「そっかぁ……ちなみにレベルはいくつなの?」

「今は65535です」

「レベル上げすぎだよね!?四年間で!」

 俺のレベルはきっとこの左上に見えている数値のことだが、999と書いてある。おそらくこれでも結構すごい方だったのだろう。

「いやぁー、結構苦労しました。今のスキルを揃えたのはちょうど今のレベルになってからなんですよ」

「うん、たぶんそれで最大値だろうからね……」

「あ、終わったみたいですよ?」

 雑談をしているうちに世界を破滅に導くドラゴンを倒してしまったらしい。洞窟の奥の方で無数のリオラが互いにハイタッチしたり抱きあったりしている。

「これで世界の滅亡は回避できました!やりましたよカズヤさん!」

「……わぁい」

 実感が沸かないとかいうレベルではない。もうなんで自分がここにつれてこられたのかが皆目分からなくなっていた。

「なぁ、あのリオラたちはどうなるの?」

「どうなる、とは」

「消えちゃうの?」

「いいえ?消えませんよ」

「えっ」

 嫌な予感がした。あそこにいるリオラはすべてこのリオラのコピーと言える。つまりみんな同じ考えで、みんな同じことをしようとする。

 そして俺はさっき、リオラに愛の告白をしたらしいので……

「リオラ。あの結婚の話だけどさ」

「ええ!式はとなり町の協会で挙げましょう!世界を救ったことも一緒に報告すればきっと皆が祝福してくれますよ!」

「楽しみですねー!」

 ああ!ほかのリオラに聞かれてしまった!

「カズヤさん、式はどんな風にしましょうか?」

「西風にします?東風にします?」

「誰をご招待しましょうか?」

「あの奴隷だった女の子達を誘ってあげましょう」

「それはいいですね!」

「他にも今までの町の人たちとか……」

「エルフの皆さんもきっと喜んでくれますよ!」

「エルフは結婚を祝うのが好きだそうですから」

「国王にもお話を」

「そして結婚式のあとは……」

「カズヤさん「その、私そういうのは初めてなんです……「神様なのに、恥ずかしいですよね「ですからその、できれば部屋は暗い方がいいです「恥ずかしい、裸を人に見せるだなんて「でもカズヤさんなら「カズヤさん、優しくお願いしますよ「カズヤさん……」」」」」」」」

「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」「カズヤさん」


「うるせえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!!」


 そこで、目が覚めた。

「……夢か」

 まだ心臓がバクバクしている。それにしても変な夢だったなぁ……美少女と結婚できたのはよかったかもしれないけど、もう今後しばらくは異世界転生はごめんだ。チート能力だのなんだのは要らない、平和で程度の低い生活が一番だよ……。

 ところでここはどこだろう、知らない天井だ。俺の部屋の天井ではなく、なんか、RPGに出てくる宿みたいな……。

「目が覚めましたか?カズヤさん」

「えっ!?」

 聞き飽きたその声がした方へ振り向くと、女の子が立っていた。

 何色と言えばいいのかよくわからないが赤紫っぽい髪に同じ色の大きな目と長いまつ毛とそこそこしっかりした眉毛が垢抜けない雰囲気だ。肌は血の通った健康的な白色、顔全体としてどこか幼い感じがする、十四才くらいで、黒いマントに黒いローブ、魔法使いが被っているような大きな三角の帽子、ヘンな形の棒はきっと魔法の杖で、ご丁寧に名前が彫ってある。

「リオラ!?なんで?」

「……いきなり名前を呼ぶのは冗談として受け取ってあげますが、なんでとは失礼な。これでも神様ですよ?」

「知ってるよ!」

「あ、覚えていてくれたんですね。まったく、イノシシ程度に負けるんじゃこの先心配ですよ」

「じゃあまさか……」

「そうです、本気ですよ。こっちの世界に連れてきちゃったのは謝りますけど、勇者になった以上この世界の悪い仕組みを解体する旅に出ましょう。ほら、さっさと起きて防具を来てください。まだ低レベルなんですから油断してるとすぐ死んじゃいますよ?」

 俺の旅は、まだ始まったばかりだったようだ。

というわけでエイプリルフールネタ。

続きを書く気は全くないです。

午前中には間に合わなかったのでゆるして。

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