8章 対抗戦前日
ジャンル別週間87位になりました。皆さまのお陰です。
なんか嬉しかったです。面接した会社から採用通知が来た感じです。
宿屋で眠れない夜を過ごした俺とぐっすり休んだ魔王は朝食を食べに1階に降りてきた。そう俺は枕が変わると眠れないのだ、繊細な心の持ち主だから。
「我はベーコンエッグとトーストが食べたい。」
「そうか、俺もそれにするわ。」
「コーヒーは苦いから、ココアで。」
「了解。」
もう何と言うかあれだ、人目もはばかず召喚を使って朝飯を出す。周りの人間は驚いて声も出無いようだ。寝不足で人目を気にする余裕がないのだ。それに魔王が滅茶苦茶目立っているので、今更人目を気にしてもしょうがないのだ。
身の丈2メートル30センチで頭の左右に渦を巻いた長い角が生えていて、瞳は金色で口から牙がはみ出ているのだから目立って当然だ。それに魔力か瘴気か分からないが体から変な黒い湯気みたいなものが噴き出している。俺から言わせると皆が遠巻きに見るだけで何もしない方が不思議だった。普通討伐するだろ?
「ここ良いかしら?」
「どうぞ。」
スタイル抜群の目つきのキツイお姉さんが来た。魔王が居るのにわざわざここに座ろうとするのだから、変人に違いない。俺だったら怖いから座らない。
「あなた達、最下位チームの人よね?」
「ああ、そうだろうな。」
「私、毎年ブービー賞チームの者よ。アンジェラって言うの宜しくね。」
「ああ、宜しくアンジェラ、俺達、チーム・フリーダムのぴっぴと魔・太郎だ。」
「あなた達初めて見る顔だわ、何時もの人達はどうしたの?」
「何時もの奴は知らんな。」
「此処の出場者って何時も大体決まってるから、知らないチームが来ると目立つのよ。」
「ふ~ん、それで俺達はジロジロ見られてたのか。」
「ねえ、それ美味しそうね、私にもくれない?」
「良いよ。」
アンジェラのベーコンエッグとパンとコーヒーを出して、一緒に食べる。魔王と二人で食べるよりも若いねーちゃんと食べる方がズット美味しい。
「なにこれ!美味しい。」
「ほら、ソース掛けろよ。塩コショウより美味いぞ。」
そう俺はベーコンエッグにはソース派なのだ、卵の黄身とソースが混じった物をパンに付けて食べるのが好きなのだ、ご飯のおかずの時はソースと醤油を両方かけるハイブリットな食べ方だ。
色々食べさせていると、アンジェラは色々な事を教えてくれた。大会に参加するチームは大体毎年同じな事、全部Aランクのチームで有る事。チームは5人までなので俺達以外のチームは全て5人組で有る事。
「ふ~ん、試合の怪我とかはどうなってんだ?ギルドが治してくれるのか?」
「ギルドの腕のいい治療師が治してくれるよ、腕が千切れた位なら大丈夫。でもショック死したらそこで 終わり。死んだ人間を生き返らせるのは無理だからね。」
「相手が死んだら失格になるんだろう?」
「故意に殺せば失格、事故ならまあしょうがないって感じ。」
「首を切るのは反則で、腕なら良いって感じなんだな。」
「何それ?凄い色だけど毒じゃないの?」
「失礼な奴だな!美味しいんだぞ。」
「我もその変な色のヤツ食べたい。」
「だから変でも毒でもねーから!葡萄の色だから!」
食後のデザートに巨峰のソフトクリームを食べていたらこの反応である、確かに紫色と言うのは見た目がちょっと怪しいかもしれないが。人外魔境の中でも特に魔境の道の駅で、特産の葡萄でソフトクリームを作ってるのだ、とても味が濃くて美味しいのだ、ラベンダー味もあるがこっちは石鹸を食べてるような感じがするので好きじゃなかった。
「わあ!本当においしい!」
「うむ、冷たくて旨いのだ。」
「口の中が紫色になるから、気を付けろよ。」
アンジェラとすっかり仲良くなった俺達は、また晩飯を一緒に食べる約束をして別れた。やはり人と仲良くなるには美味い物を一緒に食うのが一番だ。
「魔王、買い物に行こうぜ!」
「何買うのだ?」
「俺達、普通の服着てるだけだから、それっぽい装備を買いに行こうぜ。まさかこのまま大会出る訳には いかないだろ?俺達武装してないぞ。」
「我は、武器や鎧等要らんぞ。我が肉体こそリーサルウェポンだからな。」
「まあいい、それじゃ俺の装備見に行くから、付き合えよ。」
魔王を一人でほっとく度胸はないので一緒に買い物に行く。武器屋に行ってみたが物凄く高かった。原料を掘る所から全て人力だから当然かもしれないが、普通の装備一式で最低100万、中級で500万はかかる代物だった。
初級を着る位なら、無い方がマシだろうと思って武装は諦めた。中級を買う金は持ってなかったのだ。仕方ないからSWAT装備で誤魔化す事にした。全身黒ずくめだから多少は強そうに見えるかもしれない、つでにガバメントとヒップホルスターも出して装備する。これで一応俺の準備は終わりだ。銃を使うとどこに当たってもショック死する危険が有るので、なるたけ使わない方針で行く。使う場合は、足を狙う事にした、殺すより難易度が跳ね上がった。
「おい、魔王頼むぞ。お前だけが頼りだからな!」
「任せておくのだ!魔王が遅れをとるわけ無いであろう。相手に勇者が居ない限り我は無敵だ!」
「何だか、嫌なフラグだな・・・」
その晩、アンジェラと食事をしながら情報収集をする。魔王が建てたフラグが気になっていたのだ。
「なあアンジェラ、この大会に勇者とか出てないよね?」
「え、出てるわよ。前回2位だった勇者チーム。」
「そうか、終わったな・・・。」
魔王の立てたフラグはやはり強かった、俺達の優勝は無くなった、と言うか1回戦で当たれば初戦敗退もあり得る様だ。俺の身体が軽かったのも何かのフラグだったのかも知れない。