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孤児院の勇者Ⅱ  作者: ぴっぴ
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6章 ギルド消滅危機

ブックマークをくださった方、ありがとう。また頑張りますね。


 俺と魔王はギルマスになって全く冒険してなかった。毎日風呂に入って旨い物を食って遊んでいたのだ。なにせ今や、風呂と居酒屋で大儲けなのだ、冒険者みたいな汗臭い事をする必要は全く無いのだ。ギルマスで無ければニートだが肩書が有れば違うのだ。肩書最高!


 「ギルマス大変です!」


 「どうした?八兵衛・・じゃないメグ。」


 「ギルドの監察官です、やばいです!」


 「何だそれ?」


 冒険者ギルドは毎年1回組合の監察官が来て色々調べるのだそうだ、ギルド組合に収める上納金や不正やら諸々を調べてギルドのランクを決めるらしい。勿論ウチのギルドは毎年最下位の評価だ。上納金もダントツで少ないらしい。毎年嫌味を言われる1週間なのだそうだ。


 「何だ大した事ないな、1週間我慢すれば良いのだろう?大丈夫、社会人なめるなよ。」


 「大丈夫ですか?マスター、気が短いから心配で・・・」


 「元教員なめるなよ、馬鹿な生徒の親は馬鹿なんだぞ。クレームなんて慣れている。」


 監察官は凄く真面目そうな女の人だった。王都ギルドに所属している伯爵家の次女だそうだ。護衛にAランクの冒険者がついていた。凄く見た目の良い男だった。


 「これはこれは監督官様、ようこそいらっしゃいました。」


 「初めましてギルマス。私は監督官のクリスティーヌ。クリスと呼んで下さい。こちらは助手のレパード  です。」


 「私は副ギルマスのぴっぴです。こちらがギルマスの魔・太郎です。宜しくお願い致します。」


 「では早速ですが、本題に入らせていただきます。お宅のギルドは非常に成績が悪いです、自覚はござい  ますか?」


 「何分一月前にギルマスになったばかりなので、良く分かりません。」


 「その点については同情いたしますが、10年連続最下位ですのでこのギルドは廃止する方向で検討いた  したいと思います。」


 「失礼します。コーヒーお持ちしました。」


 丁度間の悪い時に、受付嬢がお茶を持ってきてしまった。


 「どうぞ、コーヒーでございます。」


 「ああ、ありがとうそこ置いといて。」


 受付嬢は監察官の顔を見て勝ち誇った様な顔をして、サラサラの髪を見せつける様にかき上げて部屋をでていった。多分シャンプーしてサラサラになった髪を自慢したいのだろうが、今はまずい。監察官を怒らせるとギルドが無くなってしまう。


 「随分と髪が綺麗な方ですわね。」


 「はあ、ギルドの風呂に入ると髪が綺麗になります。」


 「随分変わったギルドですわね?お風呂を経営してるのですか?」


 「はあ、風呂と居酒屋です。」


 「随分とギルドをなめている様ですわね、ギルドは風呂やでも居酒屋でもありませんわ!」


 「はあ、すいません。どうしたら存続出来るでしょうか?」


 「目覚ましい功績でもあれば存続すると思いますけど。無理でしょうね~。」


 折角の俺のニート生活が終わりを告げようとしていた。やはり世の中こんなもんだな。


 「目覚ましい功績ってどういったモノでしょうか?」


 「先日私のギルドではドラゴンを討伐いたしましたの、5年ぶりの快挙でしたわ。」


 「ドラゴン狩れば良いんですか?」


 「そりゃあ、ドラゴンを討伐すればギルドランクは上がりますわよ。」


 「それじゃチョット待ってて下さい。チョットドラゴン狩って来ますから。」


 「おい!魔王、ドラゴン狩って来い!」


 「え~、我今忙しい。もう少しでコヤツを討伐出来そうなのだ。」


 こいつは俺が頑張ってる横で狩りゲーをしていたのだ。話に加わるとややこしくなるから無視してたのだ。


 「煩い!ドラゴン狩らないと、風呂も飯も無くなるぞ!」


 「何だと!我の楽しみを邪魔するとは不敬なやつ!我がぶち殺してくれる!」


 魔王の目が蘭々と輝いている、口からはチョロチョロと火が出ている、風呂と飯が無くなるのが相当嫌な様だ。


 「こやつ共を消せば良いのではないか?」


 「駄目だ!消しても次が来るだけだ。」


 監察官達は俺達の会話を聞いて青くなっている。特に魔王が非常に危険な存在である事に気が付いたようだ、普段は馬鹿丸出しなのだが怒ると物凄く怖いのだ。


 「で、監察官。どの位のドラゴン狩れば良いんだ。」


 「う、うむ。先日のドラゴンは10メートルは有る地竜であった。」


 「よし魔王、20メートルのドラゴン狩って来い!とにかくデカい奴だ!」


 「うむ、任せておけい!」


 魔王は2階の窓から凄い勢いで飛び出していった。窓の外ではソニックブームが3回聞こえたのでマッハ3以上で飛んで行った様だ。魔王が本気なので一安心だ。


 「い、今の人。背中から羽出しましたよね?」


 「いや~、見間違えでしょう。人間の背中に羽は生えていません。」


 「いや、何か尻尾も生えていた様な・・・」


 「気のせいです、疲れてるんじゃないですか?」


 「ですよね!」


 監督官達を上手い事丸め込み、風呂と食事を摂らせることにした。ここで時間を稼いで魔王を待つことにする、


 「ふ~、大変素晴らしいお風呂でしたわ。特にシャンプーと石鹸はたまりませんわ。」


 「いや~、凄い施設ですね。王都より上なんじゃないですか。」


 「ははは、大した事ありませんよ、それより一杯どうです?」


 俺は大サービスでキンキンに冷えたビールを出してやった。ビールは生ものなので造りたてが一番美味しいのだが、無いから冷やして誤魔化すのだ。ついでにタコの天ぷらと鳥のから揚げを勧める。


 「・・・美味しい・・・」


 「これは・・・美味すぎる!」


 当然だ、風呂上がりに他人の金で飲む酒は旨いからな。


 ズズ~ン!!!!


 ギルドの外で地響きがする。建物が少し揺れた。結構な重量物が落ちてきた様だ。


 「ふひ~、我つかれた。」


 食堂に魔王が入って来る、結構ヘロヘロだ。本当に疲れている様だ。やはりドラゴンは強かったのかも。


 「ドラゴン狩れたか?」


 「うむ、デカくて入り口に入らないのだ。」


 俺は監察官と表にドラゴンを見に行った。


 「うわ~!!デカい!」


 それは大きいなんてものじゃなかった。ゴジ〇位有るのじゃなかろうかと言うサイズなのだ。尻尾の端が見えないくらい遠くに有るのだ。


 「何だこれ?」


 「これは、黒龍なのだ。古龍の中でも一番大きいのだ。」


 「こんなもの、良く狩れたな。スゲーよお前。」


 「ふふ、もっと褒めるのだ。我は褒められると伸びるタイプだからな!」


 「黒龍・・・・伝説級古龍・・SSSランクの災害魔獣・・・・」


 どうやらこれで良かったようだ、監察官も気に言った様だ。その晩は魔王の好きな物をジャンジャン出してねぎらった。こんな美味い物が食えるなら毎日ドラゴンを狩って来ると言っていたが、デカくて邪魔になるから止めさせた。何とかギルドが直ぐに無くなる事は無さそうだ。



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