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孤児院の勇者Ⅱ  作者: ぴっぴ
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3章 冒険者ギルド


 俺達は無事に街に入る事が出来たので一安心だ、飯も食ったし今後の事を考えると金を稼がなくてはいけない。毎日親切な人が俺達にお金をくれる事などないからだ。


 「おい、魔王。冒険者ギルドに行くぞ。」


 「なにそれ?」


 「仕事を紹介してくれる所だ、俺の世界じゃハロワって言ってたが、ここでは冒険者ギルドって言うの   だ。」


 「ふ~ん。我仕事したことない。」


 「だろうな、働いてる魔王は珍しいからな。」


 街中をブラブラ歩きながらギルドを探す。武装した人相が悪い男たちが入っていく建物を見つけたのであれが多分冒険者ギルドだろう。看板に剣と盾の絵が書いてある。

 結構大きな建物だ、景気が良さそうで結構なことだ。これなら俺達にも仕事が有るだろう。2人で建物の中に入ると、大きなカウンターに綺麗なお姉さんが7人並んでいた。中は武装した人間でいっぱいだ、男が9割で女が1割だ。はっきり言って雰囲気が非常に悪い。いや、臭い。おまけに沢山並んでいるのだ。


 「おい魔王。威圧。」


 「ほい、威圧!」


 魔王の身体から殺気が噴き出し、並んでいた冒険者は腰を抜かしたりギルドから泣きながら逃げ出した。カウンターに並んでいる人達が居なくなったので俺は一番綺麗なお姉さんの所に行った。


 「すいません、冒険者の登録したいんですけど。」


 「ひいい~!」


 お姉さんは真っ青な顔をしてガタガタ震えている。震える度に大きな胸が揺れて中々よい感じだ。いや違う。震えられては話が進まないから困るのだ。


 「魔王。威圧止め!スマイルだ!」


 「うんもう良いのか?」


 魔王は威圧をやめて、牙をむき出しお姉さんに笑いかけた。


 「ひいい~!食べないで下さい!お願いします。」


 「食べませんから、登録お願いします。」


 泣きわめくお姉さんをなだめて何とか、登録の書類を2枚貰った。魔王と一緒に書くことにする。


 「魔王、お前字書けるのか?」


 「魔族語なら書けるが、人語は読めるけど書けないぞ。」


 「そうか、それじゃあ俺が書くわ。」


 「ほう、勇者はピッピという名であったのか。」


 「いや違う。」


 「でも名前の所に書いたではないか?」


 「これは、ハンドルネームだ、名前じゃ無い。」


 「そういえば、魔王の名前は何て言うんだ?」


 「魔王!名前は魔王だ。」


 「それは名前じゃないぞ。」


 「でも皆、我の事を魔王って呼ぶぞ。」


 「そりゃあそうだろう。まあいい、俺が適当につけといてやるよ。」


 「マタロウっと。お前今日から魔・太郎だから。」


 「うむ、分かった。我は今日から魔・太郎だ。間違いない。」


 適当に書いた書類をお姉さんに出して、俺達は冒険者になった。お姉さんは何か言いかけたが魔・太郎の顔を見て青くなって止めていた。

 さて、クエストを受注だ。駆け出し冒険者の俺達は今はFランクらしい。簡単なクエストから初めて徐々にランクを上げるのだ。目指せSランクなのだ。


 「魔王、クエストをこなして金を稼ぐぞ。」


 「うむ、金を稼いで旨いものを食べるのだ。」


 クエストはクラス別に張り出されているので俺はFランク用のクエストが張られている所に行き薬草採取のクエストの紙を剥がして持ってきた。薬草10本1000ゴールド、一回50本までと言う初心者用の救済クエストだ。後はどぶ掃除とかゴミ拾いとかだった。魔物の討伐は俺達の一つ上のランクからの様だ。


 「我これにする!」


 魔王が持ってきたクエストを見たら。ワイバーン討伐だった。注意書きにBランク以上のパーティー推奨になっていた。


 「こりゃあ駄目だ魔王、俺達Fランクだから受けられないわ。」


 「我はワイバーンが食べたい!」


 「そう言えば、あれのから揚げ美味かったな。」


 「から揚げ?」


 魔王がしつこく聞くので、ワイバーンのから揚げの旨さを教えてやった。


 「われ絶対に食べたい!」


 「そんじゃ、今晩はワイバーンのから揚げにするか。」


 カウンターのお姉さんに薬草採取のクエストを手続きしてもらう。ワイバーン討伐は元の位置に返して来た。俺達では受注できないから。


 「お姉さん、ちょっと聞きたい事が有るんだけど。いいかな?」


 「は、はい身長は160センチでバストは90です、彼氏は居ません」


 「いやそんなのはどうでも良いんだが・・」


 お姉さんはチョットむっとしたが、俺はそんな事には動じない。なにせ俺は勇者、鋼の精神の持ち主だ。


 「薬草探してる時に魔獣に襲われて、たまたま討伐したら、ギルドで買い取って貰えるかな?」


 「ああ、たまにゴブリンやオークを討伐することは有りますよ。その場合はギルドで買い取ります。」


 「ああ、そう、ありがとう美人のお姉さん。」


 そして俺達はギルドから出た。そして入り口付近で初心者冒険者が来るのを待っていた。別に因縁をつけて金を巻き上げる訳ではない。金を巻き上げるなら上級者を狙うからだ。


 「われ、はら減った。」


 「黙れ!我慢しろ。」


 丁度その時、絵に描いた様な初心者冒険者のパーティーがやって来た。木の槍やこん棒に、布の服を着た子供達5人組だ。


 「ちょっと兄ちゃん、いいかな?」


 「は、はい。」


 「俺達の代わりに薬草取ってきてくれないかな?」


 「薬草ですか?薬草取ってきたら俺達をイジメないでくれますか?」


 「いや、イジメたりしないから。薬草50本1万で買い取るから。」


 「え!薬草50本で5000ゴールドですよ!」


 「いいからいいから。俺は子供の味方だから。」


 「ありがとうございます!助かります!」


 子供たちは喜んで薬草を採りに行った。夕暮れ時に街の入り口で待ち合わせすることにした。ついでにワイバーンが何処にいるか聞いた。日が暮れる方角の山の上だそうだ。


 「おい、魔王。ワイバーン取って来い。あっちの山の上にいるらしいぞ。取ってきたらこんばんはワイ   バーンのから揚げだ!」


 「うほ~!我の力を見せる時が来たようだ!」


 魔王は西の山目がけて物凄い勢いで飛んで行った。俺はから揚げの材料探しに街を散策する。そして夕暮れ時に成り街の入り口に行くと子供たちが待っていた。


 「よう、待ったか。」


 「いえ、今来た所です。これ薬草50本です。」


 「おう、ありがとうな。これ約束の1万ゴールド。」


 「ありがとうございます!これで皆で旨い物が食えます!」


 丁度そこにワイバーンを背負った魔王が帰って来た。


 「じゃじゃじゃじゃーん!我帰還!」


 「うわあ~あ!ワイバーン!」


 翼を広げると7メートル位の中型ワイバーンだった。首がブラブラしてるので首の骨を折って捕まえたのだろう。


 「おい、魔王。血抜きしろよ、そのままじゃ不味いぞ。」


 「?血を抜けば良いのか?」


 「ああ、殺したらすぐ血を抜かないと不味いんだ。」


 「ずずず~!!」


 何と魔王はワイバーンに嚙みついてそのまま生き血を啜った。子供たちは恐怖で震えている。


 「おい、魔王。隠れてしろよ。子供がおびえてるだろうが。」


 「うむ、なんかすまんかった。」


 それからギルドに行き薬草クエスト達成のサインと5000ゴールドを受け取り。薬草採取の時にワイバーンに急に襲われたのでたまたま倒した話をして、ギルドにワイバーンを買い取って貰った。ワイバーンは80万もしたので大儲けだ。肉を大量に貰ったので子供達にもおすそ分けして食べた。


 「いや~、我満足!また取って来る。」


 「うん、結構美味かったな。金にもなったし流石魔王だ。」


 「むふ~ん、もっと我を褒めるのだ。我は褒められて伸びるタイプなのだ。」


 金は十分有ったので、俺達は優雅に高級宿に泊まり、冒険者初日を終えた。何だか魔王が有能に見えてきたがきっと気のせいだ。


 




 


 




 


 

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