14章 クソ勇者ども
この世界にはうじゃうじゃ勇者が来ていた。それはそれは多かった、ヒキニートとか事故で死んだ奴らとかいっぱいいた。そいつらみんな馬鹿だった。何の取り柄も能力も無いのにハーレムを作ろうとしたり、料理をしたこともないくせに食い物屋をしようとしていたのだ。現実を見ろ馬鹿共、今まで出来なかった事が急に出来る訳ね~だろうが。
勝手に暴走して直ぐ死んだ奴らは良いが、なまじ知恵が有る奴は隠れてハーレム作ろうとしている変質者が多かった。そこで頭に来た俺達は不良品の勇者を討伐する事にした。
「で、クソ勇者をどうしようか?」
「おっちゃん、あいつら馬鹿だぞ!殺すしかね~と思う。」
「自分の巣に帰ればよいのですが、帰りませんわね。」
「我輩勇者とは相性が悪いのだ。」
「リア充爆発しろ!」
真面目に世界を救おうとする勇者は応援するが、女を騙してハーレムを作ろうとするカス勇者は討伐することにした。一応俺も勇者なので勇者同士の争いは世間体が悪いので魔王を中心としたチームを作る事にした。折角魔王がいるので俺達4人は四天王という事にする。
「おお何だかカッコ良いのだ!吾輩感激!」
「ふふ、ウチは破壊王チチ!」
「私は氷の女王ヒメですわ!」
「うんじゃ俺は早打ち大王。」
「俺は恋人募集中でお願いします!」
「ぶ~!それは駄目です。お前は性欲大魔王レビンな!」
「うわ~!もろジャン!モテないじゃん!」
見事に4天王の名前も決まったので、俺の召喚した車で街を巡回することにした。真面目な勇者はダンジョンとかで修行しているが、変質者の勇者共は大概大きな街に居座っているのだ。理由は簡単、若い女が多いからだ。ついでにギルド経由で不埒な勇者がいたら知らせて貰うように連絡した、俺達は大会優勝者なのであっさり皆協力してくれた。
「きみ、魔王討伐に協力してくれないか?」
「えっ、私魔王となんか戦えません!」
「そうか、じゃあ一晩付き合ってくれないか。」
「嫌です!」
「おやおや、良いのかいこの世界が滅んでも?勇者がやる気を無くしたら魔王が勝っちゃうよ!君のせい で大勢死ぬよ!」
「そ・・そんな!」
ボコん!
力いっぱいクソ勇者を殴ってやった。こいつら気の弱そうな女の子を脅しては強姦するのだ。
「このクソ野郎!さっさと魔王を討伐しやがれ!」
「な!何をするんだ!僕は勇者だぞ!偉いんだぞ!」
「やかましい!この強姦魔が!」
「強姦じゃない!和姦だ!」
ぼかん!ボカン!
くだらない知恵ばかり使う餓鬼を思いっきりぶん殴る。泡を吹いて倒れているのをギルドに運び込む。こういう腐ったヤツは奴隷にして強制労働だ。
「くそ、気分が悪いぜ。手が痛て~!」
「旦那、次は俺に殴らせてくれよ!ああいうヤツ見てるとぶん殴りたくなるぜ!」
「おう、思いっきり殴れ!死んでも構わん。」
それから俺達は勇者を狩って狩って狩りまくった。いったい何人の変質者がいるんだ?この世界の神は馬鹿なのか?もしかして邪神でこの世界と俺の世界を戦争に導こうとしてるのか?
「旦那!俺もう疲れたよ。旦那の世界は変質者だらけなのか?」
「馬鹿!そんなわけ有るか。基地外は確かに増えたがここまで多い事はないはずだ。」
「おっさん、確かにこいつら酷過ぎだ。女とやる事しか考えてねーじゃん。」
「それは若い時はしょうがないが、何故ちゃんと付き合おうとしないのかが分からん。」
「あれかな旦那?こいつら女と付き合った事ないんじゃねえかな?」
「そんな訳あるか!世の中の半分は女だぞ。彼女なんか簡単にできたぞ。」
「旦那なんか死ねば良いのに!」
レビンに言わせると彼女を作るのは難しいのだそうだ。好きな奴に声を掛けるののどこが難しいのかさっぱり分からん。断られたら次に行けば良いだけだ、その内成功するし、成功したら全ての失敗は正当化されるのに。受験と一緒で幾ら落ちても最後に良い所に受かれば勝なのだ。要は勝つまでやるか途中であきらめるかという、根性の有る無しの問題だ。
「レビンお前、もしかして振られるのが怖いんじゃねえか?」
「そりゃあ怖い、振られたら立ち直れね~ぜ!」
「振られてもどうって事ないぞ。むしろ次に行けるから有難い位だ。」
「無理!そんなに俺メンタル強くね~から!やっぱ旦那は勇者だよ!」
聖騎士の訓練で本当に血反吐を吐きながら耐えていたレビンが、女に振られる事を怯えるとは意外だったが、良く考えると俺も最初は凄くショックだった事を思い出した。まあ何回か振られると慣れるのだがそこまで行ってないならしょうがない。レビンにはドンドン振られる経験を積んでもらおう。レビンは根は良い奴だから普通にしてれば彼女が出来ないわけは無いのだ。
それから3か月程頑張って、この世界の変態勇者は狩りつくした。努力型の勇者はレビンが剣や戦闘訓練をしたが基礎体力も才能もなかったので、俺のギルドでレベル上げに励んでもらう事にした。
「おっさん、今度はどうするんだ?」
「今度は、この世界の魔王に会ってみようと思う。悪い奴じゃなさそうだしな。」
「うむ、吾輩魔族に会うのは久しぶりである。楽しみなのである。」
「俺は何か会いたくね~な。怖いし。」
「面白そうですわね。」
人間の方は一応落ち着いたみたいなので今度は、魔族の領土の方に行く事にした。引きこもりの平和主義魔王と話をしてみたかったのだ。




