表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
犯人は僕でした  作者: 駒米たも
本編
60/174

052 容疑

 そもそもシャーロットとは何者だったのだろう。

 僕には彼女に関する知識がまったくない。人を殺すことに戸惑いはない。普通の少女として振るまえるだけの観察力と演技力。そして何より毒物と刃物を使い分ける技量。

 並大抵の殺人犯ではないとお見受けする。早く見つかってほしい。


 新しく登場した殺人鬼にワクワクする一方で、彼女が未知なる存在だという不安もある。僕が三日間もミス・トリの世界で生きてこられたのは、ひとえに原作と映画のおかげだ。知らない存在には対処の仕様がない。


 過去にミステリアス・トリニティ内で出てきた未解決の事件に関係するのかもしれないけど、記憶での話。取りこぼしがあったら困る。本編の中では原作本が売られていないから困ったものだ。

 うなれ! 僕の記憶力! ミス・トリ検定があったら、そこそこ良い線までいけるはずだ! 自分を信じてビリーブユアセルフ!


 全然出てこない! 無理するのは良くないから気が向いた時にでもうなってくれ、灰色の脳細胞!


 ミス・トリでは殺人犯ごとに何かしらの特色があるのだけれど、彼女のモチーフは何だったんだろう。

 例えば、リチャードが狙うターゲットは女性と子供に限られる。凶器に使うのは銀製のナイフだし、遺体はなぞなぞに見立てられる。

 シャーロットにも何らかの規則性、惹かれる獲物があると思うんだけど、それさえ分かればな。先回りできるのに。

 マーシュホースの本当のトップはエルマー夫妻ではなく、本当のトップに雇われた殺し屋だったーなんてオチもいいな。


 よし、とりあえず目の前の事実を全部無視しよう。そして単純に考えてみよう。物事はシンプルにできているとオッカムのウィリアムさんが言っていた。バスカヴィルのウィリアムさんは悪魔は精神世界に住んでいるって言っていた。直感だって、立派な推理の一種だ。無意識なだけで。


 それじゃあ、原作十三巻から僕がお勧めする生存者の中で黒幕であって欲しい人ランキング(エルマー夫婦を除く)。

 第三位小悪党ハーバー、第二位探偵レイヴン。


 生存者に限定した理由は原作十三巻までマーシュホースが存在し続けていたから。ミス・トリは死亡によって消えるサブキャラクターが多い。だから「生きている」ということ自体が疑う要素になり得る。


 ワイリンガムハウスの図書室。使われた書き物机には剣を持った天使が刻まれていた。同じ天使を菓子屋でも見たぞ。扉にぶらさがっているベルに飛んでる天使がついてた。あれの手にも剣が握られていた。


 マーシュホース商会が傾くという情報を知っていた人。世代交代ではないが、既に切り取らなければならない人物をその人は知っていた。頭を両方切りとる事で、マーシュホースの刷新にいち早く乗り出した。

 シャーロットと、他者の目の無いところで二人きりになった事のある人。あの人の到着は、最後だった。この時点で僕のコートのポケットに針が入れられていたとしても驚かない。

 警察の配備が自由にできる人。シャーロットの逃走経路を用意することが出来て、トランクケースを見つけても見なかったことにできる情報管制者。


 晩餐会に必要だと招かれた人。彼の両脇には女性が配席されている。まるで彼が本当の主人ホストみたいに。


 探偵と知り合い。少なくとも、二件程度の殺人で探偵は身内を疑わない。

 剣を持つ天使は大天使ミカエルを意味する、警察の守護聖人。


 怪しさ第一位は警察署長、バグショー氏に決めました。

 傷だらけのトランクを手にしてやってみた、素人の推理。半分は外れていると思うけれど、半分くらいは当たっているといいなーー……。


 いや。


 いやいや、待ってくれ。僕、いまバグショー署長の家にいるんだけど。

 犯人じゃないと思ってどでかい証拠もって来ちゃったんだけど。

 僕がここにいる事しっている人、誰もいないんですけど。

 知ってるー。このパターン、知ってるー!! 推理小説とかミステリーでよくあるやつー!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ