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犯人は僕でした  作者: 駒米たも
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或る青年の返信

 トマス、お手紙ありがとう。半分以上は君の字だね。



 拝啓、リチャード・ライン様


 お元気でしょうか。

 君からのお手紙、嬉しく拝見しました。驚いたけれど、ネズミの便箋にリスの封筒って辺りに言葉にならざる執念を感じました。


 ミステリアス・トリニティも最終巻が発売され、君たちのことも随分と話題になりました。一リチャードファンとしては嬉しい悲鳴です。あのファンの熱狂を見ていると、僕なんてまだまだだなと思いました。精進したいと思います。


 次の映画九作目からはアンデル監督とミシェル監督の共同脚本になるそうで、僕もちょっとだけ出演するそうです。それが叶ったら、また十九世紀に遊びに行くことができると思います。今から楽しみです。


 アンデル監督は『トム・ヘッケルトン』という本を執筆中で忙しいみたいです。ミシェルさんと一緒に西山さんの所に来ては、あれこれ昔話に花を咲かせています。


 西山さんとミシェルさんは、今度一緒にマリアさんのお墓参りに行くそうです。実はマリアさん本人が彼らの隣に座っているので、なかなかホラーな光景です。見えないって幸せですね。

 飛行機の中で西山さんがポックリ逝かないように見張っているそうなので、しばらくはマザー・エルンコットとケイトリンさんに警戒しなくても良いと思います。


 オフレコですが、ナンシーの弟さん。クリストファーらしき人骨の一部が見つかったそうです。

 本人に聞いてみたところ「本物の人骨、始めてみたかも!?」と大興奮で言っていたので、DNA鑑定待ちです。


 僕は元気です。

 今日も姉ちゃんが主役の推理小説で影の薄い登場人物Aとして生きています。

 けれど今までと少し違うのは、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、死体に会う確率が増えたことでしょうか。


 密室の職場で死体見つけたり、出向先で死体見つけたり、早退したら死体見つけたりと、週一間隔でポコポコ出会うようになりました。

 何だかドラマみたいだねと軽口を叩いたら姉ちゃんからネックハンギングツリーをかまされました。冗談なのに。警部に昇進したのが、そんなにストレスだったのでしょうか。

 僕もいつか、サブキャラクターくらいには出世したいものです。



親愛をこめて


高畑章



追伸:日本のゲームでは、レイヴンが女性になってました。それ以外は全員男性です。あれは、どえらい事故でした。


追伸2:英国に通訳として仕事に行くことになりました。もし時間があったら、ドラマの君と昼食でも取りたいものです。


追伸3:ミシェルさんのコネで現代版のミステリアス・トリニティ、第一話見ました。最初は警戒してたけど、慣れてくると結構いいと思うよ? ドジっ子メガネ秘書。








【監督】

アンデル・バーキンダム/アルバート・バグショー

ミシェル・ウェリンガム/アビゲイル・アシュバートン


【脚本】

トム・ヘッケルトン

高畑章……ゲスト出演


【原案】

ミスター・グッドフェロー/レノーア/クリストファー


【スペシャルサンクス】

シスターナンシー/プルート/アンナ




【スタッフ】


レイヴン(アーサー・ライン)

ジェイコブ・ハートフォード(ジェイコブ・ライン)

リチャード・トマス・ライン(リチャード/トマス/父親)


トマス・ライン

メアリー・ライン(メアリー・ハートフォード)


ハムレット・ネリー(ネリー・アッシャー)

オフィーリア・アッシャー(オフィーリア・ライン)

エルメダ・アッシャー(ヴィクトリア・アッシャー)

ウィリアム・ライン(シャーロット・アッシャー)


カイル・アベニュー

マルコ・デクワン

李峰

マルティネス・オブライエン


ジャクリーン・ハートフォード

ダニエル・ルースター(幽霊)

イリーナ・ラムズトン(イリーナ・ルースター)

ミスター・ラムズトン

アンドリュー・ルースター


アルバート・バグショー(監督)

コートニー・バグショー


ニコラス・ベッカー

メイベル・ベッカー

シスター・ケイトリン

(ケイトリン・アシュバートン/ケイトリン・ベッカー)


エリザベス・フォレネスト(スー)

ベンジャミン・リンドブルーム


マザー・エルンコット(マリア)


ジョージ・ターナー

マーガレット・ターナー

ローズ・ターナー

ヴァイオレット・ターナー(ヴァイオレット・アシュバートン)

リリー・ターナー


ジェラルド・エルマー

キャロライン・エルマー(キャロライン・アシュバートン)

ヘンリー・アシュバートン

アリス・アシュバートン

アビゲイル・アシュバートン(ミシェル・ウェリンガム)

ミランダ


トリスタン(西山)

イゾルデ(マリア)



西山行



 

『――当機は間もなく、ヒースロー空港へと着陸します』


 ポーンという電子音と共にシートベルト着用のサインが灯る。

 白波を越えれば、真下に見えるのは緑一面の牧草地だ。


「イングランドへはご旅行で?」


 隣に座った感じの良い老夫婦が微笑みながら尋ねる。彼らは熟年旅行中で、子供の家に招かれているらしい。二人とも嬉しくてたまらないといった表情だ。

 僕も同じ。今にも鼻歌を歌い出したいくらい。


「はい。それから」


 かき集めた文庫本の中から一枚のメモ帳がすり抜け、床に落ちる。


「友達に会いに!」


――T h e M y s t e r i o u s T r i n i t y


"My U(you)th stories try it in E "


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― 新着の感想 ―
[良い点] ▶︎けれど今までと少し違うのは、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、死体に会う確率が増えたことでしょうか。 …週一で遭遇はちょっととは言わないんですよ(白目)
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