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犯人は僕でした  作者: 駒米たも
エンドクレジット
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或る青年の手紙

 拝啓、親愛なる友人へ


 まさか僕から手紙が届くとは、君だって予測できなかったでしょう?

 だから敢えて言わせてもらいます。『驚いた?』

 からくりは最後に説明するとして、君のことだから、あれからの事が気になって仕方ないんじゃないかな。

 奇跡的に君たちのことを思い出せたのは、日頃の行いが良いせいかもしれません。


 僕たちは元気でやっています。ジェイコブを除いて。ジェイコブというより、現在は伯爵様と言うべきかも。


 無事、彼に爵位を継がせることに成功しました。なので今の僕は三男(スペア)に戻りました。今は探偵事務所で寝泊まりしています。

 不幸にもグリーンタワーホールは全焼しましたが、土地は売る予定でしたし、サザビーズに持ち込んでいた家財は大体売れたそうなので金には困っていません。

 没落貴族と言われているけれど、僕は今の生活が好きです。


 ジェイコブは新しい家をロンドンに買いました。 

 今頃、真面目に伯爵をやっていると思います。何年も職務放棄したんだから、きっちり働いてもらわないとね。

 あの襲撃の際、一番被害者を出したのはジェイコブでした。それを止めたのがシスター・ケイトリンだったと言うから驚きです。

 そして僕とレイヴンとジャクリーンさんは、しっかり監督してて欲しいッスとバグショーJr君にこってり叱られました。彼も大変な時期なのに、凄いと思います。

 ジェイコブにはきっちり反省してもらいたいです。

 ネリーさん、カイル、李さん、それにマットさんというライン家の三銃士プラスアルファが付き添っているので、領主の仕事はサボれないと思います。観念してパーティー三昧してくださいと思います。


 あれからアシュバートン家の人は絞首刑になりました。

 ですが週末になるとアビゲイルと一緒に遊びに来ます。

 自分でも何を言っているのか分かりませんが来るんです。

 この調子だとケロッとした顔でバグショー署長も来そうだな、と話していたら、やっぱり来ました。

 アビゲイルと会話しながら此方を凝視してくるので、すさまじく怖いです。あとひたすら二人で何か書いては頭を抱えています。その光景はちょっと、面白いです。


 あと、リンドブルーム家の人も遊びに来ます。付き添いの人も四人来ます。向こうは君のことを知っているみたいで、いつも霊能力者じゃないのかと聞いてきます。断ると残念そうな顔をするので、罪悪感を抱いてしまいます。


 ちなみにスーさんとアビゲイルが出くわすのが最悪のパターンで、口喧嘩で日が暮れます。仲が良いとは思うのですが、巻き込まないで欲しいです。


 レイヴンは元気です。

 エルメダさんとナンシーも、元気です。ジャクリーンさんと三人でシェアハウスを始めたそうです。三人とも、毎日楽しそうです。


 それから、ナンシーから伝言を預かっています。

「よくやった」

 ナンシーと言えば、この前一緒にサーカスを見に行きました。

 ゴドウィンとハーバーがサーカス団に就職したからです。無茶しやがってと思いましたが、彼らも幸せそうだったので何も言えませんでした。

 団長さんも良い人そうでした。仮面と喋り方は凄く胡散臭いけれど、どこか君に似ている気がします。


 さて、それじゃあそろそろ、この手紙の答えを言いたいと思います。


 この度、ミステリアス・トリニティがアメリカで現代版にアレンジしてドラマ化される事になりました。

 二十一世紀版ミステリアス・トリニティ。君なら予想していたかもしれません。


 レイヴンは元FBIの探偵、ナンシーは幼稚園の先生。

 ジェイコブなんてジェニファーになって、ジャクリーンと姉妹だし。

 バグショー署長は妙齢の黒人シングルマザーとして頑張ってるし。

 ハーバーとゴドウィンはヘレンとグレアナって女怪盗になってるし。

 幽霊(ダニエル)とウィリアムに至ってはDカップになりました。


 だから、僕の身に何が起こったかも察して欲しい。

 現代版ドラマの僕を通じて、日本にいる君に手紙を送れることは嬉しい。

 でも、こんなのってあんまりだと思いませんか。



 リチャード・トマス・ライン改めレイチェル・T・ラインより



追伸:セカンドシーズンで、日本のドラマとクロスオーバーすることが決まりました。楽しみだけど、普通の日本人って君みたいな人が多いって本当?


 


  

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