鮮やかな犯行
泥棒について熱心に研究している青年がいた。ある時は図書館に通いつめ、泥棒に関する書籍を読み漁り、またある時は、インターネットで知識を深めた。
青年にとって泥棒の理想像が出来上がる。それは青年の中での完璧な泥棒だった。
やがて青年は、
「泥棒をしてみたい!!」
との衝動にかられる。その衝動は次第に大きくなり、いよいよ犯行に移してみようという所まできた。
狙いをつけた宝石店に潜入。長年泥棒を研究してきた青年の犯行は華麗で鮮やかだった。防犯システムをかいくぐり、見事宝石を盗んでみせたのである。
しかし青年はあっという間に捕まってしまった。
「自分の手口は完璧だった。一体何故?」
と問う青年に警察が答えた。
「今どきほっかむりで顔を隠し、唐草模様の風呂敷を背負った泥棒なんていないからな。」