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俺の恋。決めた恋。  作者: テイジトッキ
139/146

139. 朔也◇◆朱音

アブナイ、アブナイ。

ったく、ちょっと目を離すとこれだから……。


一目でわかった……。

カイトが芙柚さんのことを好きだって事。

そして、朔也も……。


かぁ~、いったい何考えてんのぉ? 最近のオトコどもは……。

いくら、あの人が綺麗だからって……元は『オトコ』でしょ?

み~んなホモってこと?

信じらんな~い。


仕方ないわ! 私が皆の目を覚まさせてあげる。

私の魅力で……。


ま……、今は、ガキんちょにしか見えないかも知れないけど……。

と、特に、カイトは絶対ダメよ!

芙柚さんには悪いけど、カイトは私のモノなんだから。


カイトが、私じゃない人をあんなふうに優しい目で見るは絶対イヤ!


朔也……。あいつを巻き込んで邪魔してやる。

利害関係は一致するハズだから、きっと上手くいくと思う。


フフフ……。奴は私に負い目があるから……。

そこんとこをチョコチョコって弄れば、朔也は私の言いなりよ。


オーッホッホッホッホッホッ……。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


……ったく、朱音のやつ。

オンナのくせに……。

なんで、あんなにゲーム強いんだよ!

クソッ! ムカつく……。

ちょっと、勝ったからって上からモノ言いやがって……。


だけど……楽しい。

芙柚はダメだ……すぐに、『もう、ムリ~』って言って、ゲームを放り出すんだ。


けど、アイツは違う……。


意地っていうか、最後の最後まで全力投球……。

その気迫に呑まれて、負けちまった……。


い、言っておくけど、気迫に呑まれただけだからな!

スキルは、絶対俺の方が上なんだからな!

次こそは、絶対勝つ!!


アイツは、柳さんを自分の方へ向かすのに躍起になってる。

俺が見てきた限り……容易いことじゃないと思う。

が、……協力してやってもいいぞ。


だから、きっとヤツは俺に何か持ちかけてくるハズだ。


柳さんには悪いけど……。


早く来いよ……。

芙柚が……柳さんの良いとこに気付くまでに……。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


ダメ、ダメ、ダメ、ダメェ……。

もう! カイトったら、芙柚さんしか見てないんだからぁ。


確かに……、芙柚さんは綺麗だし……。

女らしい……し。

優しいし……。


……すっごく、ステキ。

まいったな……。

こんなの……反則だよ。


ってか、何で今日アイツに負けたのかしら。

くやしーー!!


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


バカ朱音。

必死で柳さんに喰らいついてるのは分かるけど、それじゃ逆効果ってのが分からないかなぁ。

柳さんとか芙柚からしたら、俺達はまだ子供なんだから……直球投げてどうすんだよ。

それに、オトコはキャンキャン吠えるオンナは苦手なんだよ。

お前はそのまんまだ……出直しだわ。


へっへ~ぇ。

連勝だぁ! きっもちいい!! あの悔しそうな顔が、堪んねぇなぁ♡


バカ音! チョーシこいてんじゃねぇぞぉ。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 


そうなんだ、芙柚さん……心はオンナなんだ。

なんか……フクザツ。


やっぱ……反則だよ……。

じゃ、芙柚さんって全部持ってるんじゃん……。

オンナの気持ちも分かって、オトコの気持ちも分かって……あんなに綺麗で……。

頭良くて、バカ朔が慕ってて……カイトに優しくされて……ズルイよ!


私……自分の事しか知らない……。

自分の事も、分かんなくなる時だってあるのに……。


芙柚さんなんて……キライだ。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


どうしたんだよ、バカ音のヤツ……。

芙柚の事、話したら急におとなしくなってさ。


『そういうの聞いたことある』って、言うから話したのに……。

ゲームにも気が入ってなかったみたいだし……。


俺、何か悪いこと言ったか?

ワケ、分かんね……。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


もう!! 何なのよ! バカ朔!


何で、アイツが被災児なのよ! なのに、何にもなかったようにヘラヘラしてさ……。

私だって『パパに捨てられて不幸だけど、必死で頑張ってます』ってのが売りだったのに……。

これじゃあ、全然ダメじゃん!


芙柚さんも、バカ朔も……。

なのになんで笑ってる顔が、あんなに……ステキなの?


もう、ヤダ!! 

私、1人がバカみたいじゃない……。


悲劇のヒロインに、全然成りきれてなかったって事じゃない。

私、1人芝居してたのぉ……?


カイトのバカ! 何でそんな話、聞かせたりするのよぉ。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


何なんだよ、バカ音のヤツ……無視しやがって。

ツンケンするんなら、来なけりゃいいのに。

あ~、面倒臭ぇ。


ちぇ……。

面白くねぇ……。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


うぅ……。

私って……、なんてブサイクな性格なんだろ……。

自分の唯一の“売り”が無くなった途端、まるで“剣”と“鎧”を失くした気分になっちゃった。


バカ朔が“最強”に見えて……悔しい。


で、私はカイトの陰に隠れてしまった……。

バカ朔の言う通り……バカ音だわ。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


うぜぇ……。


もう、やめとけよぉ。

お前が来ると、雰囲気悪いんだよぉ。

柳さんも、何で連れて来るんだよぉ。

ったく、こんな空気読めねぇ人だったかぁ?


かぁ~! ちょー、ダルぃ~!!


芙柚は『あんなでも来てるって事は、何か言いたいことがあるんだよ。聞いて欲しい事があるんだよ。待ってあげなって』なんて言うけどさぁ。


ソレ、俺対象じゃないし!


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


バカ朔なんて……キライ!

芙柚さんなんて……キライ!


でも、私が一番キライ……。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


はぁ~、調子狂うよなぁ。

俺の横にちょこんと座ったかと思うと、な~んも喋らないんだから。

芙柚も知らんぷりだし……。


俺にどうしろってんだよぉ~。

めんどくせぇ~。


結局、なんも言わずに帰ってった……。


俺か? 俺が悪いのか?

何か、言ってけよ!


新しいゲーム……買ってみよかな?

アイツ、どんなのが好きなんだろ……。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「あれ? 朱音ちゃんは?」

「う……ん。今日は来ないって……」

「そうなんだ……」

「悪いな、朔」

「俺? 俺は何ともないよ。関係ないって」

「そうかしら?」

「なんだよ。別にアイツがいようがいまいが、関係ないもん」


来るさ……。


……。


おっせぇなぁ……。


……。


バカ音……。


……。


カラン、カラン♪


「……」

「……、ホラ、新しいやつ」

「う……ん」


ふぅ……。

しゃーねぇ、今日は負けてやるか……。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「ねぇ、柳ぃ~」

「うん?」

「あの子達、何やってんのかしら?」

「さぁ? ゲームだろ?」

「そっか。ゲームかぁ」

「そ、人生ゲーム……か?」

「アハハ♡ 人生ゲーム……始まり、始まり~」

「シッ! 茶化すなよぉ」

「フフフ……」

「ハハハハ……。(俺はいつ始まるんかねぇ……)」


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