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初投稿です。色々と拙い作品ではありますが楽しんでいただけると幸いです。


9月10日


「世は事も無し、平和だね…」

「この状況のどこが事も無しだ!どこが平和だ!」

男の言葉に、スキル”ライトニングスピア”を使い、ゴブリンを貫きながら少年が突っ込みを入れてくる。

ちなみに現在の状況は、周りにゴブリンロード率いるゴブリンPT(ゴブリンロード1匹、ホブゴブリン2匹、ゴブリン7匹)が半月陣を敷きならが、4人を包囲殲滅しようとしている。

「八雲、先生に突っ込み入れるくらいなら、1匹でも多くのゴブリンを倒しなさい!ほら先生ものんきな事言っているのなら、3倍働いてください!」

頭上から斧が振り下ろされる攻撃を刀で受け流し、体勢を崩したゴブリンにスキル”残月”で袈裟懸けに切り裂きながら、袴姿にブーツ履いている少女が檄を飛ばす。残月を受けたゴブリンは、一刀両断されて光の塵となり消えていった。

「思っていたより多勢だったから、少し現実逃避をしてみただけだよ。それから沙耶君…3倍は働かせすぎではないかい?、組合や労働基準監督署に指導されてしまうよ」

先生と呼ばれた男がとぼけた事を言いながら詠唱を終え、前衛のホブゴブリンにサンダーボルトを放つ。地属性の多いゴブリン種には風魔法であるサンダーボルトが良く効く。今の一撃で半分までHPを減らせたので、もう一撃お見舞いする為に、硬直解除後すぐに詠唱を開始する。

「八雲・沙耶、私がゴブリンロードへ突貫するので、前衛に穴を開けて下さい。先生、現実逃避は逃亡とみなします。後で体育館裏まで来てください…」

恐ろしい事を呟きメイド服を翻しながら、小太刀二刀を構え、二人が前衛ゴブリンに開けた隙間をステップでジグザグに移動していく。その動きにゴブリン達は翻弄されてしまい、交戦することも無くゴブリンロードに辿り着く。

「いやいやいや、アクア君ここに体育館無いからね!お年寄りは労ろう!!虐待反対だよ!!!」

先生の叫び声に返る言葉は無く、響くのは先生の悲痛な叫びとゴブリン達の雄たけびだけであった。

そんな叫びに心の中で満たされるモノを感じながらクスリと嗤い、ゴブリンロードへ攻撃を仕掛ける。スキル”連撃”

、通常の攻撃速度は数ある職業の中で3本の指に入る忍者であるが、連撃はさらに攻撃速度を上げ攻撃回数を増やすスキルである。瞬く間にゴブリンロードのHPが削られ、光の塵となって消えていく。

ゴブリンロードが倒されたことで、ゴブリンPTへの指揮支援が無くなり、連携や動作が悪くなった残りのゴブリン達はあっさりと4人に打ち倒されていった。



「おっしゃ!これでクエストは完了だな」

八雲が気合を入れるかのように掛け声を掛けて、ステータス画面を確認する。クエスト欄には完了の文字が浮かんでいた。

「しかし4人でこの数は厳しかったですね」

「そうね、レベルが上がって強くなった実感はあるけど、やっぱり数は力ね。気を抜くと格下のゴブリンに包囲・撲殺されるわ」

「それにしてもゴブリンロードが陣形を使うとは思わなかったです」

「それは同感、今後一定数以上の集団戦では陣形使ってくると考えて、こちらも戦術を変えていかなければいけないわね」

「今回の決め手は、神風アタックでしたしね…」

女性2人が戦闘を振り返り、冷静に分析対策していると横から声がかかる。

「何言ってるんだよ、敵が来れば打ち破る、我らに転進の文字は無い!」

陽気に笑いながら八雲は2人に言い切った。

「はぁ…これだから熱血馬鹿は手に負えないわ」

「何だと!このチビ」

「何よ!この脳筋」

二人が睨み合いながら無言の威圧を振りまく。

第三者視点で見れば、背後には竜虎対決の絵空が見えてきそうだ。

「どうやら敗北の味が欲しいようだな、いいぜデュエルで白黒つけようぜ!俺の槍捌きとくと味合せてやる!」

「望むところよ!日本刀が世界最強だって事を、脳筋に刻み込んであげるわ!」

エスカレートする2人を放置し、残る2人はドロップ集めに奔走していた。

ドロップ品は敵を倒すと、地面に薄い光を発する光球として出現する。しかも5分を過ぎれば消滅してしまうので、のんびり集めている暇も無い。

当然、光球なので手にとってみなければ識別する事が出来ない為、アイテムなのか素材なのかは判らない。フィールドボス・クエストボスは討伐後レアアイテムを落とす確率が高かったため、2人を止めるのを後回しにした理由でもある。


2人がドロップ品をすべて回収終わった時、八雲と沙耶はお互いにデュエルの申請を交わしていた。

「コラ2人とも!、フィールドでのデュエルは自殺行為だ。やるなら町に戻ってからにしなさい」

「先生お静かに!これから良いものが見れるというのに、風情が無さ過ぎます。………私は沙耶に掛けますが、先生はどちらに掛けます?」

「アクア君、その面白さ優先主義はやめようよ!デュエル状態で襲われるのは流石に洒落にならないって…」

「先生…火事と花火はお江戸の華、時価モノなのですよ!、私にはそんな無粋なこと出来ませ……2人ともじゃれ合ってないで迎撃体勢を。索敵範囲に感知あり、私から向かって左手方角、数は4」

「チッ…命拾いしたな、モンスターに感謝しろよ」

「そっちこそモンスターにプライドを救われたわね」

お互いに罵り合いながらも、アクアに告げられた方角へ素早く迎撃体勢をとる。

2人の動作は息がぴったりで、良いコンビだと思う。似たもの同士・夫婦と云うと何をされるか分からないが…

「私の言葉は流されますか…シクシク、年上として何か大事なものが失われていく気がするよ」

「何時もの事です」

「気合が足りないぞ!」

「ご愁傷様」

何とも云えない励ましを(?)を受けながら、私も迎撃準備を開始する。


この日常化してしまった非日常、どうしてこうなったのだろう。

私は…いや私達は常に頭の片隅で考えては解の出ない答えを探している。

すべてはあの日、唐突に始まった。

運命の8月10日から

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