愛する人へ―彼の死、私の幸せ―
私の名前は鈴木彩花。
M高校の弓道部で三年生。
その手紙が来たのは三年になったばかりの、四月のことだった――
「前略
って遺書に書くべきなのかな?まぁいいや。
彩花がこれを読む時、もう俺はこの世にいないと思う。俺は自殺する事にした。理由は…言わなくてもわかるかな?俺は大切な人を傷つけてきた。
愛する人も…親友も…傷つけて…言われるまで気付かなかった。
俺はそんな自分が許せないんだ。ただ…それだけだ。
俺は今でも彩花を愛してる。
愛して…欲しかった。
決して叶わないってわかってるんだけどさ…。
外見も中身も…醜い人間だから…愛される筈がないんだよな(苦笑)覚えてるか?秋の試合の日。前日に辛いことがあって、俺が辛い表情してたら…彩花は
「そんな顔しないで下さい…」
って言ってくれたよな。
あの時、彩花を凄く愛おしく思った。
俺を見ててくれたことが…めっちゃ嬉しかったよ。
それと同時に思ったんだ。
俺は彩花を愛しているんだなぁって…きっと嫌われても…二度と会えなくなっても…愛し続けてしまうんだろうなぁ…って。
でもその後は辛かったなぁ。
彩花が泣いちゃって…俺は何もできなくて…自分が無力だってことを思い知らされたよ(苦笑)悔しくて…辛かった。
俺じゃあ彩花の涙を止めてあげられないってわかってたし…それにどうすればいいかわからなかったしね。
俺を二番目に愛してるって言ってくれてありがとう。かなり嬉しかったよ。一度だけでいいから…一日だけでいいから…彩花と愛し合いたかったな…。
彩花を抱きしめて…キスして…その…エッチして…俺だけの彩花にしたかったな…。
お願いだから…ずっと幸せでいろよ?彩花に会えて…彩花を愛せて…嬉しかったよ。
さよなら。どうか彩花が永遠に幸せでありますように――
by 三浦竜也」
私は読み終わったとき、泣いていた。
彼が私をどんなに愛してくれていたか…どんなに辛い想いをしてきたかがわかったから…。
でも…。手紙を読んでから三十分後…私の彼氏が来て言った。
「竜也が死んだ…」
その後の言葉は覚えていない。
私はただただ泣いた。死んだ彼の気持ちを理解してあげられなかった悔しさが…彼を失った悲しみが溢れて…。
私は今幸せだ。愛する人のそばにいるから。彼と愛し合っていたら…私は幸せだったんだろうか…?
【END】
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!