表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Lost World  作者: 璃風
PR
1/1

第1話

主題はホラーではないのですが、やや気味悪く奇妙な世界観に感じると思います。キーワードにある通り、ドリームコア描写がございます。苦手な方はご注意下さい。

 とある大型ショッピングモールで道に迷った。行きたいお店やエスカレーターとエレベーターの場所が分からなくて、結局端から端まで歩いてしまった。それ自体はよくあることだと思う。自分がどこにいたのか分からなくなることも。

 スマホで館内地図を見ながら、とりあえず目当てのお店のあるフロアへ上がっていった。はずだった。周りを見渡せども、広いフロアにはいつの間にか人一人もいなかった。

「えー……っと……」

 意味もなく声を出してみる。なんとなく怖い。それはそうだ、さっきまでと同じ景色のはずなのに、全く違う景色に変わったのだ。よく見るショッピングモールの内観、立ち並ぶお店。その中で自分以外、誰ひとりいない。

「なんで……誰もいないの…?」

 さっきまで子供の声があちこちから聞こえているほどの賑わいだった。三連休の中日、夏休みを前にした大型ショッピングモールの中はどこもかしこも人がたくさんいた。なのに、歩けども歩けども店員さんの一人も見つからない。

 不安に思いつつ、先ほどの場所へ戻ろうと下りのエスカレーターに乗った。けれど階下のフロアにもやはり人の姿はなく、それどころか内観が変わっていた。床から天井まで、アミューズメントパークのようにカラフルな柄で埋め尽くされていた。そして視界に入る限り子供の頃に見た室内遊具がそこらじゅうに並ぶ。煌々と照らすライトは明るいはずなのに不気味さが漂っていた。やたらと明るい四方八方、そして音質が若干悪いスピーカーから気味が悪いほど明るい音楽が流れてくる。

 

『そこは楽しい プレイランド

 君が喜ぶ プレイランド

 時間を忘れて 遊びに行こう

 

 ここは楽しい プレイランド

 君と 過ごす思い出

 夢のような時間を一緒に過ごそう

 

 プレイランドで 一緒に……う』


 田舎の遊園地のような曲だった。最後の方はノイズが入っていて、なんと言ったのかちゃんと聞き取れなかった。明日歌あすかは苦笑った。

「うわーー……ちょードリームコアじゃん…」

 キョロキョロと改めて周りを見回した。

「なんかのイベント? チケットとかったんじゃないの?」

 明日歌はそういう類のものは認知している程度で興味はなかった。ホラー耐性もないわけではないが、これまで興味を持ったことはなかったのでそういった系統の創作物を鑑賞したこともなかった。そのためこの現状にさして好奇心も湧かず、探索したいとも思わなかった。

 けれど、先ほどまでの人混みが急に消え去るのはどう考えたっておかしいし、奇妙だ。気色が悪い。だけどぼーっとしていたって状況は変わらない。明日歌は探索してみることにした。

 モノクロ格子柄のピカピカな床。原色…赤・青・黄色で表面はビニールっぽい素材でクッション性がある壁。天井は淡い水色と柔らかそうな雲の空柄。あちこちに設置されている遊具は先ほどの三原色に緑色も加わっており、まさに子供用遊具といった感じだった。並ぶ遊具は滑り台、ジャングルジム、網状のアスレチック……。

「うわ。ボールプールまであんじゃん」

 奥へ行くにつれて、遊具は大きくなっていく。ライトを遮るような箇所も出てきて、人が隠れることのできそうな死角が増えていく。さすがに明日歌は足を止めた。


 誰か、いるかもしれない


 ここまで誰もいないことを薄気味悪く思っていたが、こんな奇妙な場所で誰かが突然出てきても、それはそれで怖い。これだけだだっ広い中、人の気配も物音や声も全くしない。しないからと言って、いないかどうかは分からない。どんな人がいるかどうかも分からない。気配を探ろうと耳をすませばすますほど、空気を読まないようなあのいやに明るい曲がじわじわと気色悪さに拍車をかけてくる。

 こんな奇妙な場所、シチュエーションに一人でいると、恐怖を掻き立てるような思考がぐるぐると勝手に巡っていく。

 ここまでそれなりに歩いてきたが、明日歌はボールプールを目の前にしてしゃがみ込んだ。歩き疲れたのではない。表面は冷静さを保とうとしていても、生きた心地がしないようだった。流石に気弱な声が漏れた。

「さすがに誰かいてよ……。怖すぎでしょこのイベント」

 自分の声の端がやや震えていた。視界に広がるのはやたらと明るいいつぞや子供の頃に見た景色。それでも感じるのは懐かしさなんて陽気なものじゃない。下手なお化け屋敷よりも大いに抱く恐怖心だった。

 俯き大きくため息をつくと、立ち上がってさっきのエスカレーターに戻ろうとした。この遊ぶ広場よりも気味悪さはマシだと思ったからだ。

 その時だった。目の前のボールプールのボールが小刻みに揺れだした。明日歌はびくついたが、目の錯覚かと思って目を瞑って頭を振った。しかし目を開けると、カラーボールはもっと激しく震えていた。全身ゾワっとして後退った。

「え……なにっ!」

 揺れていたボールプールのボールから何かが顔を出した。

お手にとっていただき、ありがとうございます。

お初にお目にかかります、璃風«あきかぜ»と申します。

ネット上の投稿は不慣れな新参者でございます。


小説になろうでの初投稿作品です。

1話ずつさっと読める長さで、話を重ねていこうと思っております。

楽しんでいただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
雰囲気とても好きです、!淡々としている語り口調、最高です。 本当にサクッと読めて、満足感と続きが気になるこの感じが丁度いいです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ