花火 作者: 柳原一二乃 掲載日:2026/04/04 右手に力を入れて、ライターに火を点けた 外は雨、雨戸を通って冷たい風と音が流れてくる 見様見真似で煙草を吸って、吐き出した 喉が肺が脳が焼かれていく 目の前で僕の抜け殻が舞っている 子供たちが僕の体の中で線香花火を遊んでいる 踊り回る鼠花火、ライターと水バケツ アスファルトと夜の月、口移しの火花と笑い声 次から次に燃やしていく 父の顔と声、母の愛と鞭、僕の恋と夢 芯まで灰に満たされて、煙に巻かれて飛んでいく 部屋は、思い出に侵された