誘い下手な先輩
どうしよう。どうやって、お昼に誘おう?
前回誘ってから、大分経ったから。あの子と一緒に食事をしたいな、って思ったのに。あの子になんて声を掛けるのが正解かわからなくなってしまった。下心に気付かれてしまうんじゃないかって、心配をしていたら、グルグル頭が回っちゃって、誘い方を忘れてしまった。いつも、同じ仕事をしているのに。単純な仕事の先輩後輩だから。私とのご飯、負担になるかもしれないなって、堂々巡り。
あの子が、私とお昼を一緒にしたくないと思っているかも、先輩とご飯なんて面倒くさいかも、なんて、頭に巡って。
だけど、あの子が同期や他の同僚と食事を楽しそうに取りに行くのをズルいって、思っちゃって。私も、あの子と時間を一緒に、お昼のその、1時間だけでも過ごしたい、なんて、羨ましくなってしまった。
あぁ、‘皆んな’あの子と一緒に楽しそうにして、私を置いて楽しんでるなんて羨ましい。。。
「ね、ねえ、最近忙しい?」
「え??何がです??」
「し、仕事よ。仕事。もし、忙しいなら、教えてほしいなって、思って、、、」
「??先輩、私と同じ業務なのでご存知では??それなりに、業務時間外が発生しているくらいで、まぁ、繁忙期よりマシって状況。。。?といいますか、この間から先輩、私たちのこと考えて業務量の軽減させるって、進捗管理、目に見えるように文字起こししてませんでした??」
「あ、うん、そうね。次の繁忙期前の今のうち。効率よく片付けられるように、模索してるから。もう少し、待っていて。」
「本当ですか?いつも通常業務以上に時間使ってまで私たちのこと、見てますけど、先輩の身体大丈夫ですか??心配です。」
「そんなに心配しないで、私も負担にならないようにしてるから、安心して?」
「そうですか?それなら、いいですけど。無理しないでくださいね?」
「えぇ、気をつけるわ。」
ああ!そうじゃない!!なんで、忙しいか、なんて聞いたの!聞いたところで、答えをわかっているんだから、話が続くわけないじゃない、、、まして、忙しそうで心配だから、話を聞かせて?なんて文句でお昼なんて誘えるはずない。。。だって業務量、知ってるし
いつもミーティング、してるもの。反対に、気を遣って心配をされて終わってしまった。はぁ、また、考えて誘わなきゃ…
「ねえ、今日、良い天気よね。」
「?そうですね。青空澄んでて良い天気だと思います。」
「そうよね。天気、良いものね。その、今日は、効率よく、スムーズに仕事進めるためには、天気も大切かなって。どんな感じで仕事進める予定かしら??」
「????この前話し合ったように、前期の状況分析から、後期から業務負担にならないために、不要部分の切り捨て、それによるフローチャートの軌道修正、方向性の変更。これによる効率化を目指すって決めて、その準備に入る予定でしたよね??天気、悪かったら進められない要素ありましたっけ??」
「いえ、ほら、天気が良いと早く終わらせたくなるじゃない?定時に帰れると良いかなって確認したくて…」
「心配してくれたんですね。ありがとうございます。大丈夫です。ちゃんと、定時に退社できるよう頑張ります。」
「あ、違うのよ。定時に帰るために、は大事なんだけど、強制して無理やり頑張るっていうこと、言っているわけではないから。一緒に頑張りましょうって言いたくて。いつもしっかりやってくれて、ありがとうって、助かるわって伝えたかっただけなのよ。」
「???よくわからないですけど、労いしてくれたってことですか??えへへ。嬉しいです。ありがとうございます。」
か、可愛い!照れてる姿も、首を傾げて見上げる姿も、本当に、ドキドキしちゃう。。。。
でも、そうじゃない。天気が良いから早く帰ろうって、どこにもお昼、聞く要素ないじゃない、、、いえ、もしかして、これだけ天気が良いから、外に行こうって誘えるって思ったのに、、、お昼の話にすら、できなかった。
「そ、そうね。そうよね。この後、午後からも頑張って進めましょうね?」
「はい、お願いします!でも、先輩、最近なんだか、挙動不審ですよ??大丈夫ですか??体調、悪いようなら、早退してくださいね??」
「そんなことないわ。大丈夫よ。気を回さなくても、定時には帰る予定だから、心配しないで??」
「それなら、いいんです。最近早く帰るために集中しっぱなしで、先輩疲れてないか、心配だったので。」
「ごめんなさい、気を使わせてたわね。」
いえいえ、全然って、手を振り否定するあの子。少なく見積もっても、とても愛らしい姿。ああ、愛おしい、なんてニヤニヤしそう。でも、そうじゃない。なんで、お昼に行こうって、単純に誘えないのかしら。もっと、スムーズに、一緒に食べたいって、言うだけなのに。勝手に色々言い訳しようって思って、回り込んで聞こうとして、失敗して。ただ、仕事の心配をさせてしまって。私の体調すら気を遣わせて、申し訳ない。
お昼に誘うって、どうやっら上手くできるのかしら??
「あ、そうだ、先輩。最近お疲れのご様子なので誘おうかちょっと悩んだんですけど、逆になんだか気になって。先輩とお話しできたらなって。お昼、ご一緒しませんか??」
「え?!わたしと??」
「そ、そんなに驚かれますか??あ、もしかして、お嫌でした??」
「そ、そんなことないわ!誘ってくれて、嬉しい。」
「本当ですか?社交辞令でも嬉しいです。」
ニコニコと、答えて、謝辞をいう。それでも、確約が欲しいから。
「それで、今日はお昼ご一緒できますか??」少し上目遣いに、先輩を、お昼に誘う。
「え、えぇ。折角の機会だもの。お誘いを断るはずないわ。」少し、挙動不審な気もしたけど、先輩、誘いに乗ってくれて。機会を伺っていた甲斐があった。最近の先輩、仕事のこと妙に気にかけてくれてたから、理由つけて誘ってみて、ちょっとズルいかもって思ったけど。嬉しい。フワフワする。ワクワクする!あぁ、楽しみ!って、顔に出ちゃうな。
あんなに、どうやって誘おうか、悩んで、誘い文句を考えて、グルグルしてたのに、なんだ。こんな簡単に、話したいから、話そうと。自分から、勝手に会話をシュミレートして、複雑にしてしまって。単純に、誘えば良かった。後悔。。。だけど、あの子が誘ってくれて、お昼を一緒にできるなんて、すごく、嬉しい。有頂天になってしまうわ。ああ、モロに顔に出ていないか、とっても、心配、、、
あの子と1時間、何を話そうかしら??
ふふ。久々にやっと、先輩とご飯ができる。嬉しい!いっぱい、話したい。あぁ、1時間しか喋れないなんて、少し、残念。でも、1時間、先輩を独占できるなんて、とっても幸せ。いっぱい、いっぱい沢山話すぞって、意気込んで。だけど、話すときになったら、どうせ仕事の話になっちゃって、あっという間に1時間になるのかも。そんな不安を抱えて。だけど一対一で話せることが嬉しくて。この時間を満喫してやるって、決意。だけど口下手な先輩、私に気を使って、聞き手になりそうだなって、早くも分かるところが、また何だか先輩をわかってる理解者みたいで、ちょっと優越感。
あ、そうだ、今度は晩ご飯に誘ってみよう。1時間なんて、あっという間だから。制限がない夜の時間。先輩の時間が許す限り、私の相手を、してもらおう。もしかして、嫌がられるかな?でも、一緒に時間を過ごしたいから。当たって砕けろ。さぁ、このお昼が頑張りどきかもって。。。
一緒に晩ご飯、どうですか?って、誘おうか。




