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時流の楽章:永遠者の輪舞曲  作者: 羅翕
第五節-果てしなき怒り
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59話 生存法則

 古びた外見の機械車が、砂漠をゆらゆらと揺れながら低速で走っていた。灼熱の陽光が空気を焼き、遠くから見ると、今にもバラバラになりそうな鉄屑の塊にしか見えず、一瞥しただけで興味を失ってしまうだろう。

 ――もちろん、それはすべて偽装だ。外装は偽装魔法で覆われ、内部は広々として涼しい。自動運転モードに切り替えたブエンビが、リフから手渡されたガラスの器を受け取り、メンナ諸島から届いた美味しいセミフレッド(Semifreddo)を一緒に楽しんでいた。

「お姫ちゃん、レイの車の乗り心地はどうだ?」

「とってもすごいよ!パパって携帯用の魔道具作りが得意なだけじゃなくて、こういう大型の乗り物を作る技術もすごく高いんだね。」

「機械車くらいじゃ大したことないさ。以後、レイが造った飛空艇を見たらもっと驚くぞ。もっとも、あいつは普段めちゃくちゃ忙しいからな。この車も、アザールに入る前に駐在の天族から受け取ったもので、車体の隅々まで北荒の地形に合わせて精巧に造られてる。父性愛がぎっしり詰まってるだよな。」

「うん。まだ会えないけど、パパがどれだけ私を大事に思ってくれてるかは、ずっとわかってるよ。」

 魔力で綺麗にしたガラスの器をリフが空間にしまい、今度は二つのアイスティーを取り出し、さっきの舌の余韻を締めくくった。

「そういえば、天炎テンエン大陸にいる駐在天族って誰なの?南荒にはいないって、北荒のどこかの国にいるの?それとももっと北の炎龍皇朝?」

「両方だ。天炎大陸にいるのは二人の黄翼で、ついこの前、南荒の異常気候を調整するためにもう一人の黄翼を派遣した。大荒漠の仕事を主に担当してるのはウルクイにいるやつで、縁があれば会えるだろう。」

「……?わかった。」

 リフはぱちりと瞬きをして、またアイスティーに口をつけた。

 ブエンビはできるだけ柔らかい声と態度を保っていたが、リフにはその言葉の奥にある拒絶感がしっかりと伝わっていた。だから彼女はそれ以上尋ねず、窓の外に目を向けた。

 北脊山脈のふもとで機械車に乗り換えてから、すでに二日近く走っている。最初こそ二、三頭の野生のラクダの群れに出くわしたが、その後は似たような風景が続き、植物が育つ気配もまばらだった。

「ブエンビ、この砂漠ってどうしてウタママ(Utamama)ボグド(Bogudo)みたいに生命力がないの?水の問題だけじゃなくて、土地から呪いみたいな力を感じるんだけど。」

「おう、それはアザール(Azar)の歴史と関係してる。」

 アイスティーを一気に半分以上飲み干したブエンビは、空のグラスをホルダーに戻し、視線を窓の外の砂漠に移した。

「五百年以上前、アザールはユゼーカン(Yuezekhan)帝国の中心地でした。国が滅びた後、大小数百ものオアシスが戦争で残された呪術の影響により枯渇し、都市間の距離は著しく遠のいた。内陸には交易ルート上のいくつかの大都市を除けば、小規模な村や町がわずかに存在するのみだ。むしろ、辺境の住民たちの暮らしの方が活気に満ちている。」

「つまり、アザールの貧しさは戦争が原因ってこと?五百年以上前に何があったの?」

「それはな……ユゼーカン王国の首都跡に着いてから話そう。遺跡を案内しながら説明すれば、歴史ももっと実感できるはずだ。」

「ブエンビの遺跡ガイドはいつも面白いから、楽しみにしてるね〜!」

「ははは、任せとけ!」

 ブエンビは朗らかに笑い、ハンドルに手を戻して手動運転に切り替えた。その表情も、視線も、感情の揺らぎすらも、鎖で縛ったように一切の隙がなかった。

 さっき駐在天族の話をしてたときはリフに見抜かれてたくせに、なんでまた元通りになってるの!?そりゃあ、あなたはブエンビへの評価が最低ラインから動かないわけだよ。今の彼の状態、当時のウテノヴァより見てられないってば。

 はぁ……。今の段階で多重視界を重ねて見ても、流れはまだ雑然としている。どうやらリフがウルクイ(Urkhuy)に辿り着くまでは、気を緩めるわけにはいかないらしい。

 幸い、大荒漠そのものが持つ特異な性質のおかげで、私の与える影響は時空間の不連続性に紛れてしまい、伊方イカタやシキサリに過大な負担をかけることはないだろう。

 これから言うことは、もしかしたら余計なお節介に聞こえるかもしれない。けれど……伊方とシキサリのことは、どうか頼んだよ。

 彼らはあなたが示す性質に合わせて、これからも接し方を変えていかざるを得ない。だがね、彼らの心の中でのあなたは、いつだって沈着で頼りになり、信頼できる兄のような存在だよ。


 ⋯⋯⋯⋯


 首都跡へ向かうため、ブエンビが選んだのは、人影もない内陸の長い一本道だった。車の轍以外には、方向を示す目印などほとんどない。だが車両には精密な空間座標指定システムが備わっているため、ブエンビは大半の時間を自動運転に任せ、リフと一緒に本を読んだり、三人でやるゲームで惨敗しないよう全力を尽くしていた。

 アザールは全体的に貧しい。通り過ぎた幾つかの小さな村も物資は豊かではなく、唯一の菓子といえば、簡単に発酵させたチャル(Chal)だった。けれども、リフが眉間に皺を寄せ、無言で碗を空にした顔を見たブエンビは、迷わず現地の食材を使うことをやめ、これまで作り溜めていた料理を出して消費することにした。

 酷暑の陽光はひときわ厳しい。活動時の体力を温存するため、生き物たちはほとんど、焼けた鉄板のような砂の下で休んでいる。リフは空間感知で地中の様子を探り、砂の中に潜む爬虫類やキツネ、カンガルーネズミのような生き物を興味深そうに観察していた。

「ブエンビ、なんだか私たちが初めて会ったときのことを思い出したよ。砂に埋まってたあなたも、あの小狐みたいに暑がりなの?」

「いやいや、お姫ちゃんにそんな無様な姿を覚えられてたとはな。確かに暑さは苦手だが、それは南荒の砂漠に限った話だ。レイにもらった魔道具で熱波は防げるが、あの日は約束の場所に早く着きすぎてな。それで自分を埋めてたってわけさ。お姫ちゃんも南荒の日差しは体験してるから、俺の気持ちはわかるだろ?」

「たしかにね。南荒の昼間の砂漠は死んだように静かだし、日差しと熱気を遮るために何重もの魔法を張らなきゃいけないもの。あの地中の生き物たちが日向を歩いたら、きっとすぐに干からびちゃう。」

 果物皿にフォークを伸ばしたリフは、メロンを一切れ刺し、どこか懐かしそうな表情を浮かべた。

「南荒の景色はほとんど単調だったけど、ブエンビとヴァンユリセイがずっと一緒にいてくれたから、あの二年間は全然退屈じゃなかったんだ。旅が終わったら、また南脊山脈の神殿でキャンプしようよ。パパが一緒なら、ブエンビも苦労して岩山を登らなくていいし。」

「そいつはいいな。お姫ちゃんにわざわざ誘ってもらったからには、その時は必ず付き合うさ。」

「うん!あと五年ちょっとだなんて、もう待ちきれないよ〜!」

 リフは大きな果肉をぱくりと頬張り、冷たくて甘い味わいに満足そうに目を細めた。ブエンビは優しい表情でその笑顔を見守り、自分もメロンにフォークを伸ばしたが、その手は途中で止まる。

 フォークを置き、彼はハンドルに手を戻した。車が人目につかない砂丘の影で停まると、空間感知でずっと外の様子を見ていたリフが、不思議そうに顔を向けた。


「どうしたんですか、ブエンビ?この辺りに何かあるんですか?」

「ああ、そうですね……すみません、お姫ちゃん。ちょっと仕事を片付けてきます。フルーツを食べながら車で待っていてください。大丈夫、すぐに終わりますから。」

 ――そんな自分で墓穴を掘るような言い方、ツッコミを我慢するのが難しいんです。以前なら定番の言い訳で済んだかもしれないけど、今のリフに対しては間違いなく逆効果ですよ?ほら、言い終わらないうちに、リフが空間感知の範囲を半径数十キロに拡大して、正確な場所を特定しちゃったじゃないですか。

「魂の回収なら、私も一緒に行くよ。北の砂地に死体が山ほど転がってるから、きっとそこで間違いないよ!」

「黒翼の空間感知って反則だろ!?お姫ちゃんがそこまで直球で言っちまったら、俺に断れるわけがないだろうがぁ!!!

 残念ながら運転席にはひざまずくスペースなんてないからね。せいぜい顔を覆って天を仰ぐブエンビの姿で、彼の崩壊度合いを示すしかないのだ。あら?でも今回は立ち直りがずいぶん早いみたい。やっぱり前回の経験で、多少は耐性がついたんだね。

「……仕方ねぇな。一緒に行こう。ただし、気分が悪くなったら、いつでも車に戻るんだぞ。」

「平気だよ、前にクルシフィア大陸で――」

「はいはい、分かった分かった。次に同じ状況になったら連れてってやるから、クルシフィアの経験を持ち出すのはやめろ。」

 ブエンビは苦笑いしながら車を降り、抱っこを求めて手を伸ばすリフを肩に乗せ、幽魂の鎖が示す方向へ歩き出した。

 リフは数十キロ先まで人影がないことを確認していたから、ブエンビは魔道具の補助を全開にし、最速で地形を突破する。街道から二キロほど離れた砂丘を越えると、乱れた砂地が広がっていた。

 そこには噛み荒らされた死体が点々と転がっている。骨格や飛び散った血痕は野獣に貪られた証で、臓腑を包んでいた骨は不規則な断面と線状の血を残し、大型の獣に巣へと持ち帰られたらしい。

 残り物と化した死骸には砂漠の虫や蟻が群がり、肉片や骨髄を食い尽くしては、食べられない骨を残す。それらはやがて風に埋もれ、砂漠へと還っていくのだろう。

「ブエンビ、これって風葬の墓場?お年寄りも子どももいるのに、魂はみんな怨みに染まってる。」

「そりゃ怨みも深くなるさ。アザールの風葬は他所と違っててな、送葬の対象は死者に限らねぇ。死にかけの者も砂漠へ捨てられるんだ。」

 空に伸びた鎖が彷徨う魂を掃き集め、絡め取っては収めていく。リフは、鎖に動じることなく死骸に群がる虫たちを見つめ、少し戸惑いながらブエンビのマフラーを引っ張った。

「つまり、この人たち、生きたまま晒されて死んだってこと?お年寄りならまだ分かるけど、どうして子どもまで?」

「だいたい病気持ちか虚弱だな。アザールの住民は大抵が大家族だ。奴らの目線で言えば、食料を食い潰すだけの家族を捨てた方が負担が軽くなるってわけだ。」

「……そうなんだ。」

 リフは魂の抜けた死骸を見つめ、少し考えた後、ブエンビの頭をぎゅっと抱きしめた。小さな頬を大きな横顔にすりすりと押し付ける。

 普段よりずっと親密度の高い仕草に、ブエンビは一瞬意識が飛びそうになったけど、その反応をする前に肩の上の女の子は元の姿勢に戻って、くすくすと笑った。

「ブエンビ、お仕事お疲れさま!早く車に戻って休も。冷たい果物とお菓子、一緒に食べよ!」

「……はは。お姫ちゃんと一緒だと、見慣れた景色もまた違って見えるな。」

 いつもは誇らしげに「荷運びモード」だなんて自慢してるブエンビだけど、この時ばかりは頭を撫でられない体勢を残念に思ったに違いない。もっとも、車に戻ってからはしっかり頭を撫でて、満足げにリフの寝顔を見守っていたのだけれど。


 リフが目をこすりながら目を覚ました時、ブエンビはすでに満面の笑みでアフタヌーンティーのフルセットを用意していた。以前ウタママで集めたバクラヴァ(Baklava)パシュマク(Pashmak)を取り出し、上品で繊細なデザートプレートに美しく並べる。その執事然とした立ち居振る舞いの中で、二人は心身ともに癒されるひとときを過ごした。

 太陽の傾きが増し、分岐のある街道では他の車両のタイヤ跡やラクダの足跡が見られるようになる。反対方向からすれ違う機械車を目で追いながら、リフは興味深そうに振り返った。

「ブエンビ、人も車も増えてきたね。前方の街は活気があるの?」

「ああ。ラトゥスタン(Latustan)は内陸と国境を結ぶ交易路の主要都市のひとつで、商人や旅人のための施設が多い。しばらくはテント泊も不要だ。良い宿を探して休もう。」

「おお~、初めて内陸の宿に泊まれるんだ。アザール国境の宿は質素だったけど、内陸も同じかな?」

「いや、全然違う。内陸の主要都市は鉱石貿易で莫大な富を蓄え、建築様式もユゼーカン帝国時代の精緻さと豪華さを受け継いでいる。首都跡に着く前に、金碧輝煌な博物館の所蔵品を見に行けるだろう……」

 熱のこもった解説は、ブエンビの眉がわずかに弧を描くと共に、次第に声を潜めた。彼はティーカップを置き、ハンドルを握り直すと、車を人気のない道へとゆっくりと逸らしていく。理由は説明されなかったが、その様子だけでリフは察した。

「ブエンビ、また仕事?」

「ああ。本来ならこんな短期間に立て続けに遭遇するはずじゃないから、ちょっと意外だ。約束したから、あとで一緒に行こう。」

「うん、いいよ!」

 再びいつもの笑みを見せたブエンビに安心し、リフは異変を感じることなく紅茶を口に運び、満足そうにアフタヌーンティーを締めくくった。

 だからこそ、彼女はブエンビが窓の外へ投げた冷ややかな眼差しに気付かなかった。数日前、彼はすでに街道沿いを徹底的に「処理」していたはずなのに、予想外の事態が起きている。それが彼を不快にさせるのも当然だった。


 黄味を帯びた陽光は柔らかく伸び、ある砂丘に大きな影を落としていた。機械車はその影の縁に停まり、二人は数十歩進んで、捜し物を見つけた。

 今回の遺体は置かれてからそれほど時間が経っていないらしく、半分だけ食い荒らされた身体はまだ人の形を留めている。ハゲタカがついばむ中、血と腐臭が風に乗って広がった。

 遺骸の刀傷を見て、リフは黙って視界を切り替える。黒ずんだ赤色の命軌が、怨嗟の魂と繋がり、数十キロ先の砂漠都市へと伸びていた。

「ブエンビ、この人たち……砂漠の盗賊に襲われたの?」

「運の悪い商人たちだよ。殺した奴らは死体を裸にしてここに捨て、風葬の現場に偽装しているんだ。」

「ひどい……」

 リフは胸元の鎖を握り、眉をひそめながら、ブエンビが鎖で魂を集める様子を見つめる。仕事を終えたブエンビは彼女の表情を見て笑い、しゃがみ込んで眉間の皺をそっと撫でた。

「お姫ちゃん、人殺しや略奪をする奴らは、たいていろくな末路を迎えない。無実の人を殺せば、重い因果を背負うことになる。幽界で罰を受ける頃には、後悔しても遅いんだ。」

「ブエンビ、旅の途中で祭祀用の神像をよく見かけたでしょ?太陽や月の抽象的な彫刻が主だけど、その横にはほとんど必ず死の神の像も置かれていたよね。大荒漠の人間種は幽界の信仰が純粋だと思うのに、どうして死後の罰を恐れずに悪事をするの?」

「そうだな……少数の例外はさておき、だいたい考え方は二つに分かれる。一つは生活のためにやむなく、もう一つはどうせ罰を受けるなら、生きている間にやりたい放題やって、死後まとめて清算しようってやつだ。大荒漠で俺が集めた魂のほとんどは、後者だったよ。」

 リフは理解したようにうなずいたが、すぐに複雑な顔をして首を横に振った。

「それは割に合わないと思います。以前、ウテノヴァが焱氷帯のルールと地脈の流れを変えた際、クルシフィア大陸にいる罪の重い人々を七日間氷漬けにして、彼らに幽界で罰を受ける感覚を体験させました。氷解後、多くの者がその苦痛に耐えきれず、発狂した⋯⋯」

「おう、その件か。幽界の地獄はそんなに優しくないぞ?罪を背負った魂は意識を失えず、明瞭なまま刑罰を受け続ける。重罪なら百年以上続くこともある。発狂や自殺で苦しみから逃れるなんて、生者の特権だ。」

「……後悔しないの?」

「するさ。血の海に沈められてから泣き叫んで悔いる魂なんて、何度も見てきた。ただ、うちのボスはわざと罪人を苦しめるような趣味はない。幽界の地獄は公正公平、情理をわきまえつつも冷酷無情なんだ。」

「情理をわきまえて、冷酷無情……???」

 矛盾するような形容に、リフの頭上には小さな疑問符が浮かび、声にも大きな疑問符が混じった。その迷い顔を見て、ブエンビは思わず笑い、優しい眼差しで彼女の頭を撫でた。

「深く考えるな、お姫ちゃん。いずれレイと一緒に幽界へ行く時が来る。その時に疑問をぶつければいい。」

「うーん……そうだね。旅をしてきて、知識と実際の体験の差はよくわかったから。」

「仕事は終わった。行こう。俺は早くお姫ちゃんにラトゥスタンの極上スイーツを味わわせたいんだ。」

「そんなに美味しいの?」

「もちろんさ。宝石商たちは舌も目も肥えているから、菓子も見た目も味も豪華なんだ。」

「じゃあ急ごう!日没の速さなら、夜になる前に着けるよ!」

「焦るな、お姫ちゃんのことは全部俺が段取りする。」

 ブエンビは笑いながら、はしゃぐリフを抱き上げ、副座のソファシートにそっと座らせる。ドアを閉める前に、彼は夕闇の空に現れ始めた星々を一瞥し、再び車を走らせた。


 夜の帳が降りつつある砂漠に、無数の灯火で照らされたラトゥスタンはまるで光の都のように浮かび上がり、幻想的な白昼の幻影で遠近を問わず訪れる者たちを誘っていた。

 ブエンビは車両の外観を商人がよく使う高級車に変え、リフを「富豪商人と護衛」という身分で街へと無事に入らせ、さらに市内で最も豪華な宿へと案内された。

 広々とした上級客室に足を踏み入れた瞬間、リフはあらゆるものが輝いて見えた。寝室は古代王族の住居を模した設計で、高い梁柱には宝石をはめ込んだ精緻な浮彫が無数に並び、天井から垂れ下がる紗幕や布には簡易魔法陣が刺繍され、壁板の代わりに間仕切りを自由に調整できる仕組みになっていた。床や家具に至っては言うまでもなく、貴金属と砕いた宝石、高級絹織物によって造られている。

 大荒漠に来てから初めて砂漠の王族の住居を体験するリフにとって、この開放感は新鮮だった。何よりも彼女を惹きつけたのは、まるで人を吸い込むかのように柔らかく膨らんだ大きなベッド。離れるのが惜しくなる感触に包まれ、次の瞬間には夢の世界へ落ちてしまいそうだった。

 だが、ワゴンいっぱいの豪華な料理が運び込まれると、その香りを嗅いだリフはバネのようにベッドから勢いよく飛び上がった。勢いのまま数歩駆け出してから、急に立ち止まり、一歩一歩お淑やかな仕草で食卓に向かって着席する。その間せっせと食器を並べていたブエンビは全く気づかず……だからこそ、私はリフの可愛さに200点をあげたい!

 メインは柔らかな仔牛ステーキと羊肉のシチュー。付け合わせには大量の新鮮で歯ごたえあるグリーンサラダ、炒め物、そしてカリカリの|アルパラタ《Aloo paratha》。さらに、銀箔を散らしたカジュカトリ(Kaju Katli)と金箔をあしらったバルフィ(Barfi)が幾何学的に重なり合い、濃厚な乳香を放つラスマライ(Ras Malai)と共にまるで芸術品のように並べられていた。

 一流の食材と腕前で作られた料理を、リフは夢中で次から次へと口に運んでいく。そんな彼女の反応に満足げなブエンビも、つい食が進んでしまう。最後に二人同時に皿を空にした瞬間、顔を見合わせて笑い合う光景にはさらに100点の可愛さが加わり、まさしく「可愛い夜」だった。


 しかし……心ゆくまで食べたリフが眠りについた後、その可愛さは一転して恐ろしさに変わる。

 ベランダに立ったブエンビは、いつものように時界の星空を仰ぎ見ていた。けれど今回、彼の視線はいつもと違う場所を追っていた。以前は特定の領域に流れる「運命の大流」を確認するだけだったのに、今は数千万にも及ぶアザールの住人の命軌と交差する運行を深く深く追いかけ、そこから縁薄き死者の過去を掘り起こそうとしていた。

 人間種の肉体強度では、本来そんな無茶は到底耐えられない。ここ数日ラトゥスタンで起きた命運の歪みを見つけ出した時には、すでに両目から大量の鮮血が噴き出し、辺りは血の海で惨状そのもの。けれど本人は、自分の痛みにまるで頓着しない。まるで血を撒き散らすのに金などいらないと言わんばかりの勢いで。

 幽魂使としての「肉体欠損を巻き戻す不滅の加護」を極限まで酷使し、目的を果たしたブエンビはようやく瞼を閉じた。流れ出た血は彼の意志に従って文字を形作り、掌に一つの血の煉瓦となって凝縮していく。惨劇の現場にしか見えなかったベランダは、次の瞬間には何事もなかったかのように美しく清潔な姿へと戻り、異常の痕跡すら残さない。

 リフに悟らせぬため、ブエンビの後始末はいつも細やかすぎて私も言葉を失う……あの血の煉瓦の厚みなら、今日は彼が喉を裂いて血を噴く場面を見ずに済みそうだ。あぁ、今日は仕事に出る前に、もう一度リフの頭を撫でてやる姿は実に温かいね。でも、リフに優しいほど他人には苛烈なのがブエンビなんだよな。

 膨大な星象を解析しても、ブエンビは全てをリフに伝えるつもりはない。むしろ彼は、彼女が「新たな運命の節点」を作り出すことを阻もうとしている。確かにこれまでのリフは、自らの手で運命に触れてきた。けれど、「逸脱者」にとっては、ただ傍観することもまた当然の選択肢なのだ。

 運命全体の流れを俯瞰して見るなら――きっとあなたは、これを「自然の循環」と呼ぶのだろうね?


 ⋯⋯⋯⋯


 翌朝、美味しい朝食を平らげたリフは元気いっぱいで、ブエンビが用意している今日の行程に胸を躍らせていた。たっぷり蜂蜜を加えた甘いミルクティーを飲み終えたところへ、部屋に戻ってきたブエンビが、豪華な金箔押しの封筒を手にしているのを見つけて、リフの好奇心がくすぐられる。

「ブエンビ、その手紙はなぁに?」

「今日は城のとある富豪の娘さんの結婚式なんだ。人脈作りのために、その富豪が高級客室に泊まっている客全員に招待状を配ってる。お姫ちゃん、見に行ってみたいか?」

「うん!今まで遠くから見ただけで、実際に現地の結婚式に参加するのは初めてだもん。この街は宝飾で有名だし、新婦が身につける装飾品はきっとすごく綺麗なんでしょ?」

「まあ……確かに。あれは入念に仕立てられた一式の宝飾で、数日前に新婦のもとに届けられたばかりだ。」

「じゃあ一緒に行こうよ。大荒漠の宝飾デザインは独特だから、もっと勉強したいな。」

「もちろん構わないさ、お姫ちゃん。」

 招待状を興味津々に眺め終えたリフは、それをブエンビに返す。封筒を仕舞ったブエンビは、いつもの慈愛に満ちた執事おじさんモードに切り替わり、いくつかの箱を取り出してリフの前に並べた。

「この先の旅をより円滑にするために、宴に出席する際は高級宝飾商と護衛という身分を装おうと思うんだ。ここにあるのは、俺が無主の遺跡から集めてきた古代の装飾品だ。もし身分を探ろうとする相手が現れたら、一、二点見せて『ウルクイ貴族の依頼を扱っている』と暗に匂わせればいい。」

「おお~!どれも千年以上前、世界暦時代の魔導具だね。でも内部の魔法回路は壊れてるから、もう装飾品としての価値しか残ってないや。」

「さすがお姫ちゃんだ。一目で出自を見抜くとは。ウルクイがサルガドン(Sargardon)商人の拠点になったのは、王族や貴族が古い民族の濃い血統を受け継いでいるからだ。過去の歴史を宿したこれらの装飾品は、彼らにとって非常に価値のある収集品になる。これからは俺が補佐に回るから、お姫ちゃんは今まで学んできたことを総合して、老練な商人を演じてみるといい。」

「任せて!ブエンビが今まで商売で使った話術や仕草は、全部ちゃんと覚えてるんだから!」

「ははっ、お姫ちゃんは本当に優秀だな。じゃあ当日はお手並み拝見だ。」

「えへへ~」

「ほらほら、褒めて」とでも言いたげな表情を見せるリフに、ブエンビはしっかり応えてしゃがみ込み、頭を撫でながら優しく褒めてあげる。たっぷりのご褒美をもらったリフは小さな胸を張って、満足そうな顔を見せた。

 どんな夜を過ごした後でも、二人の朝はいつもこんなふうに温かく安心できる空気から始まる。その光景を眺めるたびに、私も胸がいっぱいになるのだ。こんなに安定感のある「おじさんとロリ」の組み合わせ、何度見ても萌えちゃうんだもん。


 準備を整えた二人は、開宴の前に宮殿風の会場へと時間通りに到着した。彼らと同じように招待状を手にしたごく少数の客は、それぞれ二階の個別包廂へと案内され、そこから観覧台越しに大広間で行われる宴を眺めることができる。

 席に着いて間もなく、招待状を送ってきた富豪本人が直々に挨拶に訪れ、婚宴の記念として精緻な細工の宝石ブローチを贈ってきた。先の旅でのやり取りとは正反対に、ブエンビは厳めしく沈黙を守る護衛を演じ、リフは丁寧な社交辞令に傲然とした冷淡さを織り交ぜた商人を装い、適度にその富豪との会話をこなしていく。

 その富豪が謙虚な姿勢を保ちながら退室するとすぐに、リフは初老男性の偽装を解き、元の声と調子でブエンビに向かって見たものの感想をぶちまけた。

「ブエンビ、わたしあの新婦のお父さん嫌い!表面では謙虚で礼儀正しいふりをしてるけど、内心は嫉妬と計算ばっかり!あの人にまとわりついてる業力もドロドロの黒泥みたいで、絶対に悪徳商人でしょ!?」

「ふむ、あいつの評判は確かに悪い。強い相手にはへりくだり、弱い相手には横暴ってタイプだ。自分が直々に招いた客には礼儀を尽くすが、その他の相手にはそうとは限らない。」

「やっぱり悪徳商人だ!あんな人はもう放っておいて、新婦の衣装を見たりごちそうを楽しんだりしよう!」

「もちろん構わないさ。今回の宴には腕の立つ料理人が何人も呼ばれている。お姫ちゃんは心ゆくまで美味しい料理を楽しめばいい。」

「はぁ~い!」


 富豪が去ったあと、さらに数人の見知らぬ商人が交流のためにやって来た。リフは彼らに強い悪感を抱くことはなく、礼儀正しく最近の話題を交わし、ブエンビの言ったとおりに商人として扱う品をいくつか見せて応対する。

 不思議だったのは、最初は探りや軽蔑の感情を抱いていた彼らが、帰る頃には心の中に深い畏怖や恐れを抱いていることだった。理由を尋ねると、ブエンビはさらりと「ウルクイは北荒の中で特別な地位を持っている。首都の旧跡に行ったときに詳しく話す」と答えた。きっと歴史解説とあわせて説明してくれるのだろうと考えたリフは、その首都旧跡への旅をますます楽しみにするのだった。

 濃厚な香辛料の香りとともに数多の料理が大広間へと運び込まれ、婚宴はついに開幕を告げた。

 下の混じり合う肉の匂いとは異なり、二階の包廂へ運ばれてきた料理は明らかに格上の心配りがなされていた。大皿のカレー、ニハリ(Nihari)、味のしみ込んだチャーガ(Chargha)が主菜として中央に並べられ、添えられた野菜サラダ、色鮮やかな米飯やナーンとともに、色・香り・味を兼ね備えた華やかな配膳を形作っている。さらに、運ばれたワゴンにはマリダ(Malida)ラドゥ(Ladoo)などが並び、客が自由に選べるよう数種の茶壺も置かれていた。

 ブエンビの丁寧な取り分けと給仕により、食欲全開のリフはすぐに全ての料理を一通り味わい、精緻な味わいにすっかり陶酔してしまった。ひと足早くデザートの甘味に移っていたが、ブエンビに「外で花びらの雨が舞っている」と促されてようやく我に返り、空間感知で祭壇へと進む新郎新婦を確認した。

 紅の長紗をまとった新婦は華麗な化粧を施し、衣裳に縫い込まれた宝石や水晶が一歩ごとに眩い輝きを放つ。身に着けた宝飾は金糸に宝石を織り込み、華やかでありながら俗っぽさを感じさせない精緻さを漂わせていた。新郎は豪奢な白の礼装と冠を戴き、銀糸の刺繍が放つ光は、煌めく銀白の長い髭と見事に調和している――


 感知を収めたリフは、静かに食器を置いた。

 つい先ほど大椀いっぱいのマリダ(Malida)を平らげたばかりなのに、残り数口分を前に、もはや口に運ぶ気が失せていた。

「どうした、お姫ちゃん?他のデザートに変えたいのか?」

「ブエンビ。あの新婦は笑ってはいるけど、心の中は嫌悪と不本意でいっぱいだよ。新郎は彼女のお父さんよりも一回り年上で、二人並ぶとまるで祖父と孫娘。これって普通の結婚式なの?」

「まぁ、政略結婚だからな。ただし、新婦が不満なのは新郎本人だけさ。父親は体面のために持参金を倍にし、新郎はその見返りとして新婦により豪奢な暮らしを約束した。本人同士にとっては、双方が納得する良縁ってわけだ。」

 ブエンビの答えは、リフの疑問を晴らすことはなかった。むしろ頭の上に小さな疑問符が次々と浮かび、最後には巨大なハテナに育ってしまう。

「釣り合わなくても、良縁……?」

「お姫ちゃんは、結婚って釣り合わなきゃ幸せになれないと思うか?」

「当たり前だよ!ソウとインヤみたいな夫婦はとっても幸せで、身体も心もぴったりだもん!」

「あの二人は確かに理想的だが、彼らは人間じゃない。お姫ちゃん、俺たちの目の前にいる新郎新婦は普通の人間だ。人間の枠組みで語ってこそ意味があるんだよ。」

「普通の人間……普通の人間種……」

 思いがけない話題の展開に、リフは考え込んでしまった。

 ブエンビは真剣に思索する彼女を静かに見つめ、大広間で客と談笑する新郎新婦へは軽蔑の視線を一瞬だけ投げ、すぐにまた優しい眼差しと笑顔へと戻した。

「結婚というのは、愛し合っているからといって幸せになれるとは限らない。脆い理想は厳しい現実にあっけなく押し潰される。結婚当日が夫婦にとって一番幸せだった、なんて話はいくらでもある。不幸な結末に終わる夫婦は珍しくもない。あの新婦も、得失を秤にかけたうえで、自分にとって利益のあるほうを自ら選んだ。だから、これから彼女が家族とどう感情をやりとりするか観察してごらん。お姫ちゃんにはきっと違いが見えるはずだ。」

「得失を秤にかけて、自分から選んだ……?」

 リフは再び空間感知を使って新婦の様子を探った。

 新婦は新郎に腕を取られると露骨に嫌悪を示すが、父親と会話するときはとても楽しげだった。そして、年配の女性が同年代の娘を伴って挨拶に来ると、今度は逆に新郎へ寄り添い、優越感と蔑視を滲ませていた。

 リフは思わず瞬きをした。感知を収めると、ブエンビに頷いて見せる。

「なるほど、なんとなく分かった。人間種にとっては、すべてが完璧なんてありえないんだね。これは新婦が取捨選択の末に導き出した最善の選択だから、周りは祝福と尊重を贈ればいいんだ。」

「さすがはお姫ちゃんだ。ちなみに、俺たちはあの富豪に招かれた特別客だ。甘味を楽しんだら早めに退席していいんだぞ。」

「うん、こんな美味しいデザートを残すなんてもったいない!」

 悩みが解けたお姫ちゃんは再びスプーンを取り、目の前のデザートを勢いよく平らげていく。残りが少なくなった頃、ふと思い出したように手を止め、ブエンビに向き直った。

「そういえばブエンビ。あなた、生きていた頃に結婚したことある?さっきの話、とっても感情がこもってた。知識の説明っていうより、人生で積み重ねた経験を語ってるみたいだったよ。」

「一度だけ結婚したことがある。俺にはいい妻がいたんだ。美しくて、賢くて、そして優しい娘だった……だが、俺は彼女に良い結末を与えられなかった。」

「……!?」


 ブエンビの感情が……消えちゃった?

 ち、ちがう!あれはヴァンユリセイがブラックホールになったときと同じだ。幽魂の鎖で「見えない状態」に押さえ込まれてるんだ!

 絶対にこのままブエンビに話を続けさせちゃだめ!早く、早く話題を変えないと……!

 あっ、ちょうどデザートが最後の一皿残ってる!よし、これに決めた!!


「ブエンビ!このラドゥ、すっごくおいしいよ!早くたくさん食べて!食べ終わったら感想を聞かせて!!!」

 リフはあわてて皿を高く掲げ、ブエンビの顔に近づけようとした――けれども、身長差のせいで皿はせいぜい胸元までしか届かず、リフが思い描いていた「鼻先に突きつける」光景にはほど遠かった。

 姿勢も笑顔も一瞬で固まってしまったリフに対し、ブエンビはその稚拙な演技を受け止めることを選び、皿を受け取ると豪快に菓子をすべて口へと放り込んだ。リフが呆気にとられて、普段よりずっと乱暴な食べ方を見つめていると、大口で平らげたブエンビは親指を立て、爽やかな笑みを浮かべる。

「うまい!さすがお姫ちゃんおすすめの菓子だな!宿のルームサービスにもあるみたいだし、戻ったらまた頼もうぜ。」

「……!うん、じゃあそのときは一緒に食べよう!さあ、今すぐ帰ろ!」

 ブエンビがきっと合わせてくれているのだと分かっていながらも、計画が成功したリフは待ちきれずに彼の手を引いて歩き出した。ブエンビも素直にその気遣いを受け入れ、同時に幽魂の鎖による魂と肉体への束縛をわずかに調整し、怪しまれぬよう気配を消す。


 二人が出口に差しかかったとき、侍従の報告を受けた富豪が慌てて引き止めに現れた。しかし、すでに多額の礼金を渡しているリフにとって、これ以上取り繕う必要はなかった。表面上は謙虚に、しかし言葉の裏には徹底的な皮肉と嘲りを込めて彼を退け、その鋭さは傍らのブエンビでさえ拍手を送りたくなるほどだった。

 富豪が面目を失い、しょんぼりと会場へ戻っていくのを横目に見ながら、ブエンビはリフのために機械車のドアを開け、わざと振り返った。

 前日に目にした怨念――ハゲタカに眼球を啄まれた空洞の頭蓋、上下に断たれた残欠の肉体が、一瞬、その富豪の姿に重なった。それは命も商品も奪われ、感情も想いも踏みにじられ尽くした亡者が残していった、運命の残影である。掠奪を生存の法則と定めた者たちは、遅かれ早かれ、その同じ法則に呑み込まれるのだ。

 その富豪に定められた運命にに興味を失った彼は、ただ笑みを浮かべて視線を、全身全霊で守るべき小さな少女へと戻す。

 機械車を走らせて宿へ向かう道中、車内には二人の楽しげな会話が満ちていた。これからの旅の予定を、わくわくと語り合いながら。


 ラトゥスタンを起点に、二人は内陸の交易路を進み、アザールの主要産業である鉱石の採掘現場や、それを精緻な宝飾品へと加工する工房をいくつも目にした。

 交易路の中程にある都市で十分な休息と補給を済ませた後、二人は快適で華やかなオアシス都市を離れ、荒涼たる無人の砂漠へと車を走らせる。

 それは数百キロにわたり水脈がすべて枯れ、古の呪いが残る古国の中心。

 かつて幾多の夢と無念と怨嗟が渦巻いた風化の遺跡は、今もなお、呪いを施した者の訪れを静かに待ち続けていた。


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