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「……お嬢の為に怒ってくれてありがとうな」


部屋に戻り私をベッドに下ろすとクローケンは悲しげに微笑んだ。


「子供にしちゃ立派な啖呵だったぜ」

「……私、中身はとっくに20歳過ぎた大人なんだけど?」


子供扱いが不満でぼそりと告げればクローケンはぽかんとした後、声を上げて笑う。


「20歳なんてまだまだ子供だ。お嬢さんの生きてた場所じゃどうか知らんが、この国の平均寿命は200歳だ。加えて俺達魔族はさらにその倍は生きるからな」


さらりととんでも無い単語が聞こえた気がする。


「……魔族?」

「おう。なんだ、不思議そうな顔して。お嬢さんの国には魔族はいないのか?」

「見たことないし聞いたことないわよ!?魔族なんて架空の存在だもの!」


てっきりここは中世ヨーロッパ的な世界なのかと思っていたが、まさかのファンタジー要素に頭が痛い。


「はー、魔族のいない場所なんてものが存在するとはな。俺はそっちの方が驚きだ。ちなみにお嬢……ルヴィアナ様も魔族だぞ?」

「そうなの!?」


私は魔族の体に入ってしまったのか。

慌てて頭や背中をパタパタ触る。だが角も羽も牙みたいな歯も、鋭い爪も見当たらない。

疑うような眼差しをクローケンに向ければスッと手のひらを見せられた。


「よーく見とけよ」


そう言ってクローケンがぐっと手のひらを握ると一瞬でその拳が水の球体に包まれた。


「水!?どこから!?」

「魔族だけが使える魔法だ」


再びクローケンが手を開くと、水の球体は一瞬で消える。濡れていた形跡すらない。

これが魔法。まさか実際に見る日が来ようとは。


「俺やケビン、ここで働く者はほとんどが魔族だ。俺達魔族を束ねるのが、お嬢の父親であり魔族の王である旦那、サイアス様だ」


つまりあのバカ親は魔王……。

キャパオーバーだ。

私は目眩を感じてベッドにぼふりと倒れ込む。


「お、おい、大丈夫か!?」

「頭がパンクして、何が何やら……」

「あー……まあ、とにかくゆっくり休んでくれ」


頭を抱える私にクローケンはなんとも言えない笑みを零すのだった。

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