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私を殺そうとした男性の名前はサイアス。

ルヴィアナはサイアスの一人娘だ。母親はルビアという名前でとても美しい女性だったそう。

しかしルビアは体が弱かった。

だから子供を授かった時もサイアスは産むことに反対していた。子供より妻を愛していたからだ。

しかしルビアは産むと決めて譲らなかった。

そうして産まれたのがルヴィアナだ。

しかし、産後の経過が悪くルビアはそのまま亡くなってしまった。

産まれたばかりの娘の名前を考え、最後まで抱きしめながら。

愛情深い女性だったのだろう。

しかし、サイアスは愛する妻の命を奪った娘を憎んだ。

お前さえ産まれなければルビアは死なずに済んだのに、と。そしてルヴィアナを殺してしまおうとした。

しかしクローケンを含めた側仕え達が必死になって止めたのだ。

亡き奥様の忘れ形見を殺すなどいけません、奥様が悲しまれますと。

その説得に殺すことを止めたサイアスだったが、ルビアを思い出すのが辛いからと産まれてから一切ルヴィアナに会おうとはしなかった。

そのまま4年。

ルヴィアナも大きくなって親を求める。

しかし、ルビアに似てくるその姿を見るのが苦しくてサイアスは娘に辛く当たった。

ルヴィアナはいつかきっと父が愛してくれる、だから今は頑張るのと健気にも4歳にして字の読み書きや計算の勉強を始めたという。

その幼い希望を打ち砕いたのは愛しい父親本人だった。

ある日、ルヴィアナは聞いてしまったのだ。

ルビアの肖像画の前でサイアスが泣きながら「あんな子供産まれてこなけれな良かった、私はあの子を見るのも辛い」と嘆いていたのを。

幼いルヴィアナには衝撃だった。

大好きな父は、自分のことが大嫌いだった。

悲しんで悲しんでたくさん泣いたルヴィアナは、父が望むならいなくなろうと考えた。

どこから知識を得たのか、子供の体には致死量になる毒が含まれた薬草を探し出し食べたのだ。

そしてそのまま倒れ、目が覚めた時には体の中からルヴィアナの魂は居なくなり私の魂が入っていた。

クローケンからその話を聞いた私は、気が付けばボロボロと泣いていた。

ルヴィアナはどれだけ寂しかっただろう。悲しかっただろう。

まだたったの4歳なのに。幸せな未来が待っていたかもしれないのに。

自ら命を断つなんて、怖くて仕方なかったろうに……。

綺麗なハンカチで顔を拭かれながら私は重い体を動かし立ち上がった。

「あのバカ親に一言言ってやらなきゃ気がすまないわ！」

自分の親になら絶対言えない。

でも他人となれば話は別だ。

私のたった一人の友人も、私の母親に立ち向かってくれたことがある。

だから私も。

もうルヴィアナはいないから、無駄なのかもしれない。

でも親に愛されたかったという気持ちは同じ子供として苦しいくらいわかる。

だから私が伝えてやるんだ、ルヴィアナの無念を。