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婚約者、という言葉に私はサイアスに視線を向ける。


(まさかこの男、再婚を考えてた……?ルヴィアナちゃんを無視しておきながら自分は他の女を引っ掛けてた……?)


怒りの眼差しを向けると私と目があったサイアスは否定するように首を横に振り勝手に入ってきたリーアを無視して私の側に来た。


「何を考えてるか予想はつくぞ。お前の思うようなことは一切ない」

「……本当に?嘘ついたら針千本飲ませるからね?」

「嘘ではないから構わない」


はっきりと否定する姿勢にサイアスを信じることにする。

ということはこのリーアという女性は俗に言う勘違い女というやつか。

もしくはサイアスの妻ルビアが亡くなってその後釜を狙っているのだろうか。


「ケビン、なぜ入れた。追い返せ」


サイアスは執務室の入口でオロオロとしていたケビンにそう告げる。


「申し訳ありません旦那様!リーア様、どうかお引取りください」


ケビンが退室させようとするがリーアはズカズカとサイアスに近付いてくる。

サイアスの直ぐ側にいる私にまで彼女がつけてる噎せ返るような香水の匂いが届いてきた。


「そんな心にもないことを。わたくしに会える日を待っていてくださったのでしょう?わたくしもですわ!ここ数日いくら謁見の申し込みを入れても跳ね返され、陛下にお会いできなかった日々……まるで数千年の時のように感じましてよ?」

「近寄るな、匂いが移る」

「まぁ!わたくしの匂いに包まれたいだなんて……遠慮せずともこの体は陛下のもの。好きにしてくださって構いませんわ」


サイアスが拒絶してるにも関わらずうっとりとした眼差しを向けるリーアに、私は不快感を覚える。こいつは話が通じないタイプの人間だ。

私はリーアを押し退けるように二人の間に割り込み、サイアスに向けて両手を伸ばした。


「パパ!抱っこ!」


突然の私の奇行に室内から音が消えた。

ケビンは唖然とこちらを見ているし、リーアはわざと邪魔した私を睨んでいる。

一番先に動いたのはサイラスだった。


「……あぁ、わかった」


ぎこちない手付きで私を抱き上げる。

私はここぞとばかりにサイアスの首に腕を回してべったりくっつくと、リーアに視線だけ向けて「フッ」と勝ち誇ったような笑みを浮かべた。


「……なっ!?」


私の笑みを見たリーアの手がふるふると震わせている。

これぞ『魔王には可愛い娘のルヴィアナが居るのだからお前は眼中にない無い作戦』だ。

ルヴィアナが側にいればサイアスに迫る事は難しくなる。サイアスに思いを寄せてるのなら娘のルヴィアナを目の前で邪険に扱うことは出来まい。

それを見越しての抱っこのおねだりだ。

つい子供の頃を思い出して『お父様』じゃなくて『パパ』と言ってしまったのは恥ずかしかったが、外見は幼い少女なので許される。セーフだ、多分。

私の抱っこ作戦を利用してサイアスはリーアに強い口調で命令した。


「今からお前を出入り禁止にする。宰相の娘だからと甘く見ていたが、もううんざりだ。顔も見たくない。ケビン、こいつをつまみ出せ。二度と城内に入れるな、周囲をうろつかせるな。これは命令だ」

「畏まりました」

「そんな、陛下!わたしくしは陛下を誰よりも愛していますのにっ……!ちょっと、離しなさいよ!?わたくしを誰だとっ……!」


ケビンが指をぱちんと鳴らすとその背後に一瞬で鎧を着た屈強な男達が現れ、リーアを羽交い締めにして追い出してしまった。

あの指パッチンも魔法のひとつなのかと感心しながらサイアスに抱きつくのを止め、下ろしてほしいと告げる。

しかし一向に下ろしてくれない。

不思議に思いサイアスの顔を見ると、残念な程に顔がデレていた。

この魔王、意外と表情が豊かである。


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