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サイアスの部屋に行くと美味しそうな匂いがした。

見ればテーブルの上にパンやホカホカのポタージュスープ、スクランブルエッグやサラダが並べられている。


「座れ」


私にちらりと視線を向けサイアスは自分の正面の椅子を示す。

クローケンに手伝って貰い椅子に座るとサイアスはクローケンに席を外すように告げた。

心細さを感じていると目の前にスープの皿とスプーンが置かれる。

給仕する人はいない、サイアスが直接私の前に置いたのだ。


「食え」


…………この人は子供との会話の仕方を知らないのだろうか。

いや、私は子供じゃないしサイアスも娘が産まれてから関わろうとしなかったのだから知らなくて当然なのだろうけど。

もっと他に言い方はあるだろうに。


「その前に伝えたいことがあるの」

「なんだ」

「昨晩、私の夢にルヴィアナちゃんが出てきたわ。『今、自分は幸せだからお父様にも幸せになって欲しい』って言ってた」

「……ルヴィアナが、幸せだと言ったのか……そうか」


サイアスはテーブルに肘をつくと手を組みそこに額を乗せる。

肩を少し震わせるその姿は泣いてるようにも見えた。

私は椅子から降りてサイアスに近付く。 


「ルヴィアナちゃんは、あなたの幸せも願ってた。お父さんが大好きだったんだと思う」

「……私は、娘を愛してやれなかった。お前が言うように、自分の悲しみばかりに浸ってルヴィアナの事を考えてやれなかった。だから、私のせいでルヴィアナが死んだ……なのに、私を好いてくれたと、言うのか」

「そうよ。ルヴィアナちゃんは、あなたを大事に思ってた。だからこれからはあなたも、ルヴィアナちゃんを大事に思ってあげて。いつか、奇跡が起きてどこかで再会できたらその時に謝って優しくしてあげて。その方がルヴィアナちゃんは喜ぶわ」


そっと肩に手を置けば勢いよくサイアスに抱きしめられた。


「…あ………て、す………」


震える声で彼が漏らす後悔の言葉に、私はそっと背中に手を回してぽんぽんと撫でる。

ルヴィアナならきっと『愛してやれなくて、すまなかった』と泣く父親を抱きしめてあげただろうから。

できることならルヴィアナに直接、サイアスの言葉を聞かせてあげたかったと思いながら私は時間が許す限り彼の背中を撫で続けた。

とりあえず、私が彼に殺されることは無いだろう。

本当は愛情深い人なのだろうから。


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