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1人になった部屋でベッドに寝転がりながら考える。

私には選択肢などあってないようなものだ。

帰ることも出来ないし、この体から出ようと思って出られるものでもない。出る方法も知らないし。殺されることで体から出る、なんてのは御免こうむりたい。そもそもこの体を殺す事はルヴィアナを殺すことと同じだ。それをあのバカ親は理解してるのだろうか?

加えて、この世界で死んだ後に元の世界に戻れる保証はない、仮に戻れても私の体が無事だなんて保証もない。多分……いや、確実に死んでいると思う。

だからやはり、私はルヴィアナの体で生きていくしかないのだ。

それにルヴィアナのことを知って、クローケンの言葉を聞いて、力になりたいと思う気持ちもある。

問題はあの魔王が私をこのまま生かしてくれるかどうか。


「はぁー……」


重苦しいため息を吐き出していると不意に部屋のドアがノックされた。


「ルヴィアナ様、お食事をお持ちしました」


綺麗な女性の声だ。


「あ、ど、どうぞ」


私が中身だけ別人なのはサイアスとケビン、クローケンしか知らない。

混乱を避けるために他の人には内緒にするとクローケンが言っていた。

とはいえ、私はルヴィアナの話し方や癖もまるきり知らないのだからバレないはずはないと思うけど……。


「失礼致します」


入ってきたのはお仕着せに身を包んだ吊目の侍女だった。

ワゴンにはお水とホカホカのお粥のようなものが盛り付けられたお皿があった。

侍女はそれらを部屋の中にあるミニテーブルにセッティングしてくれる。

私はベッドから起き上がりそちらに向かった。

食事は大事だ。生きる活力に直結している。

椅子に座り食べようとスプーンに手を伸ばそうとすれば、パシンッといきなり手を叩かれた。

驚いて侍女を見上げると彼女は吊り上がった目を更にキツく吊り上げている。


「具合が悪くてお倒れになったからと言って、マナーを無視していいとは言ってませんよ。食べる前に私の許しを得なさいと教えたでしょう」

「…………は?」

「全く、何年も教えているのにまだ覚えられないなんて。平民の子供でも言われたことはきちんとこなしますよ、だからサイアス様から目を向けてもらえないのですわ」


理解が出来ない。

こいつは何を言っているのか。

ルヴィアナはこの国で魔王の次に位の高い少女だ。この国のマナーは知らないが『食事の前に侍女の許しを得なければいけない』なんて絶対におかしい。

それにルヴィアナが悲しむと分かっている物言いをしている。

そこで気がついた。

もしかしてルヴィアナは嫌がらせを受けていたのではないだろうか。

サイアスはルヴィアナを視界に入れないようにしていた。ケビンとクローケンがその分、目をかけていたかもしれないが限度はある。

サイアスの関心がルヴィアナに無いのをいいことに、この女はルヴィアナを虐待していたのだろう。

だからルヴィアナはより一層、父親の愛を求めた。そしてより深く絶望してしまったとしたら死を選ぶのも理解できてしまう。

ルヴィアナの死は、この女のせいでもあるのか。

そう思うと胸のあたりにどす黒い何かが込み上げてくるのを感じた。


「どうして魔王の娘であるこの私が、食事を食べる為の許可を侍女風情のあなたに請わないといけないのかしら。それがマナーだなんてあからさまな嘘までついて」


この女、絶対にこのままでは済まさない。




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