1
私の人生、碌なものじゃなかった。
母親に虐待され、幼少期は行く先々でいじめられる。
小中高とも学校の外で友達を作ろうとしても中々うまく行かない。
何が悪いのか、何が駄目なのか。考えたけど分からなくて。
それでも私は自分の幸せを諦めたくなかった。
高校生の時に出来た、たった一人の友達が「自分の幸せは自分で作れるんだよ」と教えてくれたから。
その子がご両親の都合で海外に引っ越した時は悲しかったけど、その言葉があったから私は常に前を向いて生きると決めていた。
そして同時に、今までの自分を捨てたくて親も知り合いもいない場所に行くのを夢見ていた。
新しい場所で、自分の幸せを掴むのだと。
高校を卒業し、親の反対を押し切って田舎から東京へ上京することにした。
職場は決まっているし、新居も決まっている。
持ち物は大きめのリュックだけ。
お布団などの生活に必要なものはバイト代で購入し、既に新居に送ってある。
期待と不安を胸に電車に乗り込んだ。
しかし、出発して一時間後。私の乗った電車は脱線し、事故を起こした。
つんざくようなブレーキの音と共に体がふわりと浮く。
そして私の意識は途絶えた。