デバイス
「3k映像はデバイスを動かすと、それに伴って映像が動きます」
「うわあすごいー」
僕たちは大はしゃぎだった。
「はい、それじゃあ、終わった人からデバイスを回収します」
先生が手をぱんぱん、と打ち鳴らして言った。
「私の映像、滝の映像だった」
「僕のは砂漠」
きゃっきゃ言いながら身につけたデバイスを先生に返しに行く。
「あのう……」
ワシモ君がモジモジして言った。
「どうしたの?」
「デバイス、返さなきゃだめ?」
「だめです」
「全部?」
「全部です」
先生はワシモ君が何者か知らないんだ。僕らと同じ生徒だと思ってる。
「先生!ワシモ君から『全部のデバイス』は返せませんよ」
「どうして?」
カシャーン、ばらばらばら。
「あらまあ!」
先生は目を見開いてワシモ君を見た。
それ、はワシモ君という名のAIの入ったチップが床に落ちているだけだったから。
それ以外は全部デバイスで出来てたんだ。