船舶ギルドへ行こう
前回のあらすじ
・シロはデスペナの関係でログアウト
・ケートが廃人になる傍ら、セツナはカリンからシロの装備を受け取った
「ケート、生きてるー?」
「おわらん……おわらん……」
「セツナさん、おかえりなさいっス。見ての通りっスよ」
カリン達と分かれた後、作業場に戻ってきた私の前には……先ほどと変わらない状況が展開されていた。
むしろ、ケートの顔色が悪くなってる気がする。
これは早々に連れ出さないとダメかもなー。
「カリンさんと会ってきたんだけど、どうも船の操舵ができる人を探さないといけないみたいなんだよねー」
「操舵っスか? なら街のNPCとかに聞いてみたらいいんじゃないっスかね?」
「それがNPCの方では、カリンさん達が作ってる船を操舵出来る人がいないって話なんだよね。まあ、一応最初に行ってみようとは思ってるんだけど……場所が分かんなくて。それで、カリンさんが、ケートを使っても良いって言ってくれたから、ケートを呼びに来たんだけど」
「ああ、なるほどっス」
納得したような顔で頷いたナインを横目に、廃人のような目をしたケートに近づいて、耳元に口を近づける。
それでも全く反応を示さないケートに、私は小さく息を吹きかけた。
「ふっ」
「ふにゃぁ? な、な……」
「あ、やっと反応した。ケート、外に行くよー」
「え? 何で……って引っ張らにゃー!?」
「行ってらっしゃいっス~」
状況を飲み込めてないケートを無視して、腕を引っ張って外に出ていく。
そんな私達を、ナインは少しニヤついたような笑みで送り出していた。
一人で作業することになるのに、なんであんな顔してるんだろう……?
「な、なんなんだにゃ!?」
「カリンさんからの指令だよー。船の操舵ができる人を探して欲しいってさ」
「操舵? あー、確かにあの船はNPCにとっては初めてかも知れないにゃー」
「あ、ケートは船の詳細を知ってるの? 私は秘密って言われちゃったんだけど」
「んにゃー、正確には聞いてないぜー。ただ、船の図面を引いてる時に近くにいたからにゃー。形とかだけなら分かるって感じだぜい!」
なるほど、それでカリンさんはケートに手伝って貰えって言ってたのか。
まあ、廃人化しかけてたケートを助けるって意味もあったんだろうけど……。
「んじゃ、ひとまずは船舶ギルドかにゃー」
「船舶ギルド? なにそれ」
「漁師さんだとか、冒険者だとか……とにかく船に関わること全般を取り扱ってる場所のことだぜー。プレイヤーが無料の個人船を借りる時とか、船の操舵とかをNPCに頼む時に、仲介してくれる場所でにゃー、街のNPCの操舵技術に関してなら、一通り分かるはずだぜー」
「なるほど……」
確かに、そういうことを全般取りまとめする組織があってもおかしくはないかな?
今までの街ならそういうことをする組織が無くても大丈夫だったんだろうけど、この街は基本的に海を相手にしてるわけだし、そうなると船を使う人も多くなるもんね。
だからこそ、そういったのを管理していく場所って感じかな。
「でも、カリンさん達が、NPCだと見つからないって言ってたよ?」
「まあ、それは分かってるぜー。でも、一応聞いてみるのが礼儀ってやつだにゃー。それに、プレイヤーも船に関することなら大体の人が船舶ギルドに向かうだろうし、そこで探すのが一番手っ取り早いはずだぜ」
「ああ、なるほど。それなら確かに、船舶ギルドに行くのが一番かな」
ニシシと笑いながら「だぜー」と頷いて、ケートは私の少し前を歩き始める。
先を行くケートの雰囲気が、さっきよりも幾分かマシになってるのを感じ取って……私は悟られないくらいに小さく胸をなで下ろした。
そんなこんなでケートに案内されるまま『ウルティア』の街を歩いて行くと、この街には至る所に運河らしき川が流れていることに気付いた。
川幅的には、小舟が行き来できる程度の川幅ではあるものの、それが至る所に整備されていて……水の都って感じを醸し出している。
あと、その関係か、橋が多いなー。
「この運河って使われてるのかな……さっきから何本も超えてるわりに、全然船を見かけないんだけど」
「ん? 使われてるみたいだぜー。朝とかはよく見かけるにゃー」
「ふーん。じゃあ時間的なものなのかな?」
「多分そうだぜー。今の時間はみんなのんびりしたい時間なんじゃないかにゃー?」
いわゆる休憩時間的な?
まあ、それはそれでなかなか見られない情景ではあるんだろうけど……私としては、船が行き来してるところを見たかったなーって感じ。
……といっても、これから先、何度も見ることにはなるんだろうけど。
「っと、ついた。ここが船舶ギルドだぜー」
「……思ってたよりもこぢんまりしてる?」
バーンと腕を広げて紹介したケートの先に、二階建ての建物があった。
この街全体の船関係を管理してる建物って言ってたから、普通の家の三倍から四倍くらいで想像してたんだけど全然小さい。
むしろ、普通の家って言われても納得するレベルの小ささだ。
「まあ、ここは事務所的な場所だからにゃー。一応、船舶ギルド所有ってなってる船用倉庫が、港の周りに沢山あるから、規模としてはすごい大きいんだぜ?」
「へー、そうなんだ」
「あと、今リンが船を作ってる倉庫も、船舶ギルドが所有してるところだぜー。キャラバンを作れば、自分たち用の倉庫が買えるようになるんだけど、まだ作ってないからにゃー。とりあえずで借りてるって感じだぜ」
「……なるほど」
そう言われてしまうと、結構大きい組織って感じがするかも。
私がそんな思いを抱きながら船舶ギルドを眺めていれば、ケートはさっさと建物の中へと入ってしまう。
いや、ちょっとくらい待ってくれてもいいよね!?
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名前:セツナ
所持金:105,040リブラ
武器:居合刀『紫煙』
防具:戦装束『無鎧』改
テイム:ブラックスコーピオン(幼体)『ハクヤ』
所持スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.15】【幻燈蝶Lv.6】【蹴撃Lv.11】【カウンターLv.10】【蝶舞一刀Lv.11】【秘刃Lv.2】【符術Lv.3】【八極拳Lv.5】
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