変なものを手に入れた
前回のあらすじ
・第一層ゲートキーパー戦(シロ単独)
・黒サソリがなんだかセツナを気にしてる
「グラァァァ……」
金色になったサソリが、なにかをやりきった様な満足したような声で鳴きながら、光になって消えていった。
というか、サソリの感情が微妙に分かるってなんか嫌だな……。
『ブラックスコーピオンの卵を入手しました』
なんか変なものを手に入れたんだけど……。
「セツナ様、これで私も第二層に行けるようになりましたの?」
「ん? あー、そうそう。部屋の奥にゲートが開いてるでしょ? あそこに行けば第二層のイーリアスに行けるよ」
「では早速、参りましょう」
「そうだねー。二層についたら、とりあえずサボテンでも見に行こうかな」
特に理由はないんだけど、まあ常識は壊してくれるんじゃないかな?
だって、サボテンだし。
……むしろ、さっき手に入れたものが気になって仕方ないんだけどね。
□
「で、シロちゃんにサボテン狩りをさせて、自分はこっちに来たのかにゃ?」
「まあ、そう言われちゃうと罪悪感あるんだけどねー」
シロをサボテンのいるエリアまで連れていった後、倒す目標数を告げて、第三層の作業場まで戻ってきた私。
目の前には、木を削っては箱にいれてを繰り返すケートがいて、どうやら部屋の主であるカリンは、船大工さんのもとに修行に行っているらしい。
さすがに作り方は知らないかー。
「でも、ケートがいて良かった。ちょっと相談したいことがあって」
「相談かにゃ? シロちゃんの指導内容に関しては口を出せないぜー? そういうのは先生がしっかり生徒を見て、適切に組み上げるものだからにゃー」
「そこまでのものを求められると、ちょっと困るんだけど……」
「まー、シロちゃんは、見た目とか言動とかは大和撫子だけど、ナイン君から聞いた感じじゃ戦闘民族だからにゃー。セツナみたいな、感覚的戦闘タイプの方が向いてると思うぜー」
「なんかそれ、馬鹿にされてる気がするんだけど?」
「そ、そんなことないにゃー」
ジロッと目を向ければ、ケートは慌てたような素振りで、手元の木へと集中する。
そんなケートに少しだけ頬を膨らませつつ、私はアイテムボックスから、さっき手に入れた『ブラックスコーピオンの卵』を作業台の上に置いた。
大きさは手のひらを開いたくらいで、普段見る卵よりは大きいものの、ダチョウの卵みたいな、すごく大きいって感じではないサイズだ。
色は黒色で、言ってみれば温泉街とかで見るような、真っ黒な卵。
「ケート、これ何か分かる?」
「卵? ちょっと大きいけど、買ったのかにゃ?」
「これ、サソリの卵らしいんだよねー。第一層ボスの」
「……は?」
一瞬呆けたみたいな顔を見せて、ケートは「いやいや、そんなことが……」と卵に手を伸ばし、驚いたような顔をする。
そっかー、ケートでも知らなかったかー。
「え、ちょっとまって。え? 卵? あのサソリの?」
「うん。シロとパーティー組んで、サソリを倒したときに出たんだよねー。あ、もちろん戦ったのはシロだけだけど」
「いや、まってタイマンさせたの? シロちゃんって、まだ始めたばっかりだよね?」
「シロならいけるって思ってたし。カリンさんに武器も作ってもらったしねー」
実際、黒の時は一方的に戦えてたみたいだしねー。
もっとも、金になってからは、なかなか防御を突破できなくて苦戦してたけど。
それでも勝てたんだし、まあ十分及第点って感じかな。
「いや、戦闘民族こわ……。私だったら絶対そんなことさせないぜ……」
「ナインを相手にするんだったら、多少の無茶もしないとねー。影に潜んで撃ってくる相手だし」
「そうだけども。まあ、その話は一旦置いといて……この卵は、その時にセツナがゲットしたのかにゃ?」
「そうそう。私は一回も手を出してないんだけどねー」
ボス戦だけは、同時に戦ったパーティーなら、同じ戦闘エリアにいる限り、全員にドロップが分配される。
だから、私にもドロップ品が入ってくるのは納得できるんだけど……。
「でも、だからって卵はないよねー」
「というか、今までモンスターから卵がドロップされたって報告は、どこにも上がってないんだけどにゃ……。一応、テイムの情報は、最初からサイトに書かれてたけども、それは【使役術】スキルで、モンスターを手懐けるって感じだったはずだぜー」
ケートが言うには、トッププレイヤーにはひとりもいないけど、趣味程度に遊んでいる人達の中には、少数いるらしい。
それでも、一番進んでる人でウサギ二羽らしく、とてもじゃないけど、戦えるレベルではないとかなんとか。
……じゃあ、この卵ってなんなの?
「まあ、言えることがあるとすれば……卵をゲットしたプレイヤーが今のところセツナだけか、もしくは秘匿されてるかってことだにゃー。つまり、その卵の情報は全くないってことだぜ」
「それはちょっと困ったねー」
「困った困っただぜー。セツナは、なんでゲット出来たのかとかも心当たりないのかにゃ?」
「ないような、あるような……?」
強いて言えば、なんだか黒サソリが私を気にしてたような、そんな気がしたくらい?
でも、あれも気のせいって言われれば気のせいだしなー。
「……ふむー。もしかすると、サソリに認められてたりとかしたのかもにゃー。それで、その戦いで勝ったからテイムされた、とか」
「そんなまさかー」
「だよにゃー」
にゃははと笑うケートに釣られて、私も笑っていると……サソリの卵からピシッと音が響く。
……もしかして、これって。
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名前:セツナ
所持金:105,040リブラ
武器:居合刀『紫煙』
防具:戦装束『無鎧』改
所持スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.15】【幻燈蝶Lv.6】【蹴撃Lv.11】【カウンターLv.10】【蝶舞一刀Lv.11】【秘刃Lv.2】【符術Lv.3】【八極拳Lv.5】
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