第三層の世界
前回のあらすじ
・セツナ起きた
・カリン達がヤバいものを作ってしまった
「つまり、第三層はほとんどが海の世界、ということですか?」
「だぜー」
あの試練の後、ワープをくぐり第三層を覗いてきた私とケートは、第二層の作業場へと戻り、カリン達に見たものの説明をしていた。
というのも、第三層は基本的にパーティープレイが推奨って感じだったからだ。
「どうも、第三層からは“キャラバン”が組めるようになるみたいだぜー。キャラバンを組めば、キャラバンホームが作れるようになって、そのホームに船を置いたり出来るらしいにゃー」
「聞いてみたら、キャラバンを組まなくても街の港を使えば船は出せるし、NPCを雇えば船の操舵も任せられるみたいだけどね」
「でも、NPCを雇ったらその度にお金もかかるし、大きい船を扱えるNPCは結構な金額を要求される感じだったからにゃー」
「うんうん。小さい船は無料だったけど、大きな船を使うなら買わないといけないし、すごいお金がかかりそうな感じだったね」
住んでるモンスターも、ほとんどが海の生物っぽかったし、第三層は船がないと冒険も出来ない感じだった。
だから、キャラバンを組めるようになってるんだろうけどね。
「あとは、第三層ゲートキーパーの場所が、すごい分かりやすかったくらいかな?」
「だにゃー」
「そうなんですか?」
「うん。だって、街から見えるくらいに、大嵐と雷が落ちてる場所があったし……。街の人に聞いてみたら、その嵐は消えることがなく、ずっとその場所にある、って」
十中八九、その場所にボスがいるはず。
だって、まずたどり着くのが大変そうだし……。
「三層、行く」
「だ、大丈夫でしょうか……?」
「やってみないと分からんにゃー。それに試練の内容は、人によって違うみたいだしにゃ」
「え? そうなの?」
「だぜー。直接確認取ったから、確実にゃ」
なんでも、私が倒れた後に確認していたらしい。
なんていうか……抜け目ないなー。
でも、それだったら確かに、カリン達なら抜けれるかも?
「時間、場所」
「ほいほい! 印を付けた地図と、時間のメモだけ渡しとくぜー」
「ん」
「で、リン。船の素材って何が必要かにゃ?」
□
「まさか、分からないって返ってくるとは思ってもなかったにゃー」
「だね。カリンさんって、なんでも作れそうなイメージがあったし」
「まあ、船は流石に手を出せてないって感じかにゃ。個人所有のヨット系を作るわけじゃないし、かといって個人所有のクルーザーなんかは、手を出せないだろうしねー」
「そう言われれば……確かにそうかも。リアルで作り方を知らないものは難しいよね」
第三層の街『ウルティア』の港で、私とケートはのんびり糸を垂らしてそんな話をしていた。
というのも、素材集めや、訓練などなど……今すぐにやる必要があることもなく、とりあえずと散策していたウルティアの街で、釣竿の貸し出しをしていたからだ。
店員さんが言うには、港で餌をつけて適当に垂らしてるだけでも釣れるらしいし。
「おっと、当たりにゃ。ふんっぬ!」
「ホントに釣れるんだねー」
「だにゃー。でも、まだ小さいからリリースにゃ」
「大きかったらどうしてた?」
「そりゃもちろん、焼いて食うぜ!」とか、気持ちのいい笑顔で親指立てられても。
まあ、釣った魚を塩焼きにして食べるのは……かなりそそられるけどね。
あー、でもお刺身とかも食べたいなー。
「っと、また当たりだぜー。にひひ」
「……なんでケートばっかり」
「食われると思ってるんじゃないかにゃー?」
「それはケートも同じでしょ!?」
にひひと笑いつつ、今回はそこそこ大きかったこともあって、ケートは釣った魚をアイテムボックスにしまっていく。
そうしてまた、のんびりと糸を垂らした。
「てか、あと一人見つけないとにゃー」
「ん? なにが?」
「ほら、キャラバンの最低人数。五人って言ってたじゃん」
「あー、そうだっけ?」
一緒に聞いてたはずなんだけど、あんまり覚えてないかも。
しかし、あと一人……あと一人、ねぇ。
「いやー、一人思い当たる人はいるんだけどにゃー」
「予想がつくから聞きたくないんだけど、まあ一応聞いてあげる。誰?」
「ナイン君」
「……だよねぇ」
予想通りの答えに、私は「はぁ」とため息をつく。
ナインとは、フンコロガシ戦以降会っていない。
といっても、まだ二日程度しか立ってないから、全然普通のことなんだけど……たぶん、こういうことが無かったら、ほぼ連絡を取らない相手なんだよね。
嫌いじゃないんだけど、好きでもない……むしろ、苦手なのだ。
「まあ、なんにしても、ナイン君単体では誘いずらいにゃー」
「ん? そうなの?」
「まーねー。ほら、私達四人って、ちょうど二人ずつで分かれてプレイしてるのが当たり前みたいになってるじゃん? そういうところに、一時的じゃなく、ずっと入っていくってのは結構厳しいもんだぜー。セツナもそういう体験、したことあるんじゃないかにゃ?」
「……確かに、完結してるコミュニティに、後から入っていくのは結構難しいよ」
それが、そのコミュニティからの誘いであったとしても、馴染みきることは非常に難しい。
助っ人で参加した部活なんかでは、それをよく実感する。
どうしても、探り探りのコミュニケーションになってしまって、はたから見れば馴染めているように見えても、その実、本人達は常に気を張っているような、そんな関係になってしまうのだ。
今回もどうせ、五人にはなれず、四人プラス一人の関係に……。
「でも、それだったらどうするの?」
「他の人を探すっていうのも手だけどにゃー……私達のキャラバンってなると、難しいかもしれないぜー」
「どゆこと?」
「ほら、私達って、目下独走中のトッププレイヤー集団ですし? 四人ともイベント優勝者……おっと、セツナだけ準優勝でしたっけ?」
「……斬っていい?」
腰に差した刀の柄へと手を伸ばし、にっこり笑顔で首を傾げる。
そんな私に「じょ、冗談だぜー。にゃは、にゃはは」と、ケートは引きつった笑みを返す。
だから私はその頭に手刀を落とし、大きくため息を吐いたのだった。
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名前:セツナ
所持金:105,040リブラ
武器:居合刀『紫煙』
防具:戦装束『無鎧』改
所持スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.15】【幻燈蝶Lv.6】【蹴撃Lv.11】【カウンターLv.10】【蝶舞一刀Lv.11】【秘刃Lv.2】【符術Lv.3】【八極拳Lv.5】
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