それぞれの楽しみ方
前回のあらすじ
・拳の戦いにセツナは慣れてきた
・拳で第一層ボス単独撃破
「それで、ケートちゃんのところに戻ってきたのかにゃー」
喫茶エルマンでケーキを食べながら、ケートはにひひと笑う。
その言い方だと、私が逃げ帰ってきたみたいな感じに聞こえるんだけど……。
「ま、いざ試作ってなったら、二人に任せるしかないしにゃー。仕方ない仕方ない」
「むう」
「次にセツナの意見が必要になるのは、試作が形になってからだぜ。使った感想とか聞かれるだろうぜー、もうそりゃ根掘り葉掘り」
「それはそれでちょっと怖いかも……」
ミトはそこまでだけど、カリンとかすごい聞いてきそうだし。
んー……でも自分で言い出したことだし、手伝えることは手伝いたい、かな?
「とりあえず、試作完成までどうするかってことだにゃー」
「うん。といっても、やることはほぼ決まってる感じだけど」
「だにゃー。行っちゃうかー」
「行っちゃおっかー」
二人とも何を言いたいのかは決まってると言わんばかりに頷いて、ケーキを綺麗に食べ終わる。
すると、ちょうど手が空いたのか、お皿を下げに来たマスターが「今度はどちらに行かれるんですか?」と話しかけてきた。
そんなマスターへ、私達は特に気負うこともなく……
「第三層へ」
と笑った。
□
「てなわけで行ってくるぜー」
「えっ!? 準備は大丈夫ですか?」
「んー、この間のフンコロガシ戦の分も残ってるし、大丈夫じゃないかな?」
「にひひ。そういうことだにゃー。行ってくるぜー」
ゲーム内翌日、私とケートは、それなりの準備をしてから作業場を出た。
その時に、初めて第二層ボスと戦いに行くことを、ミト達に伝えたのだ。
まあ、二人には集中して作業してて欲しかったしねー。
「で、ケート。戦闘可能時間は分かってるの?」
「にゃはは、そこは抜かりないぜ。なんてったってケートちゃんは天才だからにゃ」
「それ、理由になってないんだけど」
「セツナがトレントと遊んでる間に見てきたってことだぜ。ボスとも戦ったしにゃー」
うわっ、ホントに抜かりない。
でも、それならそれで教えてくれればいいのに。
「にひひ。ゲームってさ、知っていく楽しみもあると思うんだよにゃー」
「……なに、突然」
「私はさ、自分が突発的なことに弱いって分かってるし、頭もまあそんなに良くはないし。咄嗟の機転や反応は、セツナやナイン君……それこそ、イベントで戦ったミシェルさん達にも劣ってるって分かってる」
「そんなことは、」
ない……とも言い切れない、か。
現に、この間のフンコロガシ戦だって、ケートは転がってきたフンに、上手いこと対処はできてなかった。
後から考えれば分かるけど、ケートなら『アースドーム』で自分を覆ったり、『アースウォール』でも広く斜めに設置して、ジャンプさせることも、それこそ、自分の真下に壁をつくって飛ぶこともできたはず。
でも、ケートがやったのは、壁を立てるという……もっとも愚直な行為。
ゆえに、突発的な対応に弱いっていうのは……まさにその通りなのだ。
「だから、私が私らしくこのゲームを楽しむには、知っていることが重要なんだにゃー。モンスターの基本的な情報がわかれば、ある程度の予測は立てられる。予測が立てられれば、対策が立てられる。予測から外れたとしても、そこからの修正はやりやすいんだぜー」
「ミシェルさんとの戦いみたいな?」
「そそ。接近戦は、セツナ以上のプレイヤーはいないって思ってたし」
それは言い過ぎだと思うけど。
でも、まあ……双剣を持ったミシェルと戦っても、たぶん勝てる気がするし、あながち間違いでもないのかも?
いや、決してミシェルが弱いって言ってるわけではなく。
ミシェルが強いのは、あの対応力の幅広さがひとつの理由だと思ってるから。
遠近共にトップクラスの実力で、それを自由自在に使い分けることができる武器を持っている……それがなによりも、ミシェルを強くしているのだ。
今となっては遠距離攻撃手段を持ってるけど、あのイベントの時の私だったなら、弓を持ったミシェルが距離を保ち続けた場合……勝つのは難しいと思う。
まあ、いこーる負けるって訳じゃないけどね。
「で、それでなんで私には教えないってことになるの?」
「ん? だって、セツナは知らなくても対応出来るだろうし、知らない方が楽しめるんじゃないかなーってにゃ」
「……それは、そうかもだけど」
「にひひ。ま、ケートちゃんがいるから大丈夫だにゃー。当たって砕けてくればいいぜ!」
「砕けちゃダメでしょ」
とかなんとか話しつつ、私たちはイーリアス南東のワープポイントへとたどり着いた。
今回はダンジョンとかが無いから楽でいいよねー。
「そんじゃーいくぜー? セツナは呪符もちゃんとセットしたかにゃー?」
「っと、そうだった……せっかく収納をつけてくれたんだし、使わないと」
「にひひ、どんどん武者っぽくなってるにゃー」
「まあそれは……刀を使ってる以上、仕方ないんじゃないかなー」
なんて、緊張感もなにもなくワープをくぐり抜け、私達は空に浮かぶ神殿へと到着した。
相変わらず風が強いけど、今回はさすがによろめいたりしなかったぞっ!
「そうそうセツナ、一応助言だぜー」
「ん?」
神殿の中心へと向かう途中、いきなりケートがそんなことを言い出す。
知らない方が楽しめるとか言ってたのに、助言?
「風が強いから、土魔法はあんまり使わない方がいいぜー。風で逸れるからにゃー」
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名前:セツナ
所持金:105,040リブラ
武器:居合刀『紫煙』
防具:戦装束『無鎧』改
所持スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.15】【幻燈蝶Lv.6】【蹴撃Lv.11】【カウンターLv.10】【蝶舞一刀Lv.11】【秘刃Lv.2】【符術Lv.3】【八極拳Lv.5】
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