もうなんていうか臭い
前回のあらすじ
・フンコロガシを倒しにいこう
・臭いで鼻が曲がる
side.ケート
フンコロガシの大きさは、約3メートルくらい。
臭いとか大きさとかで見つけられそうな気がするけど、フンも大きいからか、暗くて遠目だと岩にしか見えない。
まあ、だから見つかってなかったんだろうけどにゃ。
フンを転がしてるからか、体勢は逆立ちのような状態で、これが戦闘になった際はどうなるのか……。
「お待たせしましたっス。そろそろ大丈夫そうっス」
「の割には、呼吸が浅い気がするけどにゃー」
「それは仕方ないっスよぉ……! 大きい声出したら、臭いが……うぇ……」
大丈夫とか言いながら、また嘔吐くナインに、セツナも私もなんとも言えず苦笑する。
まあ、実際気にするとキツい臭いだし、仕方ないけどねー。
「それで、仕掛けるの?」
「ナイン君が動けるようになったなら、そろそろ仕掛けるタイミングかにゃー」
「分かった。それじゃ接近するね」
「うぃうぃ! 頼りにしてるぜ、相棒!」
「まったく、調子良いんだから……」とかぼやきながらも、セツナはフンコロガシ……もとい、『グランデスカラベ』へと近づいていく。
それを見ながら、私も気合いを入れ直し、すぐそばのナインへと手を伸ばした。
「ナイン君はここにいてにゃ」
「え、ここっスか? でも、中長距離じゃ上手く狙えないっスよ?」
「まあまあ、そこはどうにかするからさー。それに、暗殺者が姿を見せるのは違う気がするぜ?」
「た、確かにっス」
納得したみたいに頷いたナインに笑いつつ、私も戦いの準備を進めていく。
まずはいつもの『クリエイトゴーレム』からだ。
「【蝶舞一刀】……水の型」
「お、始まるっぽいにゃー。んじゃ、こっちもモードチェンジ【魔法連結】」
「『水月』!」
「『ギガントハンマー』!」
スパンッドゴンという音を合図に、ボスとの戦いが始まる。
スカラベはノンアクティブのモンスターだったこともあって、しっかりと近づいて攻撃をできた分、最初の一撃でHPを一割近く削ることができた。
なかなか幸先の良いスタートな気がするぜ。
「そんじゃまずは……セツナー!」
「ん? あー、りょうかーい」
「にひひ、さすがは相棒。そんじゃ行くぜー! 『ウォーターフォール』! ナイン君は、今のうちに近づいて、死角からよろしくー」
「了解っス!」
ローブを纏ったまま夜闇に紛れていくナインを見送って、私は『ウィンドブロー』を連発していく。
しかし、やはり相手はボスなのだ。
その装甲は厚く、なかなか効果的なダメージを与えられない。
最初の一発で一割削ったのは、やはり不意打ちだったからなのだろう。
「GYURAAAAAA!」
「あ、すごいボスっぽい声」
「そうだにゃー」
軽い感想を口にしつつも、セツナは『旋花』を使ったり、私も『スパイラルランス』を突っ込ませたりと、ダメージを重ねていく。
もちろん、合間に手足をバタつかせたりなどはするものの、フンがあるからか全く驚異でもなく、お互い大したダメージも与えられずただ時間だけが過ぎていた。
しかし、次の瞬間……「『パワーショット』っス!」という声と共に、HPゲージがゴリッと減った。
「お、ナイン君、ナイス」
「こいつ、腹側が弱点っスよ!」
「にゃるほどにゃー。んじゃ、セツナ。一瞬離れてねー」
呼び掛けに応じ、少し離れたセツナを確認してから、私は槍状のゴーレムをスカラベへと発射する。
そして、その矛先がスカラベに当たる直前でモードチェンジを発動させた。
「【魔法連結】『ギガントナックル』……アッパー!」
「GYURAARARAA!?」
「ナイスっス! 『瞬影』、『パワーショット』!」
「【蝶舞一刀】風の型『旋花』!」
顔を叩き上げられたことで、丸見えになった腹を、ここぞとばかりに二人が技でダメージを与えていく。
まあ、腹の下の影から出てきたナインを、セツナが斬りそうだったのには笑ったけど。
セツナのことだから、わざとやったわけじゃないんだろうけど……わざとやったって言いそうな気はするにゃー。
「GYURAAA!」
「お、ようやく本番かにゃ」
HPゲージは六割といったところ。
ほぼなにもさせない状態で、これだけのダメージを与えられたのなら、十分過ぎるくらいだねー。
でも、何してくるかわかんないし、一度二人は近くに戻ってもらおうかな。
「てなわけで、二人とも戻っておいでーにゃ」
「りょーかいっス!」
「分かった」
そう言って、二人がテトテトと戻ってくる。
その後ろで……スカラベが動きだし、その体をフンの向こうへと隠した。
「およ?」
嫌な予感がする……というか、嫌な予感しかしない。
ゆえに、二人に散開を伝えようとした、その瞬間!
「フンが飛んできたにゃー!?」
「うぇ!?」
「ま、マジっスかぁ!?」
蹴り飛ばしたのか、なんなのか、猛スピードで突っ込んでくるフン。
避けようにも、3メートルはあるスカラベよりも大きなフンで、今からじゃ避けられない!
「【幻燈蝶】!」
「【影走術】『瞬影』!」
「ちょ、ズルい! 『アースウォール』!」
セツナは蝶になり、ナインは影に潜み、私は慌てて壁を作るものの……3メートル以上ある玉の全部を止められるわけもなく。
壁に弾かれ、宙へ浮き、フンはたくさんの破片を周囲へ撒き散しながら、頭上を越えていった。
そう、つまり……ダメージはなかったものの、私の心には大きなダメージを与えて。
「……めちゃくちゃ臭い」
評価とブックマークをいただければ、モチベーションアップに繋がります!
ぜひぜひ、お気軽にお願いしまーす!





