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また、つまらぬものを斬ってしまった……で、よかったっけ? ~ 女の子達による『Freelife Frontier』 攻略記  作者: 一色 遥
第四章『ボタン』

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心頭滅却せねば、鼻曲がる

前回のあらすじ

・ナイン用の装備、影装『黒衣』のおひろめ

・三人でフンコロガシを倒しにいこう

「それじゃ、行ってきますっス!」


 そうと決まればと言わんばかりに準備を済ませた私達は、日が落ち始めた時間に、共有作業場を後にしようとしていた。

 魚人戦のために準備していたポーション類が余っていることもあって、そこまで準備に時間もかからず、当日に行けそうだったのだ。


「ナイン」


 しかし、いざ向かおう! と思っていた私達の後ろから、抑揚の薄い呼び声がかかる。

 その声に立ち止まり、後ろへと振り替えると……予想通りの、カリンさんがそこにいた。


「なんっスか? 装備ならいい感じっスよ」


「ん、心配してない」


「そ、そっスか」


「……この、あいだ、意地悪して……ごめんなさい」


 たどたどしくも紡がれた言葉と共に、カリンが頭を下げる。

 その姿に、私とケートは顔を見合わせて苦笑し……ナインはよく分からないというような顔をしていた。

 うん、だろうね。


「なんなんスか? よく分からないっスけど……意地悪された記憶がないっスよ! だから、気にしないでくださいっス!」


「……でも」


「むしろ、自分の方が頭下げる立場っスよ! ありがとうございますっス! 予想以上の装備で、お礼が足りてなくて申し訳ないっス!」


「にゃはは。ま、当事者のナイン君がそう言うなら、そうなのかもしれんけどにゃー。それでも一応、リンの謝罪を受け入れてあげて欲しいぜ。それだけで、相手からすると楽になるもんだからにゃ」


 笑ってそう言うケートにナインは「そういうもんなんスか? なら、了解っス。謝罪してくれて、ありがとうございますっス」と、笑って見せる。

 そんなナインに、カリンは小さく頷いて、「行ってらっしゃい」と手を振ってくれた。


「はい、行ってきますっス!」


「いくぞー、フンコロガシ退治だー」


「……全然気が乗らないんだけど」


「にひひ」



「そういえば、フンコロガシって太陽神の化身とかって話があるっスよね」


「そうなの?」


「だぜー。転がしてるフンを太陽に見立てて、太陽をせっせと運んでる姿からそう言われてるって話だにゃー」


「創造力豊かな人たちっス」


 そういうことじゃないと思う。

 でも、フンを太陽に見立てるって……フンはフンだと思う。

 臭いし。


「しかし、改めて見ても……暗殺者だにゃー」


「そうね」


「これから夜になるけど、見失いそうだぜ」


「間違えて斬ったらごめんね」


「怖いっスよ!?」


 そんな緊張感のないやり取りをしつつ、荒野を東へ進んでいけば……辺りはどんどん暗くなっていく。

 街から離れているからか、辺りには全く明かりがなく、頭上に輝く星や月が、とても綺麗に見えた。


「そういえば、リンから教えてもらったけど、サボテン座とかあるらしいにゃー」


「サボテン座って……謎すぎるでしょ」


「星座って、この世界にもあるんスね」


「だにゃー。方位とかを調べるのに使えるかもしれんし、またしっかり調べとかないとにゃー」


 北極星とか、そういったやつのことだろうけど……。

 それ、必要になることってあるのかな?


「にしし、必要になるかどうかは分からなくとも、必要になることがあった時に使うためには、前もって知っておく必要があるんだぜ」


「……それはそうだけど」


「だから、無知よりは知っておく方が良い。でも、それに固執しすぎないようにするのも大事ってにゃー」


「似たような話を前もしたわね。考えないよりも考える、でも考えすぎるよりも考えないだっけ?」


「大正解にゃ」


 にひひと笑うケートにため息吐きつつ、周囲へと意識を集中させる。

 ちなみに、ナインは「勉強になるっス……!」と、感動していた。

 ……感動するよりも、周囲を探って欲しい。


「……しかし、変な臭いしないっスか?」


「時間的にはそろそろ出現してるはずだし、変な臭いもするかもしれないにゃー」


「ってことは、この臭いの先に、いるってことかー」


 つ~んとした、なんとも言えないすえた臭いに、鼻の頭を指で押さえつつ周囲を探る。

 すると、特に臭いのキツい方から、のしのしと音をさせて、大きな岩が近づいてきた。

 ……違う、これ岩じゃない。


「ふ、フンだにゃー!」


「こいつ、めちゃくちゃ臭いっスよぉ!?」


 距離にして十数メートルは離れているはずなのに、あまりの臭さに顔をしかめてしまう。

 うぇ……臭ぁ……。


「とりあえず、距離を保ちながら、臭いに慣れるまで観察で」


「これ、慣れれる臭いっスかぁ……?」


「鼻が曲がりそう。ケート、これはちょっと」


「ひひっ、鼻が曲がるのが先か、慣れるのが先か、だぜ」


 いや、笑ってごまかそうとしてるけど、引きつってるし。

 ゲームだから、吐いたりはしないけど……むしろ、吐いた方が楽になれそうな気もする。

 でも……アレに近づかないといけないのかー。


「嫌だけど……やってみるしかないか」


へふナはん(セツナさん)もうなれはんスあ(もう慣れたんスか)?」


「……鼻つまみながら話されると、何言ってるのか分かんないんだけど」


「す、すみませんっス! ……うぇっ」


 じろりとナインへ目を向けて言えば、ナインはすぐさま鼻から手を離す。

 しかし、直後に顔をゆがめ、嗚咽を漏らした。

 覚悟が足りんよ、覚悟が。


「心頭滅却すれば、火もまた涼しって言うでしょ? だから、精神を落ち着ければ、周囲のことには惑わされなくなるよ」


「いや、このメンバーでそれが出来るのは、セツナくらいだと思うにゃー」


「そう? でも、ケートももう大丈夫みたいだけど」


「ま、ケートちゃんは天才だからにゃー。……先んじて確認しに来た時に、ある程度慣らしただけだぜ」


 少し遠くを見て話すケートに、私はなんとも言えず、そっと目をそらした。

 そんなこんなで、ナインが大丈夫になるまで、私達はとにかく観察を続けたのだった。

 ……しかし、大きいなー。


-----


 名前:セツナ

 所持金:105,040リブラ


 武器:居合刀『紫煙』

 防具:戦装束『無鎧』


 所持スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.15】【幻燈蝶Lv.5】【蹴撃Lv.8】【カウンターLv.10】【蝶舞一刀Lv.11】【秘刃Lv.2】【符術Lv.3】

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