呪符破産一歩手前
前回のあらすじ
・【錬金術】にもスキル内スキルがあった
・終わらない失敗のターン
「ほい、次こっちー『ウォーターボール』」
「『鬼火』!」
「ほい、今度はこっちー『ロックショット』」
「て、『天雷』!」
「遅いっ!」
ビュオンと飛んできた石つぶてが頬を掠める。
そう、今私達は……決闘システムを使って、訓練をしているのだった。
決闘システムなら、呪符を消費しない設定も出来るからねー。
もちろん、スキルレベルは上がらないけど。
「ケートが早いんだって!」
「いやいや、そんなことはないぜ。折角の即発動型遠距離スキルなんだし、相手の魔法を止めるくらいのことはできないと」
「そうは言ってもー」
つまり、今やっているのは、ケートの魔法に対して、的確に呪符を発動し、無効化するという練習だ。
水には火を、火には水を、土には雷を、風には土を。
もちろん、相手の最下級魔法に対してのみの対応にはなるけれど、これが出来るだけでも、かなり楽に接近できるようになる……らしい。
「『鬼火』と『水泡』は慣れてきたみたいだけどねー。『天雷』と『石礫』はまだまだだにゃー」
「その二つはどうしても、狙う位置が難しくて」
「『天雷』はギザギザ動くし、『石礫』は矢みたいに重力で落ちるからにゃー。どちらも近距離ならそこまで難しくないけど、遠距離になると、動きにクセがあるみたいだねー」
そう、火と水はなぜか真っ直ぐ進んでいくのに、雷と土は真っ直ぐ進まないのだ。
全部真っ直ぐでいいじゃん!
なんでこういうところにクセをつけるの!
「ま、悩んだところで意味がないし、次いくよー『プチフレイム』」
「『水泡』! この鬼!」
「はっはっは、なんとでも言うがいい! 『ロックショット』」
「『天雷』!」
バシャッ、ドゴンと音を響かせながら、私達はとにかく魔法を打ち続けた。
くそう、刀が使えればこんな魔法使い一人くらい、一瞬で斬り伏せるのに。
「怖い顔してるにゃー両手連打『ウィンドブロー』」
「『石礫』って、ちょっと卑怯!?」
「にゃはははは、にゃーはっはっはっはっはー!」
「貴様ァ!」
『石礫』で防ぎきれず空気の震えだけに集中して、ステップを踏み……全て避けきる。
そして、ここぞとばかりに『鬼火』を飛ばした。
「甘い甘い! 『ウォーターボール』あんど『ロックショット』!」
「『天雷』! からの『水泡』!」
「ふははは、まだまだよ! 一極集中『ウィンドブロー』!」
「え、ちょ!?」
ドゴーンと音を響かせながら、『水泡』を吹き飛ばし、暴風が私へと突っ込んでくる。
その状況に、「ああもう!」と悪態をつきつつ、刀へと手を伸ばし……風を斬り裂いた。
□
そんな訓練……もとい決闘を終えて、私達は喫茶エルマンで一息ついていた。
ちなみに、決闘に勝者はなし。
だって、MPもHPも減らない設定だったから。
「だからってケート、いきなり実戦形式はどうかと思う」
「にゃはは。あーゆーのは実際にやる方が、圧倒的に身に付くんだぜー?」
「そうかもしれないけど……最後は刀使っちゃったし」
「それでいいと思うぜー? 何も封印しろって言ってる訳じゃなくて、刀以外の選択肢も選べるように、身に付けてほしいってだけだからさ」
そう言って、ケートは珈琲らしき飲み物を飲み、“苦い……でも美味い”みたいな顔をする。
そんなケートに私はため息吐きつつ、不思議と小さく笑ってしまった。
「ま、でもセツナは近距離の方が向いてそうだにゃー。【符術】はサポートくらいに考える方がいいかも知れないぜ」
「そう? まあ、確かに……ちょっと我慢してるような感じではあったけど」
「うむ。それに【符術】なら近距離でも使えるしね。例えば、刀を振った後の置き土産とか、退がる時の目眩ましとかね」
「なるほど。かざして宣言するだけだから、体勢が整ってなくても放てるんだ」
それなら、使い道はかなり多くなるかも。
例えば、火の型【発破】を使いながら、自爆的に使うことも可能ってことだろうし、【蹴撃】との合わせ技も出来るかも?
この辺は要練習だけど。
「あと呪符も、イーリアスならひとつ上のグレードも売ってるから、それを使ってみてもいいと思うにゃ」
「あれ? そうなの?」
「うむー。イーリアスで売ってるのは、最下級四種に加えて、火の呪符『炎鎖』と、土の呪符『地鳴』だぜ」
「へー。面白そうな呪符かも」
なんでも、『炎鎖』は炎による鎖を放ち、自身と相手を鎖で繋ぐ魔法らしく、『地鳴』は地面を揺らす魔法らしい。
どちらもダメージとしては低いものの、相手の行動を阻害する魔法で、ここぞというときに使うことで、一気に攻めに転じることが可能になるみたい。
でも、『炎鎖』は自分にもダメージが入るのと、相手との距離が離れなくなるので、使いどころが難しいとかなんとか。
「セツナだったら、『炎鎖』のデメリットはほとんど無視できると思うにゃー。まあ、ダメージは喰うけど」
「相手が逃げられなくなるのはすごい良いかも。刀の間合いで使えば、ずっと接近戦を強いれるわけだし」
「うむうむ。他にも、後衛が狙われた際の緊急手段にもなるにゃー」
確かにそうかもしれない。
ケートが狙われた際に、私に引き付けられれば、相手は遠距離攻撃でしか、ケートを狙えなくなる。
それを潰すくらい、ケートなら楽勝だろうし……いいかも。
「『地鳴』はセツナも影響を受けちゃうから難しいかにゃー。『発破』の時に、相手の体勢を崩すくらいなら出来るかもだけど」
「だねー。そのくらいかも」
「なんにせよ、ちょっとお値段張るのだけは覚悟しておいていただいて……」
「えっ、そんなに高いの?」
驚く私を前に、ケートはフフフと笑い、「1枚、5000リブラでっせ」と囁いた。
ご、ごせん……。
高いっていうか、高すぎでしょ!?
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名前:セツナ
所持金:130,040リブラ(-80,700リブラ)
武器:居合刀『紫煙』
防具:戦装束『無鎧』
所持スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.15】【幻燈蝶Lv.4】【蹴撃Lv.7】【カウンターLv.9】【蝶舞一刀Lv.10】【秘刃Lv.2】【符術Lv.1】
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