表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
また、つまらぬものを斬ってしまった……で、よかったっけ? ~ 女の子達による『Freelife Frontier』 攻略記  作者: 一色 遥
第三章『君には届かない』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/147

失敗で埋めていく溝

前回のあらすじ

・消臭液の値段が決まった

・東のボスがふんころがし……

 side.ミト


 ケートに消臭剤を渡してから、ゲーム内で一日が経過し……カリンの作るナイン用装備の試作が終了した。

 後は本素材で実際の装備を作り上げるだけ……。

 しかし、それにはまだ材料が全て揃っていなかった。


「すみません、カリンさん。染色液の完成が遅れてて……」


「問題ない。あとは?」


外套(がいとう)用の黒系染色液です。消音の効果が付けたいんですが」


「了解」


 一言そう言って、カリンは背を向けて作業を始める。

 取り出した型を見るに……外套以外から手をつけてくれるらしい。


 つまり、他が完成するまでに頑張ってほしいってことみたいです。


「私もやらないと!」


 パンッと両手で頬を叩き、素材を並べ、ひとつひとつ処理を行っていく。

 忍者やカリンに教えてもらったところ、黒色の染料というのは、厳密に言えば存在しないものらしい。

 それでも黒い布が存在するのは、紫なんかの色を濃くしていくことで作り出している……とか。


 だからこそ、基本となる素材は紫の染色液と同じく、紫色をした植物の根っこ。

 これを細かく切り、鍋の中でグツグツと煮詰めていく。

 

「煮詰めたあとの汁を器に移して、これと同じことを何度か繰り返す……」


 切っては煮詰めて、汁を移す。

 それを何度も繰り返し、全部で10個の『紫の染色液』が完成した。


「ここからは【錬金術】で、二つの染料を融合。色の数値を濃く出るように変更して、効果に消音を……あっ」


 やっている最中に、またパキンッと音が響き、染色液が消失していく。

 そう……ここが一番の難関。

 数値を大きくいじればいじるほど、強い効果を加えれば加えるほど、成功率は低くなっていく。

 だからこそ、生産プレイヤーの掲示板でも、『黒の染色液が一番難しく、作れるだけでもすごい』という話だった。


「でも、だからって……それで満足はしていられないんです」


 チラッと背後を見れば、カリンが真剣な顔で装備を作り上げていく。

 その顔がまさに魂を込めていると言わんばかりの熱を帯びていて、私はグッと気合いを入れ直した。


「まだまだ素材はあるのです!」


 二つを並べてまた【錬金術】で重ね合わせる。

 立ち上がったウィンドウを操作して、数値を合わせ、効果をいれていく。

 今度こそ成功を……と思ったところで、またしてもパキンッと失敗時の音が響き、染色液が光となって消滅していった。

 ぐぬぬ。


「先に黒色と消音効果のついた染料を別々で作ってしまって、そこからさらに融合させる……? でも、それだと効果がどの程度残るかわからないし、効果と数値を最大で残したままにするなら、結局難易度は変わらないから……」


 結局のところ、紫の染料を2つ使って作る方が、コストとしてはかからない。

 だからこうして作っているけれど……難しい。


「失敗ばっかりしてても【錬金術】のレベルが上がるのは、ちょっと憎らしいですね……」


 何度も何度も紫の染色液を作っては消失させてを繰り返し、気づけばLv.5だった【調合】と【錬金術】のレベルが、両方ともLv.8に上がっていた。

 確かに経験は積んでますけど。


「そう言えば以前、セツナさんが確か……」


 『補助スキルだから技がないと思っていたスキルに、技が生まれてたんだよねー』

 『【蹴撃】ってスキルなんだけど、効果は“蹴りの効果が上がる”って書いてあるだけ。ね、補助スキルって感じでしょ?』

 『でも、ちゃんと調べたら、乱脚とか二連脚とかって技があったんだよねー。ビックリしちゃった』


「って、言ってたような……。もしかして」


 考えるよりも見てみた方が早い。

 そう思って、私はスキルウィンドウを開き、【調合】スキルと【錬金術】スキルの詳細を開いた。


「あっ! やっぱり!」


「……?」


「あ、いえ、あの……生産スキルにも、戦闘スキルの技みたいなものが追加されていたので」


「ん。……知らなかった?」


 さも、“当然では?”という顔で首を傾げるカリンに、私は自分の顔が赤くなったのを感じた。

 えええ……知ってたんですかー?


「【鍛冶Lv.8】、『鍛練眼』」


「えっと、詳細には……鉄を鍛える時に、叩くべきポイントが分かりやすくなる、ですか?」


「ん。でも使ってない」


「使ってないんですか!?」


 驚く私に「ん」と、何事もないように頷くカリン。

 ケート風に言うなら……これだからリアルチートは……というやつなのでしょうか?


「あくまで補助。でも使っていい」


「えっと、あくまでも補助だから、使わなくても良いけれど、私みたいに、このゲームで初めて生産に携わるなら、使ってみた方が良い。ってことですか?」


「ん。大正解」


「なるほど。スキル技の補助を使って、少しずつ覚えていくのが良いかもしれませんね。ありがとうございます、試してみます!」


「ん」


 私の答えにカリンはしっかりと頷いて、ポンポンと頭を撫でて背を向ける。

 え、え?

 えっと……カリンに撫でられました?

 それに、今ちょっとだけ、笑って?


「あ、えっと、がんばらないと……」


 気合いを入れたものの、頭の上に乗せられた手の感触と、一瞬だけ見えた表情が、なかなか脳裏から消えず。

 ……気づけば私は、そこから十数回ほど失敗を繰り返したのでした。


 ど、どうしよう。

評価とブックマークをいただければ、モチベーションアップに繋がります!

ぜひぜひ、お気軽にお願いしまーす!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] この二人のコンビ尊いぃ...!(歓喜)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ