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また、つまらぬものを斬ってしまった……で、よかったっけ? ~ 女の子達による『Freelife Frontier』 攻略記  作者: 一色 遥
第一章『広がる世界』

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ボスの姿はサソリでした

「セツナ! 右側お願い!」


「はーい」


「ぶっ飛べ、『ウィンドブロー』!」


 ケートの指示で、右側の蛇を一刀で切り捨て、横から突き出されてきたサソリの尻尾をのけぞって躱す。

 直後、暴風が吹き、ドゴッと音を響かせた。


 なぜこんなことになっているのかというと、私達は今、アルテラの北にある山の頂上付近に作られていた洞窟へとやってきていた。

 新しい杖を手に入れたケートが、「そういえば、北の山の頂上付近に、洞窟ダンジョンがあるらしいんだよね」と、言い出したからだ。

 なんでも、お店をやってるNPCのおじさんが、「あそこの奥にはとても強いモンスターがいて、なにかの門を守っているって言われてるんだ」という話をしてくれたらしい。


 それゆえに、私もケートも新しい武器の使い勝手を確かめる良い機会とばかりに、ここへと向かうことになったのだったー。


「でも、なにかの門ってなんの門なんだろうね?」


「あー、たぶんだけど、第二層に続くゲートじゃないかなーって思ってるよー」


「……だいにそう?」


 なに、それ。


「あれ、説明してなかったっけ? フリフロの世界は塔みたいな構成になってて、基本的には一つの層に一つの街があるって感じになってるんだって。で、層ごとに世界観が全然違うんだってさー」


「へ、へー」


「だから、今いる第一層はのどかなファンタジーだけど、第二層は侍達の世界かもしれないし、機械の世界かもしれない。もしかすると、恐竜時代みたいなのもあるかも?」


 つまり、何が来てもおかしくないらしい。

 なにその、びっくり箱みたいな塔は。


「ちなみに、まだ初日なこともあって、第二層に行ったってプレイヤーはいないらしいんだよね。ついでにいえば、ボスモンスターを倒してるのも私達だけ」


「あれ、そうなの?」


「うん。だから、第二層に最初にいけれれば……なんか気持ちいい気がしない?」


 そう言って笑うケートに、私は「仕方ないなぁ……」と苦笑してしまう。

 ケートは昔から、ゲームに対しては本気だし、このゲームも本気で楽しみたいんだろうなぁ……。

 だから、一番乗りしたいって感じかな?


「そんなわけで、敵さんきましたー! 蛇とサソリと、コウモリと……人形?」


「人形?」


「木で出来た人形がいる、弓を……わひゃ!?」


 のんきに話してる私達を狙って、矢がバヒュンと飛んできた。

 ケートも私も避けれたから良かったけど、洞窟の中であの人形さんはちょっと危険かな?


「ふふ、ふふふ……魔法使いケートちゃんを射殺そうなんて、百年早いってことを……教えてやる……!」


「あ、謎のスイッチ入った」


「燃えろ、人形め! 『プチフレイム』あんど『プチフレイム』!」


 明かりの乏しい洞窟の中で、ケートの周りだけが赤い光に包まれる。

 そして……私が手を出す暇も無く、大量の火の玉がモンスターの集団に向かって飛んでいった。

 南無三。


「ふふん、触れたら火傷するぜ」


「燃やしてる側が言う台詞じゃない」


 などなど、そんなことを話しながらのんびり歩いて行くと、次第に敵の数も増え……それをケートが軽率に燃やし、私はそれを眺めつつあぶれた敵を倒していく流れが完成していた。

 魔法って便利なんだなー。


「というわけで、着いちゃいましたね。意味ありげな門」


「そうだねー」


「行く? 行っちゃう?」


「んー……防具がまだ最初のだよ?」


 一番の問題はたぶんそこだと思う。

 だって、攻撃を受けても私はなんとかなるけど……ケートはたぶん死んじゃうし。


「まあ、そうなんだけどねー。一度見てみない? 倒せなくてもいいし」


「倒せなくてもいいって言うなら良いけど……」


「じゃあ決まり! もう夜になっちゃうから、今から帰っても門の外だし、死んで帰れば街の中って感じで!」


 命の価値が安すぎる……。

 でもまぁ、一度見ておけば、次やるときに楽だろうしね!


 そんなわけで私達は、大きな門を二人がかりで押していく。

 こういうのは、自動に、して、いただけれ、ば!



 門を開けた先にあったのは、巨大な空間となぜか差し込む光だった。

 あれ、ここ……洞窟の中だったよね?


「明るいっていうのはありがたいねー」


「うん。ケートが目立つこともないし」


「洞窟の中じゃどうしてもね。でも、それだけじゃなくて、ボスの姿がよく見えるのはすごい助かるってこと」


「あー、なるほど」


 観察するにも、モンスターの姿がよくわかんなかったら意味がないしね。

 そんなことを話しながらゆっくりと部屋の真ん中の方に進んでいくと……「グラァァァァァ……」という、なんとも言えない獣の声が聞こえてきた。


「セツナ、来るよ」


「うん」


 ケートの言葉に私が武器を抜くと、部屋の最奥の方へ黒い風が集まっていき、風が晴れるとそこには、巨大な黒サソリがいた。

 名前はブラックスコーピオン、うん、そのまんまだね。

 ただ、大きさ的には……私達の何倍とかいうレベルの大きさじゃない。

 持ち上げた尻尾の高さが三階とか四階に届くくらいって感じ。


「グラァァアァ!」


「セツナ!」


「はーい!」


 突っ込んできた巨大サソリを受け持つように、私もまっすぐに駆け、振り抜かれた鋏を跳び超えながら一閃。

 ギィンっと弾かれたような音が響き、直後上から尻尾が迫ってきた。


「ほっ、と」


 身体を反らして尻尾を避け、すぐさま先端の付け根を斬りつける。

 ガシュッと音がして、今度は良い感じの手応えを感じた。


「ふむふむ。殻は硬いけど、関節とかつなぎ目を狙えば大丈夫そうっと」


 そう結論つけて、私は鋏を避けつつ巨大サソリと少し距離を取る。

 すると、それに合わせるように、多種多様な魔法が巨大サソリに当たった。


「ゲージの減りで見れば、効果が高いのは火? んー、当たった位置にもよりそうだにゃー。セツナはどう?」


「避けるのは難しくないけど硬いかな」


「まあその辺はボスだしねー。さてと、あと数分打ち込んだらMPも切れるし、いろいろ試すだけ試して死ぬかー」


「……ほんと躊躇(ためら)いないわね」


 呆れる私に笑顔を見せて、ケートは連続で魔法を放っていく。

 それから数分ほど戦い、巨大サソリのゲージを半分近くまで削ったところで、私達は戦うのをやめたのだった。


-----


 名前:セツナ

 所持金:3,530リブラ


 武器:居合刀『紫煙』


 所持スキル:【見切りLv.1】【抜刀術Lv.6】【幻燈蝶Lv.2】【蹴撃Lv.2】【カウンターLv.2】【蝶舞一刀Lv.1】

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