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また、つまらぬものを斬ってしまった……で、よかったっけ? ~ 女の子達による『Freelife Frontier』 攻略記  作者: 一色 遥
第五章『サヨウナラが言えない』

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言うだけはタダ

前回のあらすじ

・シロが単身試練を受けに

・呪符銃の試作品がヤバい

「私は指輪型の銃とか憧れるぜい! 暗器的な感じでにゃー」


「指輪、ですか? えっと、蓮華みたいな感じのです?」


「うむ! 持ち運びも楽だし! “まさか、これが銃!?”みたいな感じで虚を付けそうじゃん?」


 あー……たしかにそれはアリかも?

 魔法使い的には、魔力使わなくても大丈夫な武器を一つは持っておきたいよねー。


「なるほど……。セツナさんはどうですか?」


「んー、狙わなくてもいい感じの銃が欲しいかも? ほら、私って敵の近くにいることが多いし」


「散弾銃みたいなやつかにゃ? バーンって弾けるやつ」


「良くわかんないけど、たぶんそれ」


 「な、なるほど」と困ったように笑いつつも、ミトはカリンと少しだけ相談をして……「では、ひとまず三パターンの形を試作してみます」と、紙を取り出した。


「まずは、私達後方支援プレイヤー用の猟銃タイプ。こちらは今の銃の形をベースに、連発出来るように考えてみます」


「ふむふむ」


「それから、セツナさん発案の散弾銃タイプ。こちらは片手で持てるよう、銃の長さを短くして、銃口自体を増やすか太くする形で考えてみます。サイズ的には、ナインさんの弓である、機械弓『小鬼』くらい……?」


 インクなのか墨なのか、よく分からないけど黒色の線で文字や絵を描きながら、ミトが紙へと案を纏めていく。

 話しながらさらさら~っと書かれていくソレがなんだか綺麗で、私とケートはその紙から目をそらせなかった。


「あと、ケートさんのアイデア銃は、ちょっと小型過ぎて難しいので、まずは手のひらサイズの小銃を考えてみます。ただ、サイズ的に単発銃になりそうです」


「まあ、そうなるだろうにゃー」


「……っと、よし。カリンさん、これでいいですか?」


「ん。問題ない」


 ミトのメモした紙を受け取って、カリンは早々に私達から離れていく。

 そんなカリンに慌てつつも、「は、早く作りたいみたいで……すみません、お先に失礼します!」と残してミトも駆けていった。

 ……それは良いんだけど、この銃はどうすれば良いの?


「それはセツナが持っとけば良いんじゃないかにゃ? あの二人以外だと、セツナしか呪符は使わないし」


「えっと、良いの? 未完成って言ってたけど」


「気になるなら後で聞いてみればいいにゃー。でも、リンのことだし、置いてったってことは手元に無くても大丈夫ってことだと思うぜー」


「そういうものかなぁ……」


 まあ、とりあえず拾っといて、後で聞いてみよ。

 にしてもこれ、鈍器としても大丈夫そう。


「殴ってみても良い?」


「……ダメに決まってるにゃ」


□□□


 side.カリン


 まず三パターンの内、最も簡単に手を付けられそうなのは、同型の猟銃タイプ。

 威力は、ケートに教えてもらったMPため込み&放出の機構を取り除けば問題なし。

 だから、考えるのは連発式にすること、ただ一つ。


「……むう」


 しかしそれが難しいのだ。

 まず弾倉の形をどうするのか、複数の種類を撃ち分けるための機構はどうするのか、と大きく分けて二つの難問が出てくる。

 弾倉に関しては、呪符本来の形をそのまま利用するとなると、サイズが大きくなってしまう。

 それゆえに、たとえばピストルのように呪符を丸めて弾倉に詰めてしまったり……プリンターみたいに、給紙トレイ的な構造にしてみたり……?


「むう……」


 いかんせん、構造を決めてしまわないと、試作を作ることもできないのだ。

 さて、どうするべきか……。


「カリンさん。いったんお茶にしませんか? リラックスすれば、良い案も出てくるかも、です」


「むう」


「あはは……。今日はカリンさんの好きな、“焼き肉の匂いが楽しめる”って言われて頂いた茶葉なんですが……すごくお腹の空く匂いですね……」


「ん。生殺し」


 注ぐだけで一面に香り立つ焼き肉屋の匂い。

 目を閉じれば、脳裏に蘇るのは響く焼き音と、鼻を突く甘辛なタレの香ばしさ。

 ……肉が食べたくなる、絶妙な香り。

 誰がこんな拷問器具を。


「あー、その……イサリさんに」


「……?」


「えっと、忍者さんです」


 なにしてるの忍者。

 こんな匂いしてたら、目立って仕方ないのに……まさかそれが狙いか。

 予想の斜め上を行く忍術……。


「奥深い」


「飲んでみたら普通のお茶なのが、妙な感じですね。喉を抜ける肉の香り……ダイエットに効きそうな気がします。胸やけしそうで」


「ん」


 食べても太らないゲームの中でまでダイエットする意味は無いと思う。

 でも、思考を逸らすにはちょうど良い匂い?

 ……いや、やっぱり生殺しだ。

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