言うだけはタダ
前回のあらすじ
・シロが単身試練を受けに
・呪符銃の試作品がヤバい
「私は指輪型の銃とか憧れるぜい! 暗器的な感じでにゃー」
「指輪、ですか? えっと、蓮華みたいな感じのです?」
「うむ! 持ち運びも楽だし! “まさか、これが銃!?”みたいな感じで虚を付けそうじゃん?」
あー……たしかにそれはアリかも?
魔法使い的には、魔力使わなくても大丈夫な武器を一つは持っておきたいよねー。
「なるほど……。セツナさんはどうですか?」
「んー、狙わなくてもいい感じの銃が欲しいかも? ほら、私って敵の近くにいることが多いし」
「散弾銃みたいなやつかにゃ? バーンって弾けるやつ」
「良くわかんないけど、たぶんそれ」
「な、なるほど」と困ったように笑いつつも、ミトはカリンと少しだけ相談をして……「では、ひとまず三パターンの形を試作してみます」と、紙を取り出した。
「まずは、私達後方支援プレイヤー用の猟銃タイプ。こちらは今の銃の形をベースに、連発出来るように考えてみます」
「ふむふむ」
「それから、セツナさん発案の散弾銃タイプ。こちらは片手で持てるよう、銃の長さを短くして、銃口自体を増やすか太くする形で考えてみます。サイズ的には、ナインさんの弓である、機械弓『小鬼』くらい……?」
インクなのか墨なのか、よく分からないけど黒色の線で文字や絵を描きながら、ミトが紙へと案を纏めていく。
話しながらさらさら~っと書かれていくソレがなんだか綺麗で、私とケートはその紙から目をそらせなかった。
「あと、ケートさんのアイデア銃は、ちょっと小型過ぎて難しいので、まずは手のひらサイズの小銃を考えてみます。ただ、サイズ的に単発銃になりそうです」
「まあ、そうなるだろうにゃー」
「……っと、よし。カリンさん、これでいいですか?」
「ん。問題ない」
ミトのメモした紙を受け取って、カリンは早々に私達から離れていく。
そんなカリンに慌てつつも、「は、早く作りたいみたいで……すみません、お先に失礼します!」と残してミトも駆けていった。
……それは良いんだけど、この銃はどうすれば良いの?
「それはセツナが持っとけば良いんじゃないかにゃ? あの二人以外だと、セツナしか呪符は使わないし」
「えっと、良いの? 未完成って言ってたけど」
「気になるなら後で聞いてみればいいにゃー。でも、リンのことだし、置いてったってことは手元に無くても大丈夫ってことだと思うぜー」
「そういうものかなぁ……」
まあ、とりあえず拾っといて、後で聞いてみよ。
にしてもこれ、鈍器としても大丈夫そう。
「殴ってみても良い?」
「……ダメに決まってるにゃ」
□□□
side.カリン
まず三パターンの内、最も簡単に手を付けられそうなのは、同型の猟銃タイプ。
威力は、ケートに教えてもらったMPため込み&放出の機構を取り除けば問題なし。
だから、考えるのは連発式にすること、ただ一つ。
「……むう」
しかしそれが難しいのだ。
まず弾倉の形をどうするのか、複数の種類を撃ち分けるための機構はどうするのか、と大きく分けて二つの難問が出てくる。
弾倉に関しては、呪符本来の形をそのまま利用するとなると、サイズが大きくなってしまう。
それゆえに、たとえばピストルのように呪符を丸めて弾倉に詰めてしまったり……プリンターみたいに、給紙トレイ的な構造にしてみたり……?
「むう……」
いかんせん、構造を決めてしまわないと、試作を作ることもできないのだ。
さて、どうするべきか……。
「カリンさん。いったんお茶にしませんか? リラックスすれば、良い案も出てくるかも、です」
「むう」
「あはは……。今日はカリンさんの好きな、“焼き肉の匂いが楽しめる”って言われて頂いた茶葉なんですが……すごくお腹の空く匂いですね……」
「ん。生殺し」
注ぐだけで一面に香り立つ焼き肉屋の匂い。
目を閉じれば、脳裏に蘇るのは響く焼き音と、鼻を突く甘辛なタレの香ばしさ。
……肉が食べたくなる、絶妙な香り。
誰がこんな拷問器具を。
「あー、その……イサリさんに」
「……?」
「えっと、忍者さんです」
なにしてるの忍者。
こんな匂いしてたら、目立って仕方ないのに……まさかそれが狙いか。
予想の斜め上を行く忍術……。
「奥深い」
「飲んでみたら普通のお茶なのが、妙な感じですね。喉を抜ける肉の香り……ダイエットに効きそうな気がします。胸やけしそうで」
「ん」
食べても太らないゲームの中でまでダイエットする意味は無いと思う。
でも、思考を逸らすにはちょうど良い匂い?
……いや、やっぱり生殺しだ。
評価とブックマーク、レビューをいただければ、モチベーションアップに繋がります!
ぜひぜひ、お気軽にお願いしまーす!





