一面の青
第五章「サヨウナラが言えない」開始します。
更新頻度は不定期になるかと想いますが、お付き合い頂ければ嬉しいです。
「では、行ってまいります!」
カリン謹製の装備を身にまとい、たった一人で試練へと赴くシロを、私達は「いってらっしゃーい」とのんきに見送った。
いや、だって……シロならもう大丈夫だろうし。
心配するだけ無駄かなって。
「それでも心配したり、声をかけてやるのが師匠心ってやつじゃないのかにゃー?」
「えー」
「まあ、そういうところがセツナさんっぽいと思うっス」
「ん」
私っぽいってなんだ!?
あと、私は師匠じゃないし、先生だし。
「屁理屈こねてるセツナは置いといてにゃー、ナイン君達はこの後どうする予定かにゃ?」
置いておかれた!?
「自分っスか? そっスね……第三層でシロを待つのもアリなんスけど、まだ結構かかるっスよね?」
「だと思うぜー? いろいろやってたら半日足らずはかかるだろうしにゃ」
「っスよねぇ……まあでも、やっぱり自分はウルティアでシロを待つっスよ。一番にシロを出迎えてあげるのが、相方だと思うっスから」
おおー、なんかナインがまともなことを言ってる。
ま、シロからすれば、ナインが待っててくれたら喜ぶと思うし、良いと思うなー。
「ナイン君、成長したにゃぁ……」
「な、なんなんスか、いきなり」
「いや、良いんだよ。後は若い二人で末永くしあわせに、だぜ」
誰目線よ。
「なんかよく分かんないっスけど、とりあえずウルティアに行ってくるっス。またシロが来たら連絡するっス」
「はーい。よろしくー」
「それじゃ、行ってきますっス!」
言うが早いか、ばびゅんと作業場を飛び出していくナイン。
そんなに急いだところで、シロが来るまではまだまだ掛かると思うんだけどねー。
「……ナイン君、イイおとこに成長したにゃ」
「いや、一応女の子でしょ」
「わ、わかってらい! 言葉のあやってやつだぜ」
ぷりぷり怒るケートを適当にあしらっていると、作業を終えたらしいカリンが「セツナ」と口を開く。
そのまっすぐな目に居住まいを直した私を見て、ケートもまたカリンの方へと向き……出てきた物に「うぇっ!?」と飛び跳ねた。
「り、リン? これって、もしやあの……」
「呪符銃、試作品」
「へー、もう完成したんだ。さすがカリンさんですね」
木で出来ているからか、見た目は素朴なおもちゃの銃。
しかし、手に取ってしっかりと目を向ければ、ひとつひとつが非常に細かく作られており……これがただのおもちゃではないことを、ひしひしと伝えてくる。
長い筒を持つ、いわゆる長銃と呼ばれるものみたいで、近いのは火縄銃とか猟銃とか?
「まだ未完成」
「え? そうなんですか?」
「ん」
「えっと、完成してると言えばしてるんですが、していないと言えばしていない……みたいな感じです」
……禅問答?
□□□
「ぐへっ!?」
カリンが撃った。
鉄板を貫いた。
ケートが死んだ。
……決闘場で良かったねー。
「……しかし、これで完成では?」
「威力が強すぎるんです。もちろん将来的には、この威力を常に出せるよう改造を加えていくのが理想ではありますが、」
「バランスブレイカー」
「ばらんす、ぶれいかー?」
支柱でも壊すの?
「ふへぇ……気づいたら死んでたにゃ……」
「あ、おかえり。どう、死に心地は」
「一瞬過ぎて分かんなかったぜ! 強いけど、リンが未完成って言ったのは理解したって感じかにゃー」
「そうなの? 私的には成功してるって思ったけど」
だって、ちゃんとケートは死んでたし。
狙ったところに撃ててるなら問題ないじゃん?
「チッチッチ、まだまだ青いな嬢ちゃん」
「誰が青二才よ」
「そうは言ってないけどにゃー。でも、大体言いたいことは合ってる。ま、ものすごく簡単に言うと威力が強すぎるんだぜ」
「威力が強い? さっきミトさんも言ってたけど、それって良いことじゃないの?」
だって、威力が強ければ敵はしっかり倒せるし、使用する呪符の数も減るし、良いことばっかりだよね?
とかなんとか、腑に落ちてないような顔をしてたのか、ミトさんが私を見て苦笑しつつ「もちろん、すごく悪い、という訳じゃないんですよ?」と口を開く。
「ただ、今回のように威力が強すぎると、反動が強かったり、このゲーム自体のバランスを崩壊させてしまうことに繋がってしまいますので……」
「ゲームのバランス……?」
「んー、つまり、銃が強くなりすぎて、魔法や弓が全く使われなくなっちゃうかもしれないってことだにゃー。特に銃っていうのは、誰にでも扱える魅惑的アイテムだし」
「あー……なるほど」
つまり、みんなが銃ばっかり使うようになっちゃって、ゲームの難易度とかそういったバランスが崩れるってことね。
んー、それはたしかに問題かも。
「まあでも、まだコイツは単発銃だしにゃー。そこまでめちゃくちゃ重要視はされにゃいだろうけど、軽く市場バランスは崩しそうだぜー」
「ん」
「あー……そういう……」
単発とはいえ、呪符一枚であの威力が出せるなら、銃はかなり魅力的だし。
で、銃が売れるなら、銃弾代わりの呪符も需要が高まる。
そうしたら、今の市場バランスが大きく変わる可能性も……ってことかー。
今って、呪符はもはやゴミ扱い受けてるしね。
「じゃあ、今よりも威力を下げて作るって感じになるのかな?」
「それはそうなんですけど……平行して色々な銃を試作してみようかと思っていまして」
「アイデア、募集」
「アイデア? 銃の?」
「ん」
その通り、と言わんばかりに大きく頷いたカリンに、私は「うーん」と空を仰ぐ。
アイデア、ねぇ……。
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名前:セツナ
所持金:100,920リブラ
武器:居合刀『紫煙』
防具:戦装束『無鎧』改
テイム:ブラックスコーピオン(幼体)『ハクヤ』(所持スキル:【切断Lv.3】【刺突Lv.3】【神速Lv.2】【蠍蟲拳Lv.3】)
所持スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.15】【幻燈蝶Lv.6】【蹴撃Lv.11】【カウンターLv.10】【蝶舞一刀Lv.11】【秘刃Lv.2】【符術Lv.3】【八極拳Lv.5】
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