同じだけど、少し違う
前回のあらすじ
・ナインがシロにケジメをつけた
・シロはやっぱりアマゾネス
side.シロ
手を取って“好き”と伝えれば、ナインは照れたように顔を赤く染める。
そんな分かりやすいところも好きですよ、と声に出さず笑みを浮かべれば、ナインは「な、なんなんスか……」と拗ねたような声を返してきた。
「いえ、なんでもありませんの」
「そういうのって、大体なにかあるんじゃないかと思うんスけど」
「ふふ、だとしても、それは秘密ということですの。乙女ですから」
「乙女と秘密はイコールにはならないっスけど」
苦笑がちに言うナインに、私はあえてなにも言わず、笑みだけを見せる。
そんな私の態度に、ナインは「分かったっスよ」と大きく溜息を吐き、「んじゃ、もう一つの話をするっスよ」と、私の手を解いた。
「もう一つ、ですの?」
「シロ。自分に、シロの力を見せてみて欲しいっス。仲間になる、シロとしての力を」
言葉と共にナインは弓を取り出し、決闘申請と共に私に矢を向ける。
カリンが作った機械弓は、鈍く光り……ナインの意思を、鋭く伝えてきた。
だからこそ、私も薙刀を取り出し、決闘を受諾し……開始直後に飛んできた矢を叩き落とした。
「開始直後に攻撃とは……相変わらず、手段を選ばない方ですの」
「勝負ってのは、勝機を逃さないことが大事っスからっ!」
後ろへと退がりながら連続で矢を放つナインに、私は近づこうにも近づけず……防戦を強いられてしまう。
そして、前に出ようとしたところを狙うように……「【弓術】『パワーショット』っス!」と、今までよりも重たい一撃が飛んできた。
「くっ!」
「まだまだ行くっスよ! 【弓術】『アローレイン!』、『ラピッドアロー』、【影走術】『極影陣』!」
「なっ!?」
空に大量の矢を放ち、その上素早く私へと二連射撃つと共に、ナインの姿が影に消えていく。
そして、休む暇も与えないかのように、上空の矢の影から姿を現しては矢を放ってきた。
影が無くならないように、時折矢を空に放ってるのは、なかなかに策士かもしれない。
「どうしたっスか。そんな程度っスか!」
「くうっ……!」
不規則すぎる動きに、狙う場所が絞り込めない。
一瞬止まりさえすれば、一撃入れることくらいは!
「んじゃ、このまま決めるっスよ!」
「――――ッ!」
ナインの気配が、一瞬だけ【戦陣】の効果範囲へと入った。
仕掛けるなら、このタイミングしかない!
「【薙刀術】『紅葉突』!」
「【弓術】『パワーシュート』っス!」
予測範囲内にある影を標的に、連続で突きを繰り出す。
その突きの発動と同じタイミングで……ナインは決めの一撃を放った。
□
「……参りました」
「まだまだ、っスね」
決闘を終え、私は全身の疲労からか、地面へと腰を下ろしていた。
私の突きはナインに当たらず、ナインの矢を背に受けて、私のHPは全損。
つまり私は……ナインに一撃も与えることができなかったのです。
「力不足、ですの……」
「まあ、それはそうっスね。特にあの二人と比べられると、どうしようもなく力不足っスよ」
「はい……」
「でもまあ、良いんじゃないっスか? 自分と組むなら、全然問題ないっスよ」
「え?」
手も足も出せず、ぼろぼろに負けたというのにも関わらず、そんなことを言うナインに、思わず驚きが口から出て行ってしまう。
そんな私を見てナインは、少しおかしそうに笑い……「あの二人と比べられたら、自分だって力不足っスから」と、胸を張ってみせた。
「そこは……自信を持って言うことでは無いと思いますの」
「いやー、あの二人は無理っスよ。アレはたぶん人じゃないナニカっスから」
「そ、それは……」
違う、とも言えない気もしてしまう。
セツナも特訓中は……いえ、それは言うべきではないでしょう。
「それで、どうっスか? 自分の背中を守ってくれるっスか?」
「その、私で良いのでしょうか……?」
「そういうことは、自分で決めるもんっスよ」
まるで自分に言い聞かしているみたいに頷きながら、ナインはそう口にして手を伸ばす。
あの日突きつけられた拒絶を裏返し、常識や世間ではなく、ナインは自分自身の意思で手を伸ばしていて。
「そういうところが、やっぱり卑怯だと思いますの」
「うぇっ!?」
「でも、そんなところが、やっぱり好きですの。ナイン様」
しっかりと取った手の温もりは、まるで道を照らす灯りのようで。
届かない想いや、すれ違う想いがあったとしても、
「よく分かんないっスけど、これからも頼むっスよ」
「はい!」
あなたとこうして笑っていられる時を、求めていたのだから。
□
第四章『たとえ“ボタン”を掛け違えていたとしても、あなたが笑ってくれるのなら』了
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