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また、つまらぬものを斬ってしまった……で、よかったっけ? ~ 女の子達による『Freelife Frontier』 攻略記  作者: 一色 遥
第四章『ボタン』

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同じだけど、少し違う

前回のあらすじ

・ナインがシロにケジメをつけた

・シロはやっぱりアマゾネス

 side.シロ


 手を取って“好き”と伝えれば、ナインは照れたように顔を赤く染める。

 そんな分かりやすいところも好きですよ、と声に出さず笑みを浮かべれば、ナインは「な、なんなんスか……」と拗ねたような声を返してきた。


「いえ、なんでもありませんの」

「そういうのって、大体なにかあるんじゃないかと思うんスけど」

「ふふ、だとしても、それは秘密ということですの。乙女ですから」

「乙女と秘密はイコールにはならないっスけど」


 苦笑がちに言うナインに、私はあえてなにも言わず、笑みだけを見せる。

 そんな私の態度に、ナインは「分かったっスよ」と大きく溜息を吐き、「んじゃ、もう一つの話をするっスよ」と、私の手を解いた。


「もう一つ、ですの?」

「シロ。自分に、シロの力を見せてみて欲しいっス。仲間になる、シロとしての力を」


 言葉と共にナインは弓を取り出し、決闘申請と共に私に矢を向ける。

 カリンが作った機械弓は、鈍く光り……ナインの意思を、鋭く伝えてきた。

 だからこそ、私も薙刀を取り出し、決闘を受諾し……開始直後に飛んできた矢を叩き落とした。


「開始直後に攻撃とは……相変わらず、手段を選ばない方ですの」

「勝負ってのは、勝機を逃さないことが大事っスからっ!」


 後ろへと退がりながら連続で矢を放つナインに、私は近づこうにも近づけず……防戦を強いられてしまう。

 そして、前に出ようとしたところを狙うように……「【弓術】『パワーショット』っス!」と、今までよりも重たい一撃が飛んできた。


「くっ!」

「まだまだ行くっスよ! 【弓術】『アローレイン!』、『ラピッドアロー』、【影走術】『極影陣』!」

「なっ!?」


 空に大量の矢を放ち、その上素早く私へと二連射撃つと共に、ナインの姿が影に消えていく。

 そして、休む暇も与えないかのように、上空の矢の影から姿を現しては矢を放ってきた。

 影が無くならないように、時折矢を空に放ってるのは、なかなかに策士かもしれない。


「どうしたっスか。そんな程度っスか!」

「くうっ……!」


 不規則すぎる動きに、狙う場所が絞り込めない。

 一瞬止まりさえすれば、一撃入れることくらいは!


「んじゃ、このまま決めるっスよ!」

「――――ッ!」


 ナインの気配が、一瞬だけ【戦陣】の効果範囲へと入った。

 仕掛けるなら、このタイミングしかない!


「【薙刀術】『紅葉突(くれはづき)』!」

「【弓術】『パワーシュート』っス!」


 予測範囲内にある影を標的に、連続で突きを繰り出す。

 その突きの発動と同じタイミングで……ナインは決めの一撃を放った。



「……参りました」

「まだまだ、っスね」


 決闘を終え、私は全身の疲労からか、地面へと腰を下ろしていた。


 私の突きはナインに当たらず、ナインの矢を背に受けて、私のHPは全損。

 つまり私は……ナインに一撃も与えることができなかったのです。


「力不足、ですの……」

「まあ、それはそうっスね。特にあの二人と比べられると、どうしようもなく力不足っスよ」

「はい……」

「でもまあ、良いんじゃないっスか? 自分と組むなら、全然問題ないっスよ」

「え?」


 手も足も出せず、ぼろぼろに負けたというのにも関わらず、そんなことを言うナインに、思わず驚きが口から出て行ってしまう。

 そんな私を見てナインは、少しおかしそうに笑い……「あの二人と比べられたら、自分だって力不足っスから」と、胸を張ってみせた。


「そこは……自信を持って言うことでは無いと思いますの」

「いやー、あの二人は無理っスよ。アレはたぶん人じゃないナニカっスから」

「そ、それは……」


 違う、とも言えない気もしてしまう。

 セツナも特訓中は……いえ、それは言うべきではないでしょう。


「それで、どうっスか? 自分の背中を守ってくれるっスか?」

「その、私で良いのでしょうか……?」

「そういうことは、自分で決めるもんっスよ」


 まるで自分に言い聞かしているみたいに頷きながら、ナインはそう口にして手を伸ばす。

 あの日突きつけられた拒絶を裏返し、常識や世間ではなく、ナインは自分自身の意思で手を伸ばしていて。


「そういうところが、やっぱり卑怯だと思いますの」

「うぇっ!?」

「でも、そんなところが、やっぱり好きですの。ナイン様」


 しっかりと取った手の温もりは、まるで道を照らす灯りのようで。

 届かない想いや、すれ違う想いがあったとしても、


「よく分かんないっスけど、これからも頼むっスよ」

「はい!」


 あなたとこうして笑っていられる時を、求めていたのだから。



 第四章『たとえ“ボタン”を掛け違えていたとしても、あなたが笑ってくれるのなら』了

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― 新着の感想 ―
[気になる点] シロSideとなっているので地の文でも呼称はシロに合わせた方が良いのではと思いました。 「ナイン」とか呼び捨てだと口では敬称付けてるけど心の中では呼び捨てしているのかと気になってしまい…
[良い点] 章の最後に章タイトルの全容が明かされるのすごい好きです…
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