ちゃんとした訓練……とは?
前回のあらすじ
・ミシェルからの相談は船のことだった
・グレンのパーティーと組む話になりつつある?
「ほらほら、脇が空いてるよー」
相対して振るわれる薙刀をするりと抜けて、見えすぎている腕を木の枝で叩く。
刀でもなく、木刀でもないのは、木刀でも意識を刈り取ってしまったからだった。
スポーツとしての薙刀の癖が抜けないような感じだ。
「っ、ならば!」
「それも見えてる」
左足を軸に旋回しての薙ぎ払いを、私はしゃがんで避けた直後、軽く足払いする。
その動きに対処できず、シロは呻きつつ地面に倒れた。
折角、装備に認識阻害がついてるのに、うまく使えてないねー。
「シロはなんていうか、分かりやすい部分があるんだよねー。打ち込むときの癖みたいな、そういったのをもっと自分で知らなきゃ」
「は、はい……」
「例えば、上段から打ち込もうとしたとき、腕が動くよりも先に、絶対右腰が後ろに下がる。腕の軌道上仕方ない部分かもしれないけど、もっとタイミングを合わせることができれば、悟られにくくなるよね?」
シロの動きを真似するみたいに、立ち上がったシロの前で枝を振るう。
分かりやすく少しゆっくりめで振ってみたからか、シロにも分かったらしく、「なるほど……」と頷いていた。
というかこの枝、なかなか折れなくて良い感じかも。
「よし、じゃあ私は枝を折らないように戦うことにするねー」
「えっ!?」
「逆に、シロは私に当てるか、枝を折ったら一本ってことで」
ハンデが過ぎるとは思うけど、これだけ言えば、シロだって熱くなってくれるはず。
その証拠に、薙刀を持つ手に力が入ってるみたいだしね。
ま、力が入りすぎててもダメなんだけど。
「とりあえず、カモンカモン」
「はいっ!」
振り下ろしを枝で弾く……と折れそうだから、タイミングを合わせて手首をねじり、太刀筋を逸らす。
これ、防御の練習になるかも。
「はっ! せいっ!」
「ほい、よっと」
「【薙刀術】『柳雅旋』!」
「【蝶舞一刀】『水月』」
斬り上げ、横払い……からのスキル使用の薙ぎ払い。
さすがに、スキル攻撃をマトモに受けると枝が折れる。
だから私も、スキルを発動させ、薙刀を枝に乗せるように軌道を逸らした。
「っ!」
「あぶないあぶない……。スキル使用禁止とは言ってなかったし、全然問題ないけどね」
「まだまだ! はあっ!」
動揺を抑え、シロは大きく踏み込みながら突きを放つ。
それを少し退がって避けたところで、足を狙って払いが入ってくる。
おお、なかなか良い狙い!
「でも、当たってあげられないねー」
「っ! 【薙刀術】『紅葉突』!」
「とっととと!」
ジャンプして避けた直後に、連続突きが襲ってくる。
さすがに体勢が悪く、弾くことしか出来ず……着地すると同時に枝が真っ二つに折れてしまった。
あー、やっぱり折れちゃったかー。
「――ッはぁ……」
「折れちゃったから、今回はシロの勝ちだねー」
「そう、ですね……」
ぜぇはぁと肩で息をしながら、私の言葉に頷くシロ。
勝った方が疲れてて、負けた方はそんなに疲れてないっていうのもなんかアレだねー。
まあ、私の方も良い練習になったからいいけど。
「繋ぎは上手なんだけどねー。狙いが分かりやすいんだよねー」
「……はい」
「狙いが分かりやすいのは悪いことばっかりじゃないよ。それを上手く使えるようになれば、フェイントだってしやすくなるしね」
「なるほど……勉強になります」
ようやく落ち着いたのか、私の言葉に耳を傾け、自分の動きを思い出しているみたいに薙刀を握り込む。
そんなシロに自主練を言い渡して、私は肩に乗っているハクヤへと手を伸ばした。
「キュル?」
「ハクヤも訓練してみる?」
「キュル!」
「んー……じゃあ、尻尾の針を上手く動かせるようになるように、訓練してみよっかー」
そう言って、私はハクヤを右手の上に乗せて、左手をハクヤの前に壁みたいに立てる。
「ハクヤは尻尾の針を使って、私の指をつついてね? あ、強く刺したらダメだよー?」
「キュル」
「じゃあまずは、人差し指」
「キュルッ!」
人差し指を立てれば、直後に尻尾が伸びてくる。
それに頷いて、中指、小指と立ててみせれば、ハクヤは尻尾を動かして即座に反応してくる。
おー、かなり速い。
「じゃあ、今度は的が動くから、ちゃんと狙ってねー」
「キュル!」
ハクヤの鳴き声を聞いてから、私は腕を動かして指を左右に振ってみせた。
するとハクヤは動きに合わせるように尾を動かして、指の動きを先回りする。
そんなハクヤにちょっと驚きつつ、私は「さすがだねー」とハクヤを褒めた。
「キュル、キュル」
「良い子良い子。もう少し大きくなったら、モンスターとも戦ってみないとねー」
「キュルル」
今だとまだ手のひらサイズだから戦えそうにないけど、せめて最初の兎くらいになったら戦わせてみないとね。
やっぱり、高速ですり抜けて一刀両断するのかな?
「……よし、そろそろ練習再開しようかな。ハクヤもだけど、シロのことも大事だし」
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名前:セツナ
所持金:105,040リブラ
武器:居合刀『紫煙』
防具:戦装束『無鎧』改
テイム:ブラックスコーピオン(幼体)『ハクヤ』
所持スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.15】【幻燈蝶Lv.6】【蹴撃Lv.11】【カウンターLv.10】【蝶舞一刀Lv.11】【秘刃Lv.2】【符術Lv.3】【八極拳Lv.5】
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