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ヴァッサーゴの隻眼《雨の日の来訪者》  作者: 奏みくみ
《雨の日の来訪者》
6/7

伝言

 午後八時。私達は神宮家を訪れた。


 鈴原の家に負けず劣らずの古い洋館に、この町は重要文化財的な建物が多いの? と見上げる。立派な邸宅だ。神戸の異人館みたい。



「俺、勝手に神宮さんところは純和風だと思ってた」



 マサシさんが言う。



「何故?」


「豊香さんの雰囲気がなんか大和撫子っぽかったから」


「……。お前らしいよ」



 溜息まじりの呆れた口調で成瀬さん。インターホンを鳴らすと、すぐに神宮さんが出迎えてくれた。



 きれいに磨かれた廊下、飾ってある数枚の油絵と、大きな花瓶には沢山の生花。


 住んでいる人の人となりを表しているよう。


 だからこそ少し気になった。玄関に隠されるように置いてあった『じんぐう音楽教室』と書かれたプレートが。外して大分経つのだろうか、古くて埃をかぶっていた――。


 私達はまず豊香さんに会いに行った。写真に写る豊香さんはすごく美人で、笑顔が可愛らしい人だ。


 友達と一緒の写真がいっぱい飾ってある。中学や高校の時のもの、楽団に所属していたようで、その仲間と。豊香さんはいつも楽しそうに笑っていて、写真と花束の多さは、彼女が大勢に愛されていた証拠だった。


 オレンジ色のヴァイオリンケースと楽譜、メトロノームも置いてあった――。



「すみません。突然」


「いや、こちらこそ遅い時間になってしまって申し訳ない。――お嬢さんが鈴原文庫の?」


「はじめまして。館長の鈴原陽菜です。生前は祖父がお世話になりました」


「とんでもない、こちらこそ! お孫さんがいるとは聞いていたけど、こんな可愛らしい娘さんだったんだね。えっと、それから法蔵院の……(マサシ)君だったか」


「え!? お会いしたことありましたっけ?」


「以前お墓で見かけてね。いつも墓地内を掃除してくれているそうじゃないか。ありがとう」


「……自分はそれくらいでしかお役に立てませんので。これからもどうぞよろしくお願いします」



 スッとお辞儀をするマサシさんは、私が見たことのない雅さんだった。お寺の息子で修行中の身――法衣を纏っている慎ましやかな僧侶の姿が思い浮かぶ。


 ちょっと格好いい……。



「陽菜ちゃん」



 コーヒーを淹れてくるから、と神宮さんが部屋を離れると、すかさずマサシさんが耳打ちしてきた。



「さっき、俺のこと『いつもと違ってカッコイイ!』とか思ったでしょ!」


「……え」



 それを言わなければ『カッコイイ!』のままだったのに。


 成瀬さんも同じことを思ったのか、深い溜息をついた――。



「なぁ。神宮さんもヴァイオリン弾くんだな」



 カッコイイだなんだと言ってみても、本人はそんなのどうでもいいと思っているのだろう、マサシさんの興味は、すぐにキャビネットの上に飾ってある写真にうつった。


 成瀬さんは、前に来たから事情を知っているようで、「ああ」と一言。先にソファーに座る。



「ご本人は謙遜するけど大きな賞を何度も貰った事があるらしい。奥さんと教室も開いていたって」


「あ……玄関にプレートありましたよね」


「音楽一家だったのか。ほら、見てみなよ、陽菜ちゃん。奥さんはピアニストだったみたい」



 グランドピアノを弾く女性のそばで、神宮さんと豊香さんがヴァイオリンを構えている写真だった。


 神宮さんの奥さん――つまり豊香さんのお母さん。伏し目がちに微笑んでいる二人の顔はそっくりで。音楽一家の幸せな日常を切り取った写真に、自然と溜息がもれた。



「飾っていくうちに、どんどん増えてしまってね」



 カチャカチャと食器の音、コーヒーのいい香りが部屋に入ってくる。


 私とマサシさんは急いで席についた。勝手にあれこれ見ていたのは、失礼だったかな……?



「素敵な写真がたくさんですね。羨ましいです」


「アルバムを見ていると、ついアレもコレもとなって、気が付いたらこの状態で」


「あ、分かります!」



 マサシさんが前のめりになった。



「カメラ屋とか行くと、良いフォトフレームないか自然と探しちゃいますよね。キレイ&可愛い系見つけるとテンション上がっちゃいます」



――そういうものなのか? ていうかマサシさん……最後の一言みやびさんになってない?


 神宮さんはニッコリと微笑み、「ええ。楽しいものです」と呟いた。



「楽しく飾った分、虚しさや寂しさも感じる時があるけれど……」



 シュガーポットやミルク、ソーサーを持つ神宮さんの左手が、小刻みに震えている。


 話しぶりから、奥さんも鬼籍の人なんだな……と思った。娘も失ってしまい、神宮さんはこの広い家に一人きりで住んでいるんだ――。



「すまないね。二年前に脳梗塞で……。リハビリも兼ねて、なるべく左を使うようにしているんだよ。こぼれてしまったら淹れ直すから。やっぱりハラハラするかい?」


「えっ!? あ、いえ! そういうんじゃないです! ごめんなさい」



 波打つコーヒーをぼんやりと見つめていたら、勘違いさせてしまった。



「あの。神宮さんが、本をいっぱい寄贈してくれたのは嬉しいです。でもそれ、引っ越ししちゃうからっていう理由じゃないですよね?」


「陽菜さん……」


「ああ……。いや」



 神宮さんと成瀬さん、二人とも驚いた顔に。神宮さんは肩を竦めた。



「ハハ……。まさか、成瀬君と同じ事を言われるとはなぁ」


「え。成瀬さんも?」


「書斎が妙にスッキリしていたから気になって。神宮さん、僕が確認する前に全部の本をダンボールに詰めていたんだよ」


「あれは、ほとんど妻が集めたもので……。私は滅多に本を読まないし、引っ越すならばワンルーム、と思っていたからね。それなら全部まとめて寄贈するのが一番だと」


「へぇ~。俺、芸術家って本ばっかり読んでると思ってた――」



 マサシさんの呟きに、すかさず成瀬さんが肘鉄を。ぅぐっ! とマサシさんがお腹を押さえ呻く。



「すみません。修行不足で失礼なことを」



 溜息の成瀬さん。神宮さんはクスクス笑った。



「いや。妻と娘にもいつも呆れられていたよ」



 三人と過ごした日を思い出しているのだろう、楽しそうに笑う神宮さんの背後に、写真に映る奥さんと豊香さんの姿が見える。


『帰りたい』と言っていたけれど、最期は帰れなくてもいいと儚く消えていった豊香さんが、戻って来た気がした――。



「あ、あの。引っ越さないで、ここにいましょうよ。本は予定通り鈴原文庫で預かります。だから神宮さん、うちに読みに来てください!」


「えっ……?」



 私の提案に神宮さんは目を丸くした。



「僕も陽菜さんの提案、とても良いと思います。どうでしょう、神宮さん。うちは来館者も少ないですし、静かにゆっくり過ごせるかと」



 成瀬さんが優しく微笑む。


 神宮さんはかなり迷っているようだった。「しかし……」と呟き、コーヒーの湯気をぼんやりと見つめた。



「この家は、思い出が多すぎてね。どの部屋にいても、あれこれ考えてしまう。気がつけば置いて行かれた恨みを口にしていたり。悲しいことだと思わないかい? 二人はいつも写真の中で笑っているのに……私だけが……」


「そ、それは」


「陽菜さん……。私は、この家の愛しさが怖いのだよ。これからどう生活していけばいいか、何を頼りに生きればいいのか――」


「…………」



 私達は顔を見合わせた。


 確かに、神宮さんの気持ちを考えれば、思い出が詰まったこの大きな家にずっと一人で暮らしていくのは辛いと思う。


 玄関にひっそりと置かれた音楽教室のプレートも、廊下にある絵画も、柱に刻まれた豊香さんの成長の記録も。私達から見ればただの物でしかないけれど、神宮さんには、そのひとつひとつから温かな空気が溢れていて、奥さんや豊香さんの気配のように感じるのかもしれない。


 でもそれは、ここから離れたら消えるのかな……?


 目を閉じれば見えなくなるものなのかな……?



「神宮さん、今日僕らが伺った理由は、お渡ししたいものと、お伝えしたいことがあったからです」


「え?」



 成瀬さんがマサシさんを促す。マサシさんは頷くと、大きなリュックからヴァイオリンケースを出し、神宮さんへ渡した。



「これは!? 一体どこで」


「リサイクルショップで売られていたのを、彼が」


「俺は祥一朗に頼まれなかったら、探しにも行かなかったですよ」


「ああ……間違いない……豊香のヴァイオリンです」



 ケースを開け確認する神宮さんの指は震えている。もう見つからないと諦めていたのだろう。大きく見開かれた目からひと粒の涙が落ちた。



「豊香さんってケース沢山持ってたんですか? お花のところにも可愛い色のがあったし」


「普段は軽量型のあちらを使っていたんだよ。これは私が、もう必要ないからとヴァイオリンごと豊香に譲ったもので。……この手では満足に弾けないからね」


「あ……」



 豊香さんは父親が手放したヴァイオリンを時々弾いては、「仕舞いっぱなしはかわいそうだよ!」と笑っていたそうだ。


 事故の日から消えてしまったヴァイオリン。それが自分のものだったゆえに、神宮さんは探し回ったりはしなかった。豊香さんのものが残っていればそれでいい。すでに弾くことをやめてしまっていた神宮さんは、かつての相棒にはもう全く執着が無かった。


――ところが。


 諸々が落ち着き、遺品整理をしていた時。豊香さんのオレンジ色のケースの中に、《入っているはずのない自分のヴァイオリン》を発見した神宮さん。その時ようやく、あの日、豊香さんがヴァイオリンを入れ替えて外出していたことを知った。



「なぜあの日に限って、わざわざ重いケースで出かけたのか分からないが……。てっきり私のもの(・・・・)を持っていったと思っていたんだ。それから慌ててあちこち探してみたものの、日が経ってしまったせいで手がかりも掴めずでね……」


「他人の手へ渡る前に見つかって、良かったです」


「いや、成瀬君。それにしたって、失くしたヴァイオリンがリサイクルショップに売られていたなんて、よく――」


「……。僕はただ、探し物を頼まれただけなので」



 それ以上は言わずに、成瀬さんは微笑んだ。


 神宮さんはハッとした表情で「文雄さんが言っていたのは、もしかして……」と言いかけ、けれど、小さく首を振り溜息を吐いた。


「あれこれ詮索するのはやめよう。ヴァイオリンはこうして戻ってきた。それだけで十分だ」


「いえ、まだ」



 成瀬さんが続ける。



「伝言をお伝えしていません」


「伝言……?」


「えぇ」



『ヴァイオリンは続けて欲しい。私はお父さんの弾いている姿と音が、とても好きだから。やめてしまわないで。また会える日まで、私達家族の大切な場所を――守っていてね』



 成瀬さんの優しい声が言葉を紡ぐ。


 私たちはそこに――豊香さんの伝言に、確かにやわらかな影を感じて、呆然と成瀬さんを見つめた。



『それから、やっぱり本は読んだ方がいいよ。お母さんも絶対そう言うからね』



「僕が預かった伝言は以上です」



 カチリ、とコーヒーカップが音を立てる。優雅にコーヒーカップを傾ける成瀬さんの表情は横髪に隠れていた――。



「祥一朗お前、そんなこと聞いてたのか!?」


「豊香さんの秘密って、その伝言だったんですかっ」



 私とマサシさんの声が重なる。成瀬さんはちょっとだけ首を傾げた。



「あ。秘密はそっちじゃなくて――」


「もったいぶってどうすんだよ。……まさか忘れたんじゃねぇだろうな」


「忘れてないよ。マサシじゃあるまいし」


「……」



――秘密。


 目を潤ませ二人を見つめる神宮さん。それに気付いた成瀬さんの口角が、微かに上がった。マサシさんのリュックから一冊の文庫本を取り出すとテーブルヘ。「は? お前、いつの間に」とマサシさんが目を丸くした。


 色褪せた表紙の角は少しだけ破れていて、長い年月、何度も読み返されてきたことを語っている。


 タイトルは――銀河鉄道の夜。


 言わずと知れた、宮沢賢治の代表作の一つだ。



「成瀬さん、これは?」


「預かった本の中に入っていたんだ。――神宮さん、これはあなたが持っているべきだと思います」


「私が?……なぜ」



 神宮さんは不思議そうな顔で本を開いた。本には栞のようなものが挟まれていて、迷い無くページが開かれる。


 神宮さんの表情が一転した。驚き、そして浮かぶ涙。ああ……と呟きが漏れる。



「こんな、ところに……」



 私とマサシさんは顔を見合わせて、それから成瀬さんを見た。



「それは奥様が一番大事にされていた本なのだと思います。大好きな本に栞がわりの写真……ここには大事なメッセージがある」


「リビングに飾ろうと思って探していたんだ。数少ない家族写真の内の一枚だったから……でも見当たらなくてね。はは、こんなところに……見つけられないはずだよ」



 声を震わせる神宮さんは、私達に写真を見せてくれた。


 玄関前で撮られた写真。奥さんと幼い豊香さんが並び、表札を挟んで神宮さんが立っていた。


 表札の下には『じんぐう音楽教室』のプレート――私がさっき玄関で見た、あのプレートだ。教室を開いた記念にみんなで撮ったものなのかな? 晴れの日の笑顔、とても幸せそうで素敵な家族写真だった。



「銀河鉄道の夜は、《ほんとうのさいわい》とは一体何か、というテーマを描いています。生と死についても深く考えさせられる描写が多い。賢治の代表作でありながら未完で、多くの造語も使われているので様々な解釈や考察がされている――。僕は一冊を何度も繰り返し読んでいます――奥様も大事に読まれていたんですね。古いけれど状態がとても良い」


「…………。入院している時も大量に本を持ち込んでいてね。消灯時間を過ぎても読んでいるものだから、よく看護師に注意されてたな」



 本を愛おしそうに撫で、神宮さんは目を細めた。


 寄贈してくれる本は全て奥さんのもので、図書館に送る予定を早めて欲しいという申し出は、恐らく引っ越しの関係だけじゃなかったのだろう。


 一冊一冊確認しながらの作業は、同時に記憶を振り返る時間になる。あんなに沢山の本――成瀬さんを待たずにダンボールに詰めてしまった気持ちを想像すると切なさで胸が痛んだ。


 それにしても成瀬さん、よくこの本をピンポイントで取り出してきたものだな……。



「ドヴォルザーク、交響曲第九番第二楽章。ご家族と何か縁がある曲ですか?」



 成瀬さんの言葉にハッと顔を上げた神宮さんは、驚いた様子で「ああ」と頷いた。



「妻と豊香が好きで……豊香にせがまれよく弾いたものだよ。あの子が所属する楽団の演奏会が来週あるのだけど、この曲も演奏が決まっていてね。とても楽しみにしていた……叶わずに終わってしまったが」



 脳裏に豊香さんがヴァイオリンを演奏していた姿が蘇る。


 伸びやかに。歌うように。透き通った高音。


 帰れないと分かっても、豊香さんは穏やかだった。



『いいの。私の想いは、ヴァッサーゴの隻眼が届けてくれるから――』



 成瀬さんが届けた言葉。


 お父さんの弾くヴァイオリンが大好きだった豊香さん。



『それから、やっぱり本は読んだ方がいいよ。お母さんも絶対そう言うからね』



 奥さんが一番大事にしていた本『銀河鉄道の夜』の中にあった、思い出の家族写真――豊香さんが教えてくれた秘密。


 点と点が結ばれていく感覚に心が震えた。成瀬さんと豊香さんの間にあったあのピアノ線の様な糸――透明な言の葉が、視えた。



「豊香さんは遠い場所に居てもお母さんと二人で神宮さんの幸せを祈ってるんだ。もしかして大切な場所を守ってって、この家だけじゃなく教室のことでもあるんじゃないかな? だってこの写真のみんな本当に幸せそうで、私すごく羨ましいんです。本当の家族と大切な居場所ってこんな感じなんだなって……。ここからヴァイオリンとピアノの音、豊香さんの歌声が聞こえてくるみたい。いいな……」



 思わず出てしまった言葉だった。


 親の顔も知らない。私は捨てられたんだと何度も思った。施設の大きな家族感は大好きだったけれど、ふとした瞬間に寂しさを感じることも多くて。


 神宮さんの寂しさは私とは比べ物にならないくらい辛いと思う。それでもきっと、家族の絆は素晴らしく輝いて、立ち止まった時に背中を押してくれる力になるのだろう。



――どうか辛い記憶に優しさが潰されませんように。柔らかな記憶を思い出して。わたしたちはここにいるよ。



 豊香さんの声が聞こえた気がした。



「銀河鉄道の夜にも、ドヴォルザークの『新世界より』が登場します。賢治はこの曲に歌詞をつけていた。『種山ヶ原』という詞です。けれどもそれは家へ帰るという解釈とは全く違って、自然の素晴らしさを謳歌する内容なんですよ。雪解けの四月、優しく力強い風を感じる――僕は賢治の解釈の方が心にしっくりきて、好きです」



 膝の上で拳をギュッと握りしめていたら、そこに成瀬さんの手が重なった。


 マサシさんの大きな手が私の頭の上でぽんぽんと軽く弾む。


 私はまた泣いていた。堪えたかったけれど、出来ずに涙が溢れ出てくる。辛いとか悲しいとか、そういったものからくる涙じゃない……何なんだろうこの涙に混ざる感情は――。



「あの、自分は住職みたいに立派な説法出来るような人間じゃないんですけど」



 しばらく黙っていたマサシさんが口を開いた。



「納骨ってあくまでも形式だと思うんですよ。確かに宗教的には意味がちゃんとあるけど、人の心ってそんな簡単に区切りつけられるものではないですし……。落ち着くまで一緒に過ごされる方、沢山いらっしゃいます。一周忌に……ってご家族もいました。住職はいつも俺に教えてくれるんです。大事なのは寄り添う心だって。だから、神宮さんの思うままに――それが一番なんです。みんな、それを願ってます」



 スッと心に染み入る素敵な言葉だった。静かに語るマサシさんはライダーでロックな姿でも、一人の立派な僧侶だと思う。



「ありが、とう……ありがとうございます……私は、本当は……本当はまだ――」



 神宮さんは嗚咽を漏らしながら、写真と本を抱きしめて。



「豊香。豊香……!」



 泣きながら娘の名前を何度も何度も呼んでいた――。



 

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