ヴァッサーゴの隻眼《雨の日の来訪者》
【その瞳がみるものは真実と秘密】
町のはずれ、
小高い丘の上にひっそりと佇む
私立図書館『鈴原文庫』
そこは「幽霊が出る」と噂される場所。
祖父からいわくつき図書館を継いだ鈴原陽菜は、司書を務める成瀬祥一朗と、毎日来館者を待っている。
そんなある雨の日、ひとりの女性が訪れ陽菜に声をかけてきた。
「ヴァッサーゴの隻眼を探しているんです」と――。
ずぶ濡れで、湿った土の香りを纏う人。彼女は幽霊だった。抑揚のない低く掠れた声で彼女は繰り返す。
「ヴァッサーゴの隻眼を探しているんです」
ヴァッサーゴの隻眼――意外なその正体と幽霊の関係。小さな謎と手がかり。
謎を追う陽菜と祥一朗が辿りついた先で見たものは、悲しくも美しい、幽霊の“真実”と“秘密”だった――。
*この作品はエブリスタ、カクヨム、ノベマ!にも掲載しています。