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恋愛とは愚か者のやることだ

作者: シロサギ

はじめての短編です。書きなぐったような作品ですが、ぜひ温かい目で見ていただければと思います。

 恋愛とは愚か者の所業である。



 学生時代は青春だ恋愛だと謳い、男女仲睦まじく寄り添う事が当然だと言い張る世の中。それにかこつけ、やれセールだキャンペーンだと湧き立つ商業人共。満更でもない当人達。



 彼女は出来た?



 親や親戚、近所の顔見知り。事ある毎に興味本位での問いかけ。一日おきに聞いてきて、何が楽しい。俺の人生は貴様らの欲求を満たすために存在しているのではないのだ。俺が俺らしく生きるために存在している。余計な詮索や口出しは不快にさせるものと知れ。



 良いか? 学生の本文は勉強だ。小中と義務教育を終え、自らの意思で勉強に励み高校へと入学する。その中に恋愛などと言うモノが混在する隙間は無い。



 望んで勉強を行える環境へと赴いたのであれば、誠心誠意取り組むのが筋というものだろう。そのまま意欲的に取り組み、大学受験。良い大学へと進学、そして就職。

 留学なんてのも良いかもしれない。未知の経験を積むことは、自らの人生に花を(もたら)すに違いない。



 何度も言うが、そこに恋愛などという所業が介入する余地は一片たりとも存在しない。



 友達との遊び? 大いに結構。コミュニケーションも勉強の内、横の繋がりを持っていて損はない。社会に出れば必要なツールだ、必ず身に付けるべき事柄かも知れない。



 異性との歓談? 大いに結構。男女で違いを設けるなどナンセンス。前時代的考えが抜けていない何よりの証拠だ。現在は女性も社会進出し、上位の役職に就く時代。男性だから、女性だからと色眼鏡で見ていると痛い目を見るに決まっている。そもそもそこに違いを見出す事すら烏滸(おこ)がましい。そういう輩は恥を知れ。



 趣味に手を出す? 大いに結構。勉強と自らのプライバシーの両立。このバランス感覚は必要不可欠だ。ストレスの発散、ライフワークバランスの概念、加えて前述のコミュニケーションに関しても大いに役立つ事だろう。やるべき事とやりたい事を切り分けられる考え方、非常に素晴らしい。




 しかし、恋愛。貴様は頂けない。




 嗚呼、憎き所業。決して肯定されざる悪魔の遊戯。



 登下校、視界の端で互いの手を握りしめキャッキャウフフと笑いあう男女×n。公共の場で何をそんなに見せつけたいというのか。ここは現代博物館か何かか? 

 ベンチに座り、女性の柔い肉感を持つ太腿へと大胆にも頭部を置き、横になる男。ここは風俗ではない、そういった行為をしたいのであれば専門店か異世界にで行け。ピンク色の未来が待っているぞ。

 


 授業を終え、帰宅すれば翌日の予習と今日の復習を行う。学生としてあるべき姿、本来の姿。



 それが終われば、ようやく自由な時間が与えられる。そういうモノだ。これが学生、高校生なのだ。




 だが現実はどうだ。



 

 それを正しく行っている者はいるか? 百歩譲って友人との交友は構わない。夜に時間を取ればよい話だ。友人、という枠組みでは、基本的に一日中共に過ごす、などという事はない。宿泊は例外とする。




 しかし、しかしだ。頭がピンクに染まっている連中は違う。



 勉強会、などと言いながら家の中でイチャイチャしているのだろう。当然、勉強なんかそっちのけで。殻に触れたい? 愛し合いたい? 彼ピ? 好きピ? 最高の女? 頭お花畑か、花粉症にでもなれ。




 好き、という感情を否定しているわけではない。



 好意、というのは埒外の力を発揮することもある。ハグやキスをすることで、医療的効果を得られる事もあるという。これらは決して悪い事ではない。良い方向に考えるべきだ。




 だが今じゃないだろう。高校生と言えど、未だ子供。自らを抑制する術を知らない。

 だから、好き、という甘い甘い感情に振り回され、それしか考えられなくなることが少なくない。多感な時期の厄介さだ。




 授業中に気になる女性へと視線が向く。追いかけてしまう。家でも考えてしまう。気を引くにはどうすればよいかと考えてしまう。いっそ告白してしまおうか、それだけで長い間悩み続けてしまう。嫌われないために、清潔さを保っておこう。意思の固い人間になろう。芯の強い人間になろう。

 露骨にやってはいけない。あくまで素知らぬふり、恋愛などには興味が無いという事にしよう。学生の本文は勉強であり、それ以外考えないような真面目な人間という設定で行こう。




 恋愛は、麻薬だ。人間を狂わせる、狂気の魔法だ。



 愚か者は、自らを愚か者と気付かないらしいが、本当だろうか。





 それはやはり、愚か者だ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これほど激しい文でありながら、それほど乱れているように感じないのは作者様の文章力がそれほど優れているということだと思います。 [気になる点] この短編、約1000と少しは「高校生に恋愛な…
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