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一通の手紙

        ◆


拝啓 


 盛夏の候、師匠におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

 頂いた手紙の返事が遅れてしまい、まことに申し訳ありません。実を言いますと、自分は今、仲間たちと共に諸方を巡っている最中なのであります。

 自分は、師匠の教えを守り、師匠の剣を振るう日々を送っております。


『我らが剣は、万民がための剣ゆえに――』


 その言葉を胸に、旅を続けているのです。

 師匠に教わった剣は無双、私に恐れるものなど一つもありません。ご安心ください。師匠の剣術は間違いなく、自分の手に受け継がれております。

 それから一つ、心苦しいのですが、お伝えしなければならないことがあります。

 師匠から仰せつかった急務でございますが、こちらはお引き受け致しかねます。なぜなら自分こそが、その種を撒いた張本人なのですから。


 私がそれをやりました。


 私がこの混乱の元凶であり、偉大なる絶望の首魁なのです。

 ご安心ください。師匠の剣術は間違いなく、自分の手に受け継がれております。師匠の剣術は間違いなく、万民のために振るわれるでしょう。

 万民に平等に、最後の一人を切り刻むそのときまで、黄金のオイルの剣術は、休むことなく振るわれ続けるのです。私が必ず、そうします。だから、ご安心ください。

 それでは、今後ますますのご健勝とご多幸をお祈りしております。師匠によき絶望の加護があらんことを、心より願っております。


敬具


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