8話別荘?
千鶴視点です。
朝になった。
いつもの部屋に戻っていることを願って目を開けてみたけどやっぱり昨日と同じ部屋だった。
となりでは舞ちゃんがいびきをかいて寝ている。
・・・へそ出てるし・・・。
かけ布団が床に丸まって落ちていた。
この世界にも鏡はあるらしく寝癖をなおしていたら、舞ちゃんが起きてきた。
「おはよ〜。千鶴。」
目が開いていない顔でそう言ってきた。
「おはよう。舞ちゃん。」
舞ちゃんの髪は短い。いわゆるショートカットだ。
その髪がすべて立ち上がってドラ●ンボールだっけ?あれのキャラクターみたいになっていた。
舞ちゃんが朝に弱いことは小学校の修学旅行で一緒の班だったので知っている。
凛太郎クンはどうなのかな・・・。
「なに〜?朝から凛太郎のこと考えてんの?」
「ばっ!ち、ちがうってば!」
舞ちゃんは鋭い。
本人曰く心を読むのだそうだ・・・。
私にもそれが出来たらなぁ・・・。
「できたらどうすんの?」
「勝手に心を読まないで!」
そうして、いつも朝する事を一通りすませると部屋の戸をノックする音が聞こえた。
「あ、リリィさん。おはようございます。」
「おはよう。千鶴ちゃん。舞ちゃん。」
女の子でも見とれるような笑顔でリリィさんは私たちに言った。
「朝ご飯の準備ができたから、降りてきてね。あとお爺さんが朝ご飯の後に、話があるから部屋にきてって。」
そういうとリリィさんは階段を降りていった。
食卓では修平クンと凛太郎クンが席についていた。
対極的な二人は見ていておかしかった。
凛太郎クンが目がろくに開いておらずパンをもそもそと食べているのに対して、修平クンはガツガツとパンを食べている。
私たちも席について朝ご飯を食べ始めた。
パンをちぎってスープにつけて食べるのがおいしいとリリィさんに教えてもらって、スープをもらうと言われたとおりにすると、とてもおいしくてパンをいつもよりたくさん食べてしまった。
みんなが一通り食べ終わったのを見計らって、村長さんの部屋へ行った。
「昨日は眠れましたかな?」
村長さんの部屋はほかの部屋より一回り大きくて部屋の真ん中にテーブルが置いてある。
「あんたたち、これからどうするのか決めておるのかね?」
厳しい質問だった。
私たちはこの世界について何も知らないし、そもそもどうしてここに来たのかすらわからない。
応えに戸惑っていると、村長さんが口を開いた。
「あんたら、村にとりあえず身を置いてみたらどうかな?と、いってもこの家はさすがに狭い。村にひとつぐらい空家があるからそこを使ってみたらええ。」
「・・どうする?」
「・・これ以上お世話になるのはマズイって。」
「いや、でも俺らはどこに何があるのかも分かんないんだぞここは甘えて・・・。」
「でも・・。」
・・と、相談した結果。
「ご厚意に甘えさせていただきます。」
凛太郎クンがみんなを代表してお礼を言った。
「うむ、そうするとええ。あと、食事についてじゃがこの村も豊かではない。きっちりはたらいてもらうからな。」
そういうとリリィさんが私たちの新居へ案内した。
その家はキャンプのときの家、バンガローだっけ?丸太をたくさんくっつけたみたいな家だった。と、いってもこの村の家すべてがそんな感じの家だった。
「必要な家具はすべて家に運んであるけど、必要なら遠慮なく言ってね。」
中に入ると部屋を確認した。
居間、浴室、トイレ、ペットルーム・・・。
「食事はうちにきてくれればいいから。・・・じゃあ、またあとでね。」
そのあと私たちはベットルームへ行った。
「さてと誰がどれに寝る?」
ベットはちょうど四つあった。
う〜ん・・どこにするかな〜・・って!
「え!?四人一緒の部屋で寝るの?」
「べつにいいじゃん。」
と舞ちゃん。
「じゃあ誰がどのベットで寝る?」
と、修平クン。あれ?よくみたら舞ちゃんと修平クンしか会話してないや。凛太郎クンは・・・?
・・・部屋の入ったすぐのところの左のベットで爆睡中・・・。
話し合いの結果、左側を男の子、右側を女の子が使うことになった。
そのあと凛太郎クンは朝になるまで寝ていた。
できれば感想や評価などをおくってみてください。