13話当たり前が消えた日
読もうとしてくださりありがとうございます!
ではどうぞ(笑)
俺たちはコイラの村に帰るべく、ドラゴンの背中に乗っている。
行くときと違うのは一人人数が多い点だけだ。
「なあ、レイラ。」
「何ですか凛太郎サン。」
舞子が爆睡している以上俺の肩の上に腰掛けているレイラに話し相手になってもらうかな・・・。
「お前が檻の中にいたときにどうして俺に助けを求めたんだ?あのときのお前は俺に触れたら助かるって分かっていたみたいだったけど。」
おぉ。我ながら暇つぶしの質問にしてはなかなかいい質問だな。
「そんなの決まっているじゃないですか。それは凛太郎サンの体に莫大な魔力が流れているからですよ。」
レイラは当たり前のように言った。
「それは他の人には流れてないのか?」
「はい。少なくともワタシははじめて見ました。」
おいおい・・・。ここに来て衝撃の新事実!ってか?
「あと・・・。」
「なんだ?」
「ワタシたち妖精は魔力が無いと死んでしまいます。しかしワタシは見ての通り、印の呪縛により自分で魔力を回復できない状態です。」
「そりゃ難儀なことで。」
レイラは俺の言葉を無視して話を続けた。
「そこで、魔力の固まりともいえる凛太郎サンに直接魔力を流し込んでいただくというわけです。」
「それを俺が拒否したら?」
冗談混じりできいてみた。
「生き抜くためなら何でもします・・・。」
「じょ、冗談だ。」
危なかった。
レイラの後ろに黒いオーラが出始めてた。
「つまりずっと一緒にいなくちゃならないってことか?」
「ま、まあ・・・。そうなります・・・。」
なぜ顔を赤くする。
たしかにお前はかわいい顔をしてはいる。が、体長15cmの小動物だぞ、お前。
「痛ッ!」
頬に痛みを感じた。
レイラが小さな手を存分に使ってつねっていた。
「凛太郎サンが失礼なことを考えているからです。」
あれ?前にもこんなことがあったような・・・?
「痛い痛い!分かった分かった、ごめんごめん!」
ピンポイントでつねってくるもんだから痛いの何の。
レイラが解放してくれた頃には頬に赤い小さな後ができていた。
頬をさすっていると前のドラゴンがスピードをゆるめて隣についた。
「凛太郎。見ろ。」
ラヴェルさんはし下を指差した。
言われたとおりに下を見ると、大きなドラゴンが歩いていた。
「うわ・・・。」
まさかこれだけのために話しかけてきたのか?
「歩いてきた方向をみろ。あっちは薬草がたくさん生えているところだ。」
ラヴェルさんが何を言いたいのかわかった。
「まさか・・・。」
「とにかく降りるぞ。」
俺達はすぐに地面に着地した。
「舞子。起きろ。」
「・・・・。」
ダメだこりゃ。
「舞子はここに置いていこう。」
舞子をドラゴンとともに残してラヴェルさんと俺は薬草の生えている地帯へむかった。
「どんな結果であろうと、取り乱したりするなよ。」
「はい・・。」
もちろんそんな自信はない。
近づいたころ女の人の泣き声が聞こえた。
「まさか・・。」
俺は気づけば走っていた。泣き声の聞こえる方へ。
誰か倒れている?
リリィさんではなさそうだ。
「凛太郎。」
修平がいた。
倒れているのは千鶴ちゃんだった。
「うそ・・・だろ?」
乾いた声が出た。
そこには服の腹のあたりが赤く染まった彼女がいた。
「起きろよ!起きてくれよ!」
気づけば上体を起こして、肩をゆすっていた。
「まだ息はあるようだが、もう・・・・。」
修平が申し訳なさそうに言った。
いつも四人でいた。
ふと気づけば隣には彼女がいた。
それが当たり前だった。
その当たり前は儚く消え去った。
「凛太郎君、動かしちゃダメ。」
リリィさんが俺を止めてきた。
眼は赤くはれていた。
「うるさい!」
そうして俺は彼女の体を抱きしめていた。
自分の服が汚れるのも気にせず、ただ抱きしめていた。
そして、吠えるように泣いた。
前話に書き間違いが見つかりました。
読みにくくなってしまいすみませんでした。
さて、前半から後半への温度差が激しい形になりました。
もうファンタジーどころじゃなくなってきました。
千鶴の命は消えゆくのか?
次回をお楽しみに。
感想・評価お待ちしております。