No3 黒の館
No3 黒の館
「答えは15だ」
その瞬間、制限時間が止まり、石版が地面へと消えていった。そして新たに箱が現れた。
開けると、そこにはトランシーバーが入っていた。
「て事は、正解!」
「どうやら、そうみたいだな」
心の中で安心していると、それを壊すかの様に容赦ない言葉が飛んできた。
「でも、その所為で『デスゲーム』に参加せざるを得なくなったわ」
「そ、そんなの仕方ないだろ」
「ええ、そうね。でも、貴方が石版にさえ近づかなければ、始まる事は無かったんじゃないかしら?」
「確かにそうかも知れないけど、草薙君は私達の命を救ってくれたんだよ」
「どうかしら。ただ単に自分がたすか・・・」
気づけば俺は女の胸ぐらを掴んでいた。
「てめぇ、ふざけてんじゃねーぞ」
だが、女は抵抗する素振りも無く、ただ、静かに一言だけ発した。
「これが草薙家の当主だと思うと、本当に腹立たしいわ」
俺は胸ぐらを掴んでいる手を離した。
「理解能力だけは良いようね」
こいつ、何故俺の事を・・・・・・
「お前、一体何者だ?」
その質問で、女の表情は変わった。まるで、何かをあざ笑うかの様に、不敵な笑みを浮かべた。
「貴方は知っているはずよ。この目の持ち主を」
女は長い髪を束ね、目を見せてきた。その目はルビーの様に紅く輝いていて、まるで何かに引きつけられるかの様に俺はそいつに見とれていた。
何処かで、この目と、不敵な笑い。・・・・・・そうだ。思い出した。
「焔・・・要」
要は全てを悟ったかの様に頷いた。
「何故、こんな所に焔家が・・・」
「ふっふっ、驚いたでしょ。でも、驚くのはまだ早いわ。だって、私はこのゲームの関係者だもの」
その時、自然と武者震いが起こった。
だが、それは別の意味の震いでもあった。
何故なら、こいつをうまく利用して、ゲームの答えを聞き出せば、誰も死なせずに終わらせれるからだ。
「でも、今のうちに希望は捨てておきなさい。ゲームの内容や答えなんて知らないし、第一私は、私自身の意思ででここに居るのだから」
「お前の意思?」
「そうよ、私の意思で。でも、それ以前にある目的の為でもあるわ」
「目的、だと」
次の瞬間、人が変わったかのに要は喋り出した。
「私は貴方を殺す為にここに居るのよぉぉぉ!」
こいつ、狂ってやがる! 俺を殺すだと。ふざけるな、俺が一体何をしたって言うんだ。
「でも、何でここにこだわる。殺すならゲームの中じゃ無くて良かったはずだ。何か理由があるのか?」
「ええ、あるわ。でも、今は言えないわ」
今は言えない理由? このゲームに関係しているのか?
「そんなに考えなくても、いずれ分かる事よ。まぁ、その時が来れば、貴方は私に泣きついてこう言うわ」
「俺を殺してくれぇぇぇ。てね」
「なっ」
そして要は館の入り口へと向かった。
くそ、このままだと、俺はゲーム中に確実に殺される。だが、武器の無い今下手に手を出せば後々厄介なる。どうすれば・・・
「待って、焔さん」
もう一人の女が要に話しかけた。
「何か用かしら? 艦崎美九さん」
「こ、殺すとかやめようよ。だってみんな仲間でしょ。なのに・・・」
「ふふっ、美九さん。貴女面白い事を言いますね」
「何が面白いの?」
「だって、仲間なんてただの道具でしかない。そんなものに心を委ねるだなんて随分と落ちぶれていますね」
「確かに私は落ちぶれているかも知れない。でも、仲間は・・・」
あまりの出来事にその時何が起こったか分からなかったが、時間が経つにつれて分かってきた。
美九は殺された。要の手によって。
問題の解説
人、狼→狼→人、狼→狼→人、狼→狼→狼、狼→狼→人、狼→狼→人、狼→人、狼→狼→人→狼、狼。