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妖精は弟子を取る

「どうだい?魔法使いになった気分は?世界が変わっただろー!これで弱い魔物なんてモーマンタイさ。じゃー今度こそ呼んでくるねーー」


 後ろでなんか言ってるけど取り敢えず後でいいかな。

 所で魔物は何処だろう?さっき派手な魔法使ったから逃げちゃったっかな。うーん、魔法で呼ぶかな・・・さっきの癒しの魔法で疲れてるけど魔物寄せの魔法くらいなら問題ないし。僕の魔力の回復は早い方だからイケルイケル!


「えっと〜魔物さん魔物さんこっちに美味しそうな女の子居るよー。こっちだよーっと。ピーーーー」


 口笛を吹いて獲物がある方へと誘導した後、アンを中心になる様に大きく円を書くように回りながら口笛と魔法で魔物を呼んで行き、慌ててアンの所に戻る。

 アンは唖然としたまま動いて居なかった。魔法の練習しとけば良いのに何をしてるんだろ?


「アンー呼んで来たよー。こら!!聞いてるのかい」


 ちょっと怒り気味に言うとアンはムッとした顏で僕に怒ってきた。


「なんでもう呼んで来ちゃうのよ!わたしまだ使い方も分からないのに!どうしよ・・殺されちゃうよ」

「そんな事心配してたのかい?僕が居るんだからアンは安全さ!何、泥舟に乗ったつもりで入れば良いさ!」

「沈んじゃダメだよ。わたし・・・ここで死んじゃうんだね」


 せっかく励ましたのに逆効果みたいでアンが顏を青くしてブツブツ言いはじめた。

 森を出てから色々勉強したからこれで良いはずなんだけど。子供達も使って笑って居たし。でもこのままじゃ魔物来ても僕が倒すだけだしな・・・

 良しここは師匠から盗めってやつだな!僕と一緒で帰る場所も無い事だしアンを弟子にしてあげよう。


「まーまー落ち着きたまえ。さっきのキスの方法をアンにしたから、初級とか言われてるくらいまでならアンでも直ぐに使えられるよ。それにアンには魔法の才能も有るし、短距離転移だって逃げる時に使ったんだろー?なら全然余裕さ!まずは自分を信じるんだ!」


 うんうん、良い顏になってきたじゃないか!後は僕と契約して魔法少女になってもらうかな。ふふ


「大丈夫、君には才能があるからね。今だけの大サービス!僕と契約すれ・・・違った、僕の弟子になればあっという間に魔法少女さ。さぁー僕の手を取って!」


 ちょっと強引だけど仕方ないよね。もうすぐ魔物も来ちゃうし。


「さぁーさぁーハリーハリー」


「えー」


 恐る恐ると僕の手に人差し指を乗せて来たアンにニヤリとした後でアンの指に噛み付いた!!


「痛い!スラちゃん何で噛むのよ!なんか凄く怪しくなってきたよ」


 失礼な。噛み付いたのなんてただの演出なのに分かって無いね!この子わ。ちゃんと噛み付いてる間に、今だけ僕の魔力も使えるようにしただけなのに。


「魔法少女に与える試練みたいなものさ!それより短距離転移する時に感じる物があるだろ?それが魔力さ。簡単な攻撃魔法なら後は自分の出しやすいと思う所から出せば良いよ。指とか目とか何処でも良いけど、初めは手を的に向けてやるのが1番だね!」


 そう言ってアンに使い方を説明したんだけど、手を伸ばして難しい顏をして止まっている。せっかく可愛い顏なのに勿体無いな。弟子だしちょっとくらいなら手出しして教えてもいいよね?今更な気もするけど、悪い人も来てるかも知れないから早く覚えて強くなって貰わないとアンを連れて逃げるのは大変だし、僕一人じゃ悪い奴らに勝てないかもしれないから。


「難しい?それなら僕がアンに魔法をかけてあげるから、それで魔力の流れは分かると思うよ!後は見えやすいお手本だね」


 ちょっと難しいかも知れないけどインパクトあるしかやりやすいはず。僕も教えるのは初めてだから良く分からないけど。僕は知らないうちに使えちゃったからね。やっぱり世界一の大!魔法使いだな。


「そんな簡単に行くの?わたしまだ全然分からないや・・・」

「心配無用。僕に掛かれば世界一は僕だけどアンも直ぐに大魔法使いになれるよ!取り敢えず50年位頑張ってみよう」

「そんなに経ったらわたしお婆ちゃんだよ」


 そうだった・・・エルフとかなら寿命も長いけど、母親が小人なら長くて70位なのかな?でもハーフだから父親が長寿種族なら、余裕でそれ以上生きれるらしいからまだチャンスはあると思うけどね。でも寿命まで生きる人の方が少ないからもっと早いのかな・・・せっかくお友達になれそうだったけど此処もダメなのかも知れないや。でも暗くなっても仕方ないよね!取り敢えず弟子なんだから強くしないと。


「大丈夫だよ!強くなったら歳取りにくいって聞くし、いっぱいレベル上げれば200年だってへっちゃらさ。たぶん・・・目指すは山奥に潜むと言われる魔女だね。2人で山奥でのんびり生活しようーー!」

「2人で・・・でもわたしだけお婆ちゃんになっちゃうしなー。うーん」

「僕は700歳超えてるからお爺ちゃんだね。アンが200生きたら僕は900歳だよ!!老後は任せたね。あっ、既に老後か!」

「スラちゃんは長生きなんだね。知らなそうな事多いのに。クスッ それに天使様は長生きな種族なんだね。神殿の神様の像の後ろに居るだけあって凄いんだね!!」


 笑われちゃった上にまだ僕は天使だと思われて居たのか・・・てか、神像の後ろに僕が居るの?初耳なんだけど!? だから僕を捕まえようとする人が多いのか・・・本当に神様には困っちゃうよ!!神様の所為で森を追い出させる原因は出来ちゃうし、なんか知らない種族にされそうだし!!ちゃんと親は2人とも妖精だって聞いたから僕は妖精なのにね。ぷんぷんだよ。


「天使じゃ無くて妖精だってばーー。もう良いよ!!それより魔法掛けるからね。」


 ちょっと機嫌悪く言ったらアンは「ごめんね」って手を合わせ首を(かし)げながら謝ってから、魔法の効果で身体能力が少し上がっているのに驚いた。

 あざとく見えるけど可愛いな、さすがお子様体型。などと思いつつ魔法で驚く姿を見て少し気分が良くなった。


「それじゃ第1に、身体の中と外に魔法を掛けているからそれを感じましょー。これは簡単だから直ぐに分かるよ」

「うん。何となくだけど力が漲る?みたいなのと水に包まれる?みたいなのは分かるよ」


 これは誰でも魔法を受ければ分かるからね。次は出す方だけど、魔物も直ぐ近くまで来てるから実戦しながらでも大丈夫だよね。危なくなったら僕が倒せば良いし。


「それじゃ僕が派手な魔法を使うから真似してね。僕のより遠くを意識してすれば良いよ。アンは人達が使ってる言葉を言ったらやりやすいかも知れないので、サンダーレイン って言ってね」

「ちょっと待っ」

「後は体内の魔力を(てのひら)から出すイメージでするんだよ。僕のより必ず遠くを意識してね」


 ちょっと高い所に居た僕には魔物がそこまで来ているのを確認出来てたので、ぶっつけ本番にだけどイケるでしょ!なんて思いながら下で「待って」を連呼し焦り顏のアンを無視して魔法を使う。


「ちゃんと見てサンダーレインって叫びながらやればきっと出来るから。いや!僕のアンだし大丈夫さ!さー行くよー。サンダーレイン!!」

「待って!・・・さ、サンダーレイン!!!」


 僕に待って貰えなくい上に魔法を発動され、慌ててアンも真似をして魔法を唱えた。

 ゴロゴロと音がした後でバチンちかギャーとか聞こえて来たが無視して、違う方向から来る魔物にも魔法を放つ。


「出来たじゃないか!魔力の事は気にしなくて良いからドンドン行くよ。さっきと同じようにすれば良いからね。ちゃんと向きは合わせてね」

「スラちゃん待って、何か聞こえたよ!!」

「行くよーサンダーレイン」

「だから待っ・・・サンダーレイン」


 その後も何回かクルクル回りながら魔法を放って行く。

 魔法を使いながらアンをチラッと見て思う。

 確かに焦っているけど魔法は発動している。威力が少し低いけど仕方ない。魔力も僕のを使ってるから問題ないようだ。僕の事を信用してくれないと今使ってる魔力の割譲(かつじょう)は出来ないから、少しだけ心配してたけど大丈夫で良かったよ。魔力譲渡は相手の一杯分しか出来ないから、相手が近くにいる時は不便なだけだしね。

 それにしても後少しで終わるけどかなり倒したなー。これなら10位にはなってるよね?昔過ぎて覚えて無いけど初めの頃は上がりやすかったしね。

 さすが僕の1番弟子だ!!これなら将来、大魔法使いも夢じゃないかも。

 後で動物に荒らされる前に魔石だけ回収して死体片付けておかなきゃ。


「アンもうちょっとで終わるから頑張るんだよ。終わったら掃除してくるから待っててね」


 アンはチラッと僕を睨んだ後直ぐに作業に戻った。働き者で感心感心。

 少し魔物を呼び過ぎたかも知れないけど大丈夫さ。アンには後ちょっと頑張ってもらうかな。




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